第33話 旅立ち
街の大通りを、馬車がガタゴトとゆっくり進んでいく。
その荷台には、縄でぐるぐるに縛られミノムシのようになったニーアさんが転がされていた。
「その馬車、ちょっと待った!」
馬車を止めるべく、裕真が全速力で駆け込んでいく。
魔道具で強化された脚力であっという間に追いつくと、馬車の前に滑り込み、進路を塞ぐように立ちはだかった。
突然の騒ぎに、通りを行き交っていた人々が足を止め、どよめきが広がる。
何事かと視線が集まる中、それでも裕真は構わず叫んだ。
「ニーアさんをどうする気だ!?」
事前に「奴隷として売り飛ばされるかも」とは聞いてたが、念のために確認する。もしかしたら別件で連行されているのかもしれないし。
だが、御者席を見た瞬間、裕真の表情が固まった。
そこにいたのは裕真にとって予想外の人物――茶色の髪をツインテールにした小柄な女の子だったからだ。
「なにって……。借金返せんってゆーから、売り飛ばすだけやが?」
少女は気怠そうな声で当たり前のように言う。
その服装は、このマイラでは滅多に見かけない珍しいものだった。
朱色のゆったりとした上衣は、肩からまっすぐ落ちる柔らかな布と、広く取られた袖が特徴で、まるで平安貴族の狩衣を思わせる。だが裾から覗くのは、膝上丈の黒のプリーツスカートとロングブーツという洋風の装い。和洋折衷の組み合わせだった。
(雲雀さんと同じく、『統星の国』の出身か?)
見た目の年齢は地球で言うと中学生ぐらい……もっともこちらの世界では外見が実年齢と一致するとは限らない。現に彼女の態度は堂々としていて、子供とは思えない貫禄があった。
なので、その疑問は置いといて、こちらの要件を伝えた。
「その借金は俺が払う! だからニーアさんを解放してくれ!」
息を整えながら叫ぶと、少女は片眉を上げて、首を横に振った。
「あかん。既にこいつの売買契約は成立しとる。それを反故にすれば、違約金を払うことになる」
「……売却先はドコです?」
後ろから駆けつけた篤志が、肩で息をしながら問いかける。
「ヒドラポリスや」
その一言で、場の空気が凍りついた。
「ヒドラポリスだって!?」
「娼館よりヒドイ!」
続いて駆けつけたイリスとラナンの表情がこわばる。その反応に、裕真はぎょっとした。
「え……? ヒドラポリスってそんなにヒドイの?」
その問いに、アニーが青ざめながら口を開いた。
「『ヒドラポリス』というのは医療の国『アルファルド』の首都で、その名の通り『ヒドラ』の加工品を主要産業にしている街です。」
さらにイリスが説明を重ねる。
「ヒドラってのはね、不死身に近い生命力を持つ魔物で、錬金術師にとって垂涎の素材なのよ。マークのアレを復活させた『再生ポーション』も、ヒドラが原料になってるの。」
「なるほど……。それで、その街の何がヒドいんだ?」
イリスが一段階、声を低くして答えた。
「ヒドラの毒はね……、指先に触れただけで全身が腐るほどの超猛毒なの」
「マジで!?」
ぞわりと背筋に冷たいものが走った。 そんな猛毒、裕真の想像を超えている。
「聞いたことがあるぜ……。そんな危険物を取り扱っているから、事故死する奴が後を絶たない。だから何時でも人手不足だって」
ラナンの言葉に、裕真は絶句した。
ニーアさんの美貌から、エッチな店に売られるのかな……などと想像していたが、それを上回る酷さだった。
「せやから若うて健康な錬金術師が、高う売れるってわけや。金で買われる以上、最も危険な作業を任せられるやろうなぁ……。まぁ、持って五年……いや、三年かなぁ」
少女は肩をすくめ、ニヒルな笑みを浮かべた。
「待ってくれ! 違約金だっけ!? それも払うから!!」
「うーん……。金だけやなく、ウチの信用にも関わるからなぁ……」
少女は腕を組み、うーんと唸るように首をひねった。
裕真は声を張り上げ、畳みかける。
「それも補償する!!」
「ほなら、込み込みで100万マナ(約一億円)になるな。払えるんか?」
「んなもん余裕だ!」
即答した裕真は、《どうぐぶくろ》の口を大きく開くと、中から大量の高額硬貨を地面にぶちまけた。
観衆から「おおっ……」と、感嘆の声が上がる。
少女は渋面から一転、満面の笑みになった。
「毎度あり~♪ はい、領収書と、奴隷の権利書な♪ 無くさんよう、しっかり保管しいや」
「え……っ」
あまりの手のひら返しに、裕真は思わず間の抜けた声を漏らした。
だが少女は意に介さず、指をパチンと鳴らす。
その瞬間、ニーアさんの手足を縛っていた縄が