とびだせ獣族の村!
『……うか、ひめさまをおすくいください。』
深々と頭を下げる『がいど』。
あ、話終わったか。
ほとんど聞いてないが、会社員さんの日記にも聞き流して問題ない、ってあったからいいや。
この村では、えっと……。
ぶつぶつ言ってると、突如、下げていた頭をがばっと持ち上げ、猫耳娘が猛然と話し出す‼︎
「冒険者様ーー‼︎ もうちょっと私の話に関心持ってもいいと思いますけどーー⁉︎」
チュートリアルが終われば、あとは自由という設定か?
顔前で猫耳幼女がぷんぷんしながら喚いている。
残念だったな、大学生の俺はお子様に興味はない!
あざとい系だったらドキドキしてしまっただろうがな。
出来れば癒やし系お姉さんと遭遇したい……あ、いやなんでもない。
しかし、困った。
開始早々、村に来て、すでに後悔し始めた俺……。
異世界に来たはいいが、メーさん帰して、ちょっと観光した後、魔王倒してすぐ帰ろう!
なんて思ってたのに、なんかもう……すでに面倒臭くなってきた。
山脈に向かって叫んだ攻略宣言がもうすでに最速で黒歴史だ。
ハイテンションはあれだな……異世界ハイってやつだな。
………………
全くもう、なんだよーー!
空飛べたら楽勝じゃん、とか思ってたのにーー!
地道に行かないと辿りつけないって、そんなのあり?
あーーやっぱ入居の時、洗面台撤去してもらえばよかった……。
しくじった‼︎
……まぁ、あの社長がはいはい素直に撤去してくれるわけないがな。
「冒険者様! 私、村でのんびりスローライフなんて嫌なんです‼︎」
お、いきなり創造主に喧嘩売ったぞ、こいつ。
「私も魔王を倒しに行きます! お役に立ちますから、どうか連れてって下さい‼︎」
「嫌だ!」
「何で⁉︎」
俺はフンッと鼻を鳴らし、声を大にしてハッキリ言ってやった。
「俺は猫耳派ではなく鼠耳派で、幼女のお守りは嫌だからだーー!」
猫耳娘はぽかーーんと、呆気に取られた顔になった。
そう……俺は子供が嫌いだ。




