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第59話 クラン結成!


 裕真とイリスは、バサーニオ・ベルモントの案内で、トリスター近郊にある監獄へと赴いた。

 裕真の嘆願によって処刑を免れた彼の兄、『アントニオ・ベルモント』を迎えに行くためである。


 国王直々の命令ということもあり、看守たちは三人を驚くほど丁重に迎え入れた。


 灰色の石材で築かれた、重厚な監獄の内部。

 面会室へ通されてほどなく、看守に先導される形でアントニオが姿を現す。

 監獄生活で頬はこけ、無精髭も伸びていたが、それでも背筋を正し、上品な佇まいだけは崩していない。その姿に、トリスター屈指の豪商としての矜持が垣間見えた。



「……このバカ! 何をやってるんだ!!」


 開口一番、アントニオは弟を怒鳴りつけた。

 どうやら助命に至る経緯は、すでに看守から聞かされていたらしい。


「せっかく私一人の首で許して貰えたのに……。陛下を怒らせ、お前まで処刑されたらどうするんだ!! 私のしたことが全て無駄になるじゃないか! この大バカ者!!!」

「ごめんよ、兄貴……。でもオレ、じっとしてられなくて……」


 アントニオが怒るのも無理はない。

 バサーニオの行動は、文字通り命懸けだった。もし話を聞いた相手が裕真でなければ、どうなっていたか分からない。

 とはいえ、涙を浮かべるバサーニオを前にして、裕真は黙っていられなかった。


「叱るのはそれくらいに。バサーニオさんは貴方を助ける為に、犬のフンを食うとまで言ってくれたんだぞ?」

「食ったのか!?」

「まだ食ってない!」


 裕真の一言に、アントニオの勢いが止まる。

 少しだけ頭が冷えたのか、先程までの怒りを押し殺すように目を伏せ、弟へ向けて静かに言った。


「すまない……いや、ありがとう。私が不甲斐ないばかりに、お前にまで恥をかかせてしまった……」

「なに言ってるんだよ兄貴!! そもそも兄貴は俺を助ける為に犠牲になったんじゃないか……」


 兄弟の間に、わだかまりが溶けていくのを感じて、裕真は小さく満足げに頷いた。


「ユーマさん、助けて頂き有難うございます。……しかし何故です? せっかくの褒美を無駄にしてまで、私を助けてくださったのですか?」


 その問いに、裕真は「かくかくしかじか」と、以前仲間たちに説明したのと同じ内容を簡潔に話した。


 話を聞き終えたアントニオは、思わず目を丸くする。


「つまり……あの邪教徒の尻拭いを? そんなの貴方に全く利が無いじゃないですか!?」

「まぁ、無いと言えば無いし、有るといえば有る」


 こほん、と一つ咳払いしてから、裕真は言葉を続けた。


「あの事件が原因でこれ以上犠牲者が出たら、俺だって気分が悪い。綺麗に終わらせて、スッキリしたかった」

「……は? 気分の問題ですか!? そんな下らない理由で!!」

「……は?」


 アントニオの言葉に、裕真は片眉を吊り上げる。


「下らなくなんてない。人間、死んだら地位も財産もあの世に持っていけない。俺も貴族も王様も、あっちじゃ只の素寒貧だ」


 裕真の声は、自然と力を帯びていく。


「だけど、“心”はあの世に持っていける! 『自分は誰にも恥じることのない人生を送った、後ろめたいものは何もない』。そんな誇らしい気持ちは死んでも無くならない!」


 十五歳の少年が語っているとは思えないほど、その言葉には重みがあった。

 それもそのはず。実際に一度死亡し、冥界にて冥王と対面した実体験があるからこそ、引き出された台詞である。


「たとえ裸一貫でも、冥王様や御先祖様に堂々と顔向け出来る! どうだ? これ以上無い財産じゃないか?」


 一気にまくし立て、ふと周囲を見ると、全員がきょとんとした表情をしている。

 割と付き合いの長いイリスですら、まるで異星人を見るような目だ。


 裕真は内心で「しまった」と頭を抱えた。

 調子に乗って語りすぎてしまったようだ。

 ごまかすように咳払いをして、照れ隠し気味に言う。


「……えーと、誤解が無いよう言っとくけど、お金を軽んじてるわけじゃないぞ? 実際お金に助けられた場面は何度もある。ただ今は余裕あるし、稼ぐ当てもあるから、御褒美に拘らなかっただけで――」

