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第51話 首

【 トリスター 王宮正門前 】



 城門が開いた。


 その瞬間を待ちわびていた避難民たちだったが、一瞬、場内に避難するのも忘れて立ち止まってしまった。

 なぜなら、伝説のオリオン装備を纏った国王が、目の前に現れたからだ。


 次の瞬間、激しい風が巻き起こる。

 風は意思を持つかのように避難民たちの間をすり抜け、その後方から迫る魔物の群れをまとめて吹き飛ばした。


 それはオリオン七大神器の一つ、《フレスベルグのマント》から吹き出した風だった。

 “世界全ての風を生み出す”といわれる暗黒鳥フレスベルグの羽で織られたそれは、敵を吹き飛ばすだけではなく、着用者自身をも空へ舞い上がらせることができる。


 魔物たちが暴風に怯んでいる間に、市民の避難は完了。

 城門が再び閉じられると、国王は静かに鎧の右肩のハッチを開き、一張の弓を取り出した。

 続けて左肩のハッチを開くと、数千本もの矢がズルリと地面にこぼれ落ち、小山をつくる。

 いずれも常識では鎧の中に収まる量ではない。


 オリオン七大神器その二、《マルチパーパス・アーマー》。

 無限収納の機能を持つ鎧である。

 裕真が持つ《どうぐぶくろ》を、鎧に組み込んだようなものだった。


 国王は矢の小山から五本の矢を掴み取り、弓に番える。

 そして矢を放つと、五本の矢は十五本に分裂し、飛び立った。


 オリオン七大神器その三、《三ツ星の弓》。

 放った矢を三倍に増やす効果を持つ弓だ。

 一見地味な性能だが、付呪エンチャントされた矢も同様に増やせる。


 国王の矢には“自動追尾”と“貫通”の付呪が施されていた。

 扇状に飛び立った矢は、迫り来る魔物たちを次々に捕え、その身体を貫通し、さらに背後の魔物までも穿った。


 国王は流れるような動作で次々に矢を射る。

 強力な魔法の矢が雨のように降り注ぎ、敵はみるみる数を減らしていく。

 だが、それでもなお、魔物の進撃は止まらない。

 仲間の屍を踏み越えながら、じりじりと国王へ迫った。


 国王は胸部のハッチを開く。

 すると次の瞬間、直径一メートルはあろうかという鎖付きのトゲ鉄球がドシンと落下し、地面がひび割れた。


 オリオン七大神器その四、《ハイパーハンマー》。


 国王は鎖を掴み、頭上で鉄球を振り回す。

 その速さは、もはや肉眼では追えぬほどだった。

 そして一閃。

 轟音とともに鉄球が飛来し、敵の群れを粉砕した。頑強なサイクロプスやスティールゴーレムすら豆腐のように砕け散る。


 この武器には“重量増加”の効果があり、見た目の何百倍もの質量を得る。しかも、使用者はその重さを感じない。

 圧倒的な質量の暴力が、魔物を次々とミンチに変えていく。

 鉄球の嵐が、このまま敵の群れを飲み尽くしてしまうかに思われた。


 しかし、国王の手が止まった。

 “MP(魔力)切れ”である。

 ほとんどの魔道具は使用者のMPを必要とする。このハイパーハンマーも例外ではない。

 攻撃が止んだ隙を突き、再び魔物の群れが押し寄せてくる。

 

 だが国王は慌てることなく腰のハッチを開き、赤黒く光る細身の剣を取り出した。

 その切っ先でサイクロプスを軽く突く。

 表面をかするだけの弱々しい攻撃。ついに息切れしたのかと魔物たちは思っただろう。

 だが違った。

 刺されたサイクロプスは全身が青ざめ、泡を吹いて崩れ落ちる。

 

