あつまれ獣族の村!
右肩を再度ポンと叩き、コマンドウィンドウを開ける。
『ナギスギ ハル
LV.99 冒険初心者』
『どうぐ
ちず ぶき くすり すこっぷ
むしあみ つりざお おの なべ …… 』
コマンドウィンドウに『どうぐ ちず』があったのだが……
今の段階では光らず、選択することが出来ない。
……ちっ、やっぱり駄目か。
色んなことを全部すっ飛ばし、お城に直行して魔王ぶち倒したかったのだが……一度、行ったことがある範囲しか移動出来ないシステムになっているようだ。
LV.99のチート無双、やれば出来る! のテンションでいける、と思ったんだが……。
仕方ない、地道に進むしか無いか。
明日は一限から大学の講義がある……あれは、なんとしても受けたい!
タイムリミットは現実で四時間、この世界での十日間‼︎
夕食の時間までにはマンションに戻りたい‼︎
「まずは村か……」
村を見下ろしていると、近くをダチョウに尻尾が蛇な魔物の群れがバタバタと通りすぎる。
えっと、何だっけ? バジリスクとかいうやつか?
「あ、ちょうどいい!」
コマンドから『どうぐ むしあみ』を選択。
俺は虫網を片手に、魔物の群れに襲いかかったのだった!
◇◇◇◇
一匹、バジリスクの尻尾の蛇に虫網を被せ拘束し、俺は悠々と村までの乗り物をゲットした。
……鳥の目から涙がちょろりと出ているが、許せ。
バジリスクと丘を駆け降りた先、村の入り口には『がいど』の猫耳幼女が立っていた。
耳の高さを入れても、俺の胸ぐらいまでの背丈。
ボブカットの髪が柔らかく揺れる。
『はなしかける』
チュートリアルをこなさないと先に進めない、って会社員さんが書いてたな。
『ようこそ! ぼうけんしゃさま。このせかいは……』
とりあえず、猫娘の台詞をすべて聞き流しながら、村を見渡す。
某RPGの魔物をガンガン倒して進めていく世界を想像していたが、どちらかと言えば、某動物たちの村でのんびりスローライフの世界がしっくりくる。
たしかに、『どうぐ』の選択肢に『むしあみ』や『つりざお』があったな……。
『おの』は武器に入りますか?
『獣族の村』の次が、『エルフの森』……。
会社員さんの日記はそこまで。
その先には雪の山脈と魔王城が続くんだろうな……。
俺がぼんやりとそんなことを考えている間も『がいど』の子猫娘はニコニコと、決まった台詞を淡々と話し続けていた。