「……いえ、もう分かりました」


 アントニオは裕真から視線を逸らし、手で制するように言った。

 

「貴方とは仲良く出来ないということが、よく分かりました。むしろ貴方は私の天敵と言っていい」

「天敵!?」


 ぎょっとする裕真に、アントニオは口の端を歪めて言った。


「私はお金の為に汚い事を散々やってきた……。それこそ、御先祖様に顔向けできない事をね。貴方の思想は私の人生を根本から否定するものです。とてもじゃないが、受け入れられない」

「否定なんて、そんなつもりは――」

「ですが……そんな貴方だからこそ邪神に勝てるのかもしれない」


 思わず言葉に詰まる裕真を、アントニオは視線を逸らさず、まっすぐ見据えて言った。


「恥ずかしい話ですが、私はお金があれば何でも出来ると思っていました。実際、この街では上級貴族ですら私の顔色を窺ってましたからね」


 少し自慢げに頬を緩めたアントニオだったが、その表情はすぐに引き締まる。


「ですが、あの邪教徒相手では何の役にも立ちませんでした。脅しも懐柔も通用しない、傭兵を雇っても翌日にはミンチにされ……」


 その光景を思い出したのか、アントニオの顔から血の気が引く。

 マリクのやつ、相当酷いものを見せたんだな……と、裕真は察した。


「この件で思い知りましたよ。お金で解決出来るのは、社会の常識が通用する相手だけ……。非常識な連中には役に立たない。そういう奴らに対抗するには、貴方のように常識に捕らわれない人間が必要なのだと」


 ちらりと裕真を窺うアントニオ。

 その視線を受けた裕真は、アハハと軽やかに笑う。


「なにさ、それじゃまるで俺も非常識な奴みたいじゃないか」

「いや、あなた非常識よ?」


 イリスにきっぱり言い切られ、裕真の笑顔がぴたりと固まる。


「ユーマさん、奴隷の身でこのような物言いは生意気と思われるでしょうが、あえて言います。貴方の邪神討伐の旅、是非とも手伝わせてください。私は必ずや貴方のお役に立てます。投資して頂いた以上の利益を約束しましょう」


 裕真は唖然とした。

 褒美として受け取った後は、解放するつもりでいたからだ。


「……え? いいのか? かなり危険な旅になるのに。具体的にはマリクと同レベルの敵と戦うことになるぞ?」

「せっかく助かった命なのに……」


 イリスもまた、明らかに難色を示している。

 だが、アントニオは肩をすくめ、ふふっと小さく笑った。


「何を仰いますか。邪神がいる限り、世界に安全な場所などありませんよ! 世界一安全と謳われたトリスターがどうなったか、その目で見たでしょう?」

「む……そう言われると……」

 

 ワーストセブンの残り五人が、このまま大人しくしているとは思えない。

 マリクと同等、あるいはそれ以上の悪事を企んでいる可能性があり、それをいつ、どこで実行に移すかも分からないのだ。


「あと、ぶっちゃけますと、俺ら他に行き場が無いですし……。それこそ邪神討伐ぐらい危険な任務に参加して罪を禊がないと」


 苦笑いしながら言うバサーニオに、アントニオも同意するように笑った。


「ははは、まぁ、そういう訳です。それに私にも誇りというものがあります。奴らはそれを踏みにじった。たかが商人だと侮った事を、後悔させてやらないと」

「その為なら、嫌いな奴とも手を組むと?」

「そうです、いけませんか?」


 いけしゃあしゃあと、アントニオは言い切った。

 誰にでもこの態度というわけではない。

 裕真相手には、下手に(へりくだ)ったり畏まるより、フランクに接するのが良いと判断したのだ。

 そしてその判断は正しく、裕真は気分を害するどころか、笑顔で親指を立てた。


「いいや、全然ありだ! 人には相性というのがあるし、邪神と戦う者全てが仲良し小良しといかないぐらい分かる。お笑いコンビみたいなビジネスライクな関係で行こう!」

「お……お笑い?」


 意味が分からず、アントニオは困惑する。

 これは、“お笑い芸人コンビは、必ずしも仲が良いわけではなく、仕事以外で口をきかないことも珍しくない”という、裕真がネットで聞き齧った知識からの発言であるが、当然カンヴァス人に分かるわけがなかった。