 オリオン七大神器その五、《アンタレス・ニードル》。


 超巨大サソリ『アンタレス』の毒針から造られた剣だ。

 その毒は生物だけでなく、ゴーレムやアンデッドといった、通常なら毒が通じない存在にさえ効果を及ぼす。

 しかも、素材自体が毒性を帯びているため、魔力を必要としない。


 国王は舞うような動きで敵の攻撃を躱しながら、次々に毒針を突き立てていく。

 バタバタと糸が切れた人形のように倒れていく魔物たち。

 無機物のスティールゴーレムさえ青ざめ泡を吹いて倒れる姿は、シュールなものだった。


 やがて魔物の群れは、もはや“群れ”と呼べぬほどまで減っていった。

 城壁の上から見ていた衛兵たちが、思わず歓声を上げる。


「凄い! あれが我等が王の御力か!!」

「国王陛下、万歳!!」

「オリオン王国、万歳!!」

「連合王国、万歳!!」


 その声を合図に、再び城門が開かれる。

 そこには完全武装の国王親衛隊が馬にまたがり、整列していた。

 先頭の親衛隊長フォード卿が剣を掲げて叫ぶ。


「敵の集団が崩れた! 今こそ反撃の時!! 者共、陛下に続けっ!!」

「国王陛下、万歳!!」

「オリオン王国、万歳!!」


 土煙を上げ、親衛隊が突撃する。

 その姿を見て、避難民たちの口から歓声が溢れた。

 恐怖に怯えていた人々の顔に、再び光が戻る。


 それを見て、ヒナは理解した。

 一族の始祖『オリオン』が、子孫に“狩り”を義務づけた理由を。


 魔物と戦うのは怖い。誰だって怖い。

 だからこそ、王が、王家の者が、率先して魔物に立ち向かわなければいけないのだ。

 恐怖を打ち払い、民を導くために。


 ヒナの頬を、静かに涙が伝った。

 今まで掟など、年老いて耄碌した始祖が、思いつきで始めた無意味なものだと内心で蔑んでいた。

 だが違う。違ったのだ。


「馬鹿なのは私の方でした……。申し訳ありません、オリオン様……」




 ◇ ◇ ◇



 【 迷宮化した市街地 】


 裕真は目につく魔物を撃退しながら、仲間を探して走り回っていた。

 街の中は“迷宮化”の影響なのか、塀や家屋や樹木が道を塞ぎ、迷路のように入り組んでいる。

 しかも、道のあちこちに落とし穴や槍の罠が仕掛けられ、まともに走ることさえ難しい。


「みんな、どこに行ったんだ!?」


 一向に見つからないことに焦り、思わず叫ぶ。


「仲間の皆様なら派手に抵抗しているはずです! 大きな爆発や煙の立っている場所を探しましょう!」

「なるほど!」


 アコルルのアドバイスに裕真の目が輝く。

 落ち着いて周囲を見渡すと、遠くの空に大きな土煙が上がっているのが見えた。


「あそこが怪しいな!」


 《ペガサスのマント》を展開すると、風を切って空へ舞い上がる。

 煙の方向へ一直線に飛んでいくと、すぐに仲間たちの姿を見つけた。


「あっ! 本当にいた! アコちゃん大正解だ!!」


 着地した裕真は、ほっと息をついた。

 仲間たちも、安堵と喜びの入り混じった表情で彼を迎える。


「ユーマ! 良かった! 無事みたいね!」

「皆も無事で何より! ……あれ? そちらの人たちは?」


 裕真はイリスの後ろに立つ、見慣れない三人に目を留めた。

 初老の紳士、めっちゃ長い赤髪の少女、黒髪の和装美人。


「この方々はね……私たちハンターの頂点! Sランクハンターなの!!」


