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オススメ事故物件、今ならサービスで異世界ワープお付けします。  作者: 枝久
2ー4 

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目がぁぁぁっ

「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ‼︎」


 俺の上で絶叫しながら、ソラさんが右手を振り上げたのを感じ、目をぐっと瞑る‼︎ 

……最初からもう開いてないけど。


 ガッ‼︎


 ………………


 あれ?


 身構えた俺の身体のどこにも彼女の重い鉄拳は降り落ちてこない……ん? なんでだ⁉︎

そろーーっと目を開けようとするが……うんともすんとも開かない。

ぐわぁーーっと力を入れるも……開かない。

……俺の顔面どうなっちゃってんだ⁇


「ソラ‼︎ 駄目でしょ‼︎ ハルちゃんの顔が潰れたヤツガシラみたいになっちゃってるじゃん‼︎」

「「へっ?」」


 俺とソラさんが二人揃って間抜けな声を上げた。


 ………………


「空っ⁉︎」

「ウルエさん⁉︎」

「遅くなってごめんね〜〜あ、敵倒したんだ! 二人ともありがとう‼︎」


 明るい彼女の声がする。

本当に……心が晴れているのが、その声から滲み出ている。

ウルエさんがソラさんの腕を止めてくれたのか。


 ……っていうかヤツガシラって……鳥の方ですか? それともやっぱり芋の方ですか?

どんだけゴツゴツしてんの俺の顔面⁉︎


「ど、どうやって復活したんですか⁉︎」

「ん〜〜? 気づいたらさっきのドームテントにあった武器の箱の中にいたんだけど、蓋口が凍っちゃってて……中から開けづらくって本当苦労したよぉ〜〜」


 箱の中からウルエさん登場……両手を上げて、イリュージョン風⁉︎

頭にイメージ映像が浮かぶ。

そういう演出時の正装は、チャイナドレスかバニーガールがよろしいかと……。


「空ぁぁぁぁぁぁっ‼︎」


 俺が(よこしま)な妄想を抱いてる途中、身体がすぅっと軽くなる。

馬乗りだった彼女が、ウルエさんに抱きついたようだ。


 がばっ!


「空ぁぁぁぁっ! また死んじゃったかと思ったよぉぉぉぉっ‼︎ うぇぇぇぇぇんっ‼︎」


 俺をフルボッコにした彼女が子供みたいに鳴き出した。


「ごめんごめん。説明してる暇なかったからさ。……この世界じゃ、私は死んでも生き返れるみたいなんだよね」


 創造主が死んでも、この異世界は死ななかった。

成仏すれば消えるってのは、たぶんマサさんの異世界と同じだと思うんだけど……。

ウルエさん……『夏の森』で俺達を救う為に犠牲になろうと考えていた……強制成仏も可能なのか?

彼女は……方法を知っている?


 事故物件から繋がる異世界、まだまだ俺の知らない不思議だらけだ。


「ハルちゃん、お顔冷やしな。パンパンだよ?」


  ヒヤッ!


「‼︎⁉︎」


 ウルエさんがそう言いながら、俺の顔に何やら冷たい物を乗せてくれた。

はぁ……ひんやり気持ちいい。

顔の腫れがすうっと引いていく気がする。


「ソラ……バカなことはもうしないって約束して」

「で、でも……あたしは……」


 俺が横たわっている上の方で、二人が何やら話し合っている……あぁ、疲れた……このまま寝落ちしそう……はっ! 

いかんいかん……はっ!


 ………………


 しばらく睡魔と格闘し……たぶん負けた俺は……はっとして、顔面に乗っていたものを横にどかした。


「おっ!」


 顔からほんの少しだけ、熱が引いたのを感じる。

どれくらい寝てたんだろ?


 ゆっくり目を開けると、さっきまで邪魔をしていた腫れ肉は少しだけ引っ込み、久々に(まぶた)のシャッターが上がり……一気に流入する(くら)むような光!

そして、視線の先には……。


 ………………


「うおぇぇぇぇぇぇっ!」


 俺の顔に乗せられていたのは……モブのカモメ⁉︎ 尻がこっちを向いている!

確かにコイツ、キンキンに冷たいが……うっかり口に脚でも突っ込まれてたらどうすんですか⁉︎

この世界の物を口にしたらアウトですよ!

うわぁ、マジ危ねぇ。

ウルエさん、天然? それともわざと⁇


「ハルちゃん、こっちは終わったよ」

「終わってない‼︎ まだ話は終わってない‼︎」

「……」


 こちらを向いた二人が真逆のことを言うから……俺は『終わっていない』に清き一票だな。


「ちゃんとソラさんから逃げずに話そうよ、ウルエさん。じゃないと……終われないよ?」

「ハルちゃん……」


 俺の言葉で彼女の顔がしゅんと曇る。


 ばしっ!


「痛ぇっ!」

「こら! あたしの空に偉そうに説教垂れてんじゃないわよ‼︎ 何様よ⁉︎」

「ソラ! 頭叩くの止めなさい! ハルちゃんにごめんなさいしな!」


 ぎゃあきゃあと三つ巴の混沌とした状況……。

え? 何これ? 何で巻き込まれてるの俺⁇


 っつうか、ソラさんって……年よりも幼い印象だ。

ウルエさ……空さんを失って、彼女の心の時間も止まってしまったのかもしれない。


 ふうっと溜息を吐き、そっと小さく挙手をする。


「一度、状況整理しましょう。ウルエさんは、ソラさんに現実世界を生きていって欲しい」


 こくんと彼女は頷く。


「で、ソラさんはウルエさんと一緒にいたい……けど、転勤であの部屋から引っ越し……ウルエさんと離れなければならない」

「そうよ! ……転職しようかな?」

「駄目! やりたいって目指したんだから、諦めないでよ‼︎」


 なるほど、こりゃいつまで経っても平行線だな。


 ………………


「あ! 一つ方法が……」

「「えっ⁉︎」」


 二人が同時に俺へ振り向く‼︎


「ソラさんって……お金持ってます?」


 俺は右手の親指と人差し指をくっつけて、小さな輪を作った。

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