「……ちょっと待って。本当に仲間にするつもりなの?」


 成り行きを見守っていたイリスが、静かに口を開いた。


「ウチにはもう商人が二人いるのよ? これ以上増やしても――」

「ああ、アツシさんとアカネさんですか?」

「……え!? なんで知ってるの!?」


 思わず声を上げるイリスに、アントニオは平然と答える。


「情報は商人の命ですから。『賞金首百体狩り』のパーティメンバーぐらい把握しておきませんと」


 正確に言えば、龍堂茜が正式に仲間になった時、アントニオはすでに収監されていた。

 だが、それ以前から彼女が裕真たちに協力していたという情報は掴んでいた。

 そして何より、イリスの「商人が二人」という言葉からの推測だ。


「確かに今までと同じ活動をするなら、これ以上商人はいらないでしょう。ですがユーマさん、貴方はもっと上のステップを目指しているのでは?」

「……確かにそうだ。少なくとも『飛空船』を運用出来るだけの人員が欲しい」


 その言葉に、イリスは「えっ」と驚く。


「飛空船を買うつもりなの?」

「そうだ。これから世界中を冒険するのに、徒歩だの馬車だのじゃ時間が掛かって仕方ない」


 マイラの街からトリスターへ辿り着くまで、実に十日を要した。

 この世界では珍しくない移動時間なのだろうが、現代日本で育った裕真にとっては、どうにも我慢しがたい。


「アツシとも相談したけど、いちいちレンタルするのも面倒だし、購入を検討してる。……ただ、街の復興作業で、手頃な飛空船はほとんど出払ってるんだよな」

「あ〜……。お金があっても、商品が無くちゃね」


 ぽん、と手を打って納得するイリス。

 同時に、裕真が先を見越して動いていることに、素直に感心した。

 ……事前に相談してくれなかったことは、少し気になるが。


「ほほう……さっそく私の出番ですね。飛空船のような大口の取り引き、アツシさんもアカネさんも経験が無いはずです」


 そう言って、アントニオが目を細める。商人としての血が騒いでいるのが、ありありと伝わってきた。


「あなたなら用意出来るの?」

「お任せください。地位と財産は失いましたが、培った人脈と経験はまだ残されています」


 その自信満々な口調に、イリスは眉をひそめる。


「その人脈、今でも役に立つの? 貴方の評判、最悪よ?」


 邪教徒に加担し、街を壊滅寸前に追い込んだ裏切り者。

 その悪名が簡単に消えるはずもない。


「そこはユーマさんの名声を最大限に活かさせて頂きます。『私のようなロクデナシを救ってくれた、心優しきご主人様が飛空船をお求めなのです! なんとか御恩に報いたい!』と、そんな感じで」


 大げさな身振り手振りを交えて語るアントニオ。

 