 イリスが誇らしげに紹介する。


 (つるぎ)の賢者、イルマリネン。

 紅蓮の戦姫、レギン。

 征魔平定軍頭領、葦原咲夜。


 裕真は「へぇ」と軽く唸った。

 この人たちが、イリスがいつも目標にしていた“Sランクハンター”なのかと。


「それでね、私たちがピンチの時に、さっそうと現れて助けてくれたの! 凄いでしょ!!」

「なるほど! 皆を助けていただいて、ありがとうございます!」

「いえいえ、どういたしまして」


 裕真が丁寧に頭を下げると、イルマリネンも穏やかな笑みを浮かべて会釈を返した。

 その礼儀正しい仕草に、裕真は少しだけ背筋を伸ばす。


「まぁ、偶然通りかかっただけだし」


 軽い調子で返しながらも、レギンは内心で裕真を観察していた。

 普通、ランクハンターだと聞けば、イリスのように興奮するか、恐縮するかするものだ。

 だがこの少年は、驚きも恐れも見せない。

 レギンの中で、彼は肝が据わった人物だな、という評価が下った。


 しかし実際は、ただ無知なだけである。

 裕真はSランクハンターがどれほど特別な存在なのかを、ほとんど理解していなかった。

 例えるなら、裕真がこの世界に大谷翔平や合衆国大統領を連れてきて紹介したとしても、イリスたちは「へぇ、そうなんだ」で終わらせるだろう。

 今の裕真の心境は、そんな感じなのだ。


「Sランクって世界に七人しかいないって聞いてましたけど、それが偶然三人も集まったんですか? それとも誰かに呼ばれたとか?」


 裕真の無邪気な質問に、レギンは一瞬目を丸くした。


「……え? もちろん偶然よ! 何かおかしな点でもある?」


 裕真に他意はなく、思いつきを口にしただけなのだが、それは図星だった。

 Sランクハンターたちがここに集まったのは、偶然ではない。

 時の勇者『時野忍(ときのしのぶ)』の要請によるものだ。

 彼はその予知能力を駆使して、ハンターギルドに多大な恩を売り、深いパイプを繋いでいる。

 その彼の頼みとあれば、小国の主ほどの権力を持つSランクでも断りきれない。


 イルマリネンと咲夜は顔を背けた。動揺するレギンの反応に思わず笑いが込み上げたからだ。

 二人はなんとか表情を引き締め、努めて平然を装う。

 

「トリスターは世界有数の大都市ですからな。仕事やら何やらで立ち寄る機会も多い」

「そうですわね。まったく在り得ないという話では無いでしょう」


 二人の言葉に、地元民のセランがぱっと笑顔を見せる。


「そうですね! トリスターは世界一の街ですもの♪」

「みんな来たくなりますよね♪」


 地元民ではないが、トリスター贔屓のアニーも便乗する。

 場の空気がほんの少し和らいだ。


「ところで、誰かヘカーテさんを見かけませんでした? 彼女も来ているはずなのですけど」


 咲夜の言葉を聞いた途端、レギンの顔が引きつった。


「ええっ! あいつも呼んだの!? 人の言うこと聞くタイプじゃないでしょ……」

(……呼んだ?)


 偶然集まったはずでは? 裕真は首を傾げる。

 だが仲間たちはそんな矛盾よりも、「ヘカーテ」という名に興味を引かれたようだ。


「ヘカーテ……、もしや、あのフラワーハンターの! すごいわ! その人も来てるんだ!!」


 イリスのはしゃぎぶりからして、その人もSランクなのだろうか?