「え……それはちょっと、俺が恥ずかしい――いや、お任せします」


 照れたように視線を逸らしつつも、裕真はその抜け目なさに内心感心していた。

 奴隷に落ちた今の立場でさえ、交渉材料として使い切る。その図太さは、正直頼もしい。


 その時、面会室の扉が開いた。

 武装した看守たちが、縄で縛られた二人の人物を連れて入室してくる。


 一人は二十代後半ほどの金髪の女性。尖った耳を見るに、エルフか、あるいはハーフエルフだろう。

 もう一人は、オールバックの白髪と白髭を蓄えた、ドワーフの老人だった。


 何事かと身構える裕真に、看守が淡々と告げる。


「ユーマ様、国王陛下から言伝です。『褒美が奴隷一人では釣り合わぬ。この二人もついでにどうか?』との事です」

「え? 誰です?」

「錬金ギルドのベアトリス・ティンチェと、金融ギルドのシャイロックです」

「……あっ!」


 その名に聞き覚えがあった。

 アントニオと同じく、虚偽の告発でモモを陥れようとした者たちだ。

 そしてやはり同じように、マリクへの協力が露見し、ここに収監されていたのだろう。


「なんとまぁ……やはりお二方も、身内を人質に!?」


「脱税の証拠を掴まれて……」と、シャイロック。

「不倫の証拠を掴まれて……」と、ベアトリス。


「ダメじゃん!!」


 流石にお人好しの裕真でも、同情の余地がない理由だった。

 ちなみに二人が正直に答えたのは、嘘をつくと衛兵に殴られるからだ。


「いらないなら、こちらで“処分”しておきますが」


 看守の一言に、悪徳商人二名が悲鳴を上げる。


「え!? 処分!? ちょっと待って! う……う~ん……」


 同情はできないが、やはり処刑は重すぎると裕真は感じた。

 一方で、これ以上商人を抱える必要があるのかという迷いもある。

 その逡巡を見て取ったのか、アントニオが愉快そうに笑う。


「はははっ! 良いじゃないですか、貰っておきましょう。商人としての能力は保証しますよ」

「そ……そう? なら、お任せする」


 どう役立てるのかは分からないが、ここはアントニオに委ねることにした。


「返品は何時でも受け付けています。そいつらが妙な真似をするようなら、こちらから“引き取り”に行きますから」


 再び「ひえっ」と悲鳴が上がる。

 無条件で助かったわけではなく、今後も王国の監視下にある、という明確な警告だった。


「……アントニオ、お前もだぞ」

「わ……わかってますよ」


 ぎらりと睨まれ、アントニオは冷や汗を浮かべながら、こくりと頷いた。



 ◇ ◇ ◇



【 裕真の屋敷 】


「というわけで、新しく仲間になったアントニオさんたちは、現在飛空船購入の為に駆け回ってくれてる。その間に、俺たちは今後の計画を立ておこう」


 屋敷に戻った裕真たちは、再び会議を始めていた。

 その流れで、さっそくイリスが手を上げる。


「ユーマ、その前に私たちの『クラン』を結成しない? 私たちも結構な人数になったし」


 ……クラン?

 聞き慣れない単語に、裕真は首を傾げる。


「『クラン』ってなにさ?」

「ハンターによるチーム、組織、集団ね。数人のパーティより大勢――数十人、数百人で活動する時に結成するのよ」


 へぇ……と裕真は呟く。

 そういえば、MMOやソシャゲとかで、そんなシステムがあった気がする。


「ギルドに申請して登録しておくと、色々便宜を図ってもらえて便利になります。他国への出入りとか、税金とか」

「なるほど……作り得なわけか」


 アニーの補足に、裕真は納得したように頷いた。


「私もオススメします。クランに所属してますと社会的信用も上がって、不動産や飛空船みたいな高額の買い物もしやすくなります」

「装備や消耗品の大量仕入れも出来るようになりますね♪」


 篤志とニーアも賛成の意を示していた。


「その分、面倒な手続きも増えるけどな〜。まっ、その辺はウチら商人に任せてや!」


 茜が生き生きとした調子で答えた。

 戦力としては裕真の足元にも及ばない彼女だが、そっちの分野なら十分に貢献できる。


「よしっ! じゃあクランを作ろう!」


 皆の意見を受け、裕真は思い切りよく決断した。


「それで、クラン名はどうする? 誰かアイデアは?」


「じゃあ、ユーマ猟団」と、イリス。

「ユーマ大戦隊」と、アニー。

「ユーマ・ヴァンガード!」と、ラナン。


「ちょ……ちょっと待って。なんで俺の名を付けているのさ?」

「え? だってあなたがリーダーのクランだし」


 さも当然と言いたげなイリスに、裕真は目を丸くする。


「いやいや……だからと言って俺の名前を使うのはやめてよ。自己顕示欲強い奴って思われたら恥ずかしいじゃん」


 その言葉に皆が「うーん」と唸る。他に相応しい名称が浮かばない様子だ。


「ユーマさまには、何かアイデアありませんか?」


 ニーアの一言で、皆の視線が一斉に裕真へと集まる。

 どうやら、自分で考えなければならない流れらしい。さもなければ、自分の名を冠した小恥ずかしいクラン名にされてしまう。


「アイデアって……う~ん……まず、他にどんなクランがあるんだ?」


 裕真がそう言うと、イリスが一冊の本を取り出した。

 タイトルは【ベスト・ハンターズ・ファイル】。

 ハンターに憧れる人々向けに書かれた、ハンターギルド未公認のファンブックだ。

 そこには、著名なハンタークランの一覧が記載されていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



1.【ブラザーフッド】


クランマスター:ブロックル・スミス (ドワーフ/Sランク)


最大手のハンタークラン。

入団を望む者は、人種、国籍、経歴に関わらず誰でも受け入れる。

ただし、その分トラブルを起こす者も多く、団員同士で大乱闘が起こることもしばしば。




2.【銀嶺騎士団】


クランマスター:マナナン・マクリール (エルフ/Sランク)


ハンターギルド最古のクラン。

古代遺跡や歴史的遺物の保護、保管、補修を主な活動としている。

団員には高いモラルが求められ、加入には厳しい審査を受けなければならない。

そのため、乱暴者が多いブラザーフッドを毛嫌いしている。

団員の三分の二がエルフ族なのも特徴。

余談だが、団長のマクリール氏は、古代エルフ王朝王族の末裔らしい。 




3.【鳥の住処(リントコート)


クランマスター:イルマリネン (ニンゲン/Sランク)


人間の賞金首を専門とする『クライムハンター』のクラン。

対人戦や市街地での戦闘を得意とする。

逃亡奴隷の捕獲も請け負うため、「マンハンター」、「人攫い集団」、「奴隷商人の手先」などと陰口を叩かれている。




4.【征魔平定軍(せいまへいていぐん)


クランマスター:葦原咲夜(あしはらさくや) (ニンゲン/Sランク)


遙か東方の国、【統星(すまる)】を守護する戦闘集団。

一騎当千の猛者ぞろいだが、何故か女性のみで構成されている。

その華やかさとは裏腹に、謎の多いクランである。




5.【戦士の館】


クランマスター:オーズ (ニンゲン/Aランク)


魔物に恨みを持つ“復讐者”を中心に結成されたクラン。

魔物被害に遭った人からの依頼は格安、もしくは無料で引き受ける。

ハンターギルドは依頼相場を守らない点を問題視しているが、大衆人気が高く、思い切った処置を取れずにいる。

また、復讐する力を得るため無理して高位精霊と契約し、消滅したり人間性を失う者が多発しているのも問題となっている。


ハンター界のアイドル、レギンちゃんが所属していることでも有名。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「……なんだ、どこも格好いいネーミングじゃないか。俺もこういうのが良いな!」


 本を読み終えた裕真が言った。

 だが、皆の表情は依然として「うーん」のままだ。


「でもやっぱり、このクランの顔はユーマさまですし、ユーマさまに因んだ団名にしたいです」


 ニーアの言葉に、皆が揃って頷く。

 裕真は思案するように俯いた。自分に因んで、なおかつ格好いい団名……。


 ふと、何かを思いついたように顔を上げる。


「それじゃ、『 ミリオンハンターズ 』なんてどうだ!?」

「……ミリオン? なるほど、ユーマの100万MPから取った訳ですね」


 ほーん、とアニーは感心したように頷いた。


「ふーん、まぁ良いんじゃないの?」

「じゃあ決まりだな!」


 次々と賛同の声が上がる。

 その一方で、ラナンは内心で「ユーマ・ヴァンガードの方が格好いいのに」などと考えていたが。


「よっしゃ! 『ミリオンハンターズ』で決定だ!!」


 こうして、咄嗟の閃きで付けたクラン名だったが、それが後に歴史に名を残すことになるとは、この時の裕真は思いもしなかった。




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