 “フラワーハンター”という可愛い呼び名からして、裕真は可憐な女性を想像する。


 ……そして、その予想は五割……いや、三割ぐらいは合っていた。



 その時、茜が何かの気配に気づいた。

 振り返った彼女の視線を追って、皆もそちらを見る。


「誰か来たで。人間……ぐらいの大きさやが……ひぇっ!!」


 茜が突然、悲鳴を上げた。


「ひゃあああっ!!」「あわわ……」「ええ……」


 他の面々も思わず声を上げる。

 靄の向こうから現れたのは、鮮やかな緑髪に赤いベストとスカートを揃えた、どこか上品な雰囲気の女性だった。

 だが異様なのは、その右手に握られているもの。

 断面からぽたぽたと血を滴らせた人間の生首が、ぶら下がっていた。


「あら、皆様お集まりで」


 平然と挨拶するヘカーテに、レギンが眉を吊り上げて詰め寄る。


「その首は誰なの!? まさか――」


 ヘカーテは、その可憐な外見に似合わず、暴力を振るうことに一切の躊躇がない。これまでも幾度となく傷害事件を起こしてきた。

 もっとも、相手に非があることが多かったため不問にされてきたが、今回もそうとは限らない。


 詰め寄るレギンに対し、ヘカーテはニヤニヤと不敵な笑みを浮かべるだけだった。

 ついにレギンがレーヴァテインを構え、場の空気が一気に張り詰める。

 その緊張を破るように、モモが慌てて二人の間に割って入った。


「ま……待って下さいっ! その首、邪教徒のものです! この異変を起こした犯人の!!」


 裕真たちは「あっ」と声を上げた。

 確かにその顔は、公園で遭遇したあの邪教徒のものだった。


「俺も顔を見ました! 間違いないです!!」

「そ……そうなんだ……」


 裕真の証言に、レギンはほっと息を吐く。

 しかし安堵した次の瞬間、ヘカーテに揶揄われていることに気づき、頬を赤く染めた。


「うふふ、悪いわね、手柄を独り占めして♪」


 得意げに笑うヘカーテは、「はい、パス」と軽い調子で首をイルマリネンに放った。

 受け取った彼は顔をしかめるどころか、むしろ安堵の表情を見せる。

 どうやら民間人ではなかったことに胸をなで下ろしたらしい。


「本当に大手柄ですな。どうやって見つけたのです?」


 彼の問いに、ヘカーテはまた人の悪い笑みを浮かべた。


 「それは この子のおかげよ♪」


 彼女が手をパンッと叩くと、後方から白銀に輝く巨体が高速で迫ってきた。

 それは左手が破損しているミスリルゴーレム……裕真が地下で戦ったあの個体だ。

 裕真は思わず身構えたが、さらに驚くことが起きた。


「その節は、どうも」   

「……は?」


 ゴーレムが喋った。それも、女の子のような可愛らしい声で。

 二重の衝撃に軽くめまいを覚える。


「えっ? なに? どういうこと!?」

「貴方に一発殴られた時、正気に戻ってね。その後、そこのヘカーテさんに出会って、邪教徒の部屋に案内したってわけだよ」


 裕真は一瞬フリーズした後、彼女(仮)の言葉の意味を理解した。

  

「ああ……そういやダンジョンの魔物って元々人間だったよな。それで洗脳が解けて……つーか 喋れたんだ」


 《巨門星(こもんせい)》のもうひとつの機能、『ガーディアン作製と、支配制御』。

  ダンジョン内で死んだ者の魂を捕らえ、守護者として従わせるという恐るべき力。

 だがその支配が破られたことで、主の居場所が露見し、滅びる結果を招いた。

 まさに因果応報というやつだ。


「そんな馬鹿な……」


 裕真の胸元から、震える声が響いた。

 何事かとスマホを取り出すと、画面の中でアコルルが目を血走らせていた。


「ありえません! 《巨門星(こもんせい)》の束縛が殴られただけで解けるなんて! 他に原因があるはずです! 何か思い当たる節はありませんか!?」


 アコルルは、これまでにないほど興奮した様子でゴーレムに問いかける。

 この場に部外者がいるにもかかわらず、そんなこと気にしていられないといった勢いだ。

 それに気圧されたのか、ゴーレムは8mの巨体をわずかに竦めて答える。


「……他に原因? 多分、ディアナ様のおかげかな? 私の一族はディアナ様の加護を受けているから」


 その一言に、セランは目を剥いた。


「……ディアナ様の加護!? それを受けられるのは、オリオン一族のみのはず!? まさか貴方は……!!」

「あ、自己紹介が遅れました。私はルーナです」


 一同が絶句する。

 次の瞬間、「え!」「は!?」「うそでしょ!?」と驚嘆の声があがった。

 この異変続きの状況でも、さすがにこれは予想外だった。


「ルナちゃん……変わり果てた姿に……」


 およよ、と泣き崩れるモモ。

 その姿に裕真はまた「えっ」となった。

 行方不明になったモモの仲間。『ルナ』は、『ルーナ姫』と同一人物であるらしい。

 後に聞いた話だが、実はこっそり本人から教えられていたそうだ。正体を明かすのは掟に反する行為なのに。


「御労しや、ルーナ様……」


 幸いと言うべきか、それを咎めるべき立場のセランも「およよ」と泣き崩れており、モモの発言は耳に届いていなかった。


「大丈夫だよ。元の身体は保管されてるから。まぁこれはこれでカッコ良くて気に入っているけど」  


 当のルーナは、あっけらかんとした声色だった。

 それが本心なのか強がりなのかは、出会ったばかりの裕真には分からない。


「なるほど、大精霊ですか……。確かに大精霊との契約者をガーディアンにした例はありませんでした。そういう抜けがあったのですね。参考になります」


 一方、アコルルは顎に手を当て、ぶつぶつと呟いていた。まるで研究者のように。


「……アコちゃん、ちょっと声が大きい。聞かれちゃマズい話じゃないか?」


 裕真はちらりと部外者の方々を見る。

 だが実は、Sランクハンターたちは既にシノブから裕真の事情を聞かされていた。

 そのため、アコルルの発言も聞かなかったフリをし、深く追求しない。

  

「まあ、なんにせよ犯人が死んで、姫様も見つかったし、これで事件解決ね♪」

「ダンジョンを自在に操る敵なんて、どうやって倒すのかと思ったら……。あっけない最後だったな」

「ちょっと拍子抜けですよね」


 イリス、アニー、ラナンはほっとしたように笑みを交わした。緊張から解き放たれた空気がその場を包む。


「まぁいいんじゃないか? 無事解決して何よりだ。俺としては、直にブッ飛ばしてやりたかったけど」


 裕真の軽口に、皆が笑った。


 ――ただ一人、アコルルを除いて。


「陛下! まだです! 《巨門星》はまだ敵の手の内にあります! 邪教徒は死んでいません!!」


 切羽詰まった声に促され、裕真は邪教徒の首へと目を向けた。

 土気色の顔はピクリとも動かず、どう見ても息絶えている。


「??? 死んでいないって? どう見てもタダの死体だけど?」

「それは――」


 言いかけた瞬間、天井からぱらぱらと埃と小石が落ちてきた。

 全員が反射的に上を見上げる。

 天井が脈打つように膨れ上がり、次の瞬間、それは巨大な顔面へと変わった。

 そしてその顔は、イルマリネンの手の中にある生首と同じものだった。


「おのれ……この表六のゴロツキ共め!!  よくも我が肉体を破壊してくれたな!!!」


 推定数百メートル以上の顔面が、鬼の形相で怒鳴り散らす。

 耳をつんざく轟音が、ダンジョン全体を揺るがした。

 今まで幾多の魔物を相手してきた裕真も、これには思わず腰を抜かしかける。


「貴様等だけは絶対に許さんぞ! 残りの魔力を全て使ってでも、貴様等だけは絶対に殺す!!」


「きょ……巨大化した!? いったい何が起きているんだ!?」


 裕真の叫びに、アコルルが険しい声で答える。


「……厄介な事になりました。あの邪教徒、《巨門星》の力を使って、自分自身の魂をダンジョンに移したのです!」

「は!? そんなことできるの!?」

「できません!」


 矛盾した答えを即座に返され、裕真は目を丸くした。


「普通はできません! 《巨門星》本来の仕様ではないのです! あの邪教徒は、帝国の想定を超える使い方を自ら編み出したのです!」


 裕真は唖然とし、天井の巨大な顔を見上げた。

 どうやらあの男、こちらの想像を上回る強敵だったようだ。




 ◇ ◇ ◇



 【 おまけ オリオン七大神器 残り二つ 】



 《三日月の兜》

 口元に白く大きな三日月の装飾が、U字型に取り付けられた兜。

 その独特な形状から「白髭の兜」とも呼ばれる。

 装備者の五感を大幅に強化し、暗視・霊視・全方位視界(360度視野)まで備えるという、至れり尽くせりの逸品。



 《無慈悲な夜の女王クイーン・オブ・ノーマーシー

 オリオン王国の最終兵器。

 月の光を一点に集めて照射し、あらゆるものを焼き尽くす。

 ただし、最少出力でも効果範囲が都市ひとつ分なので、今回は使えなかった。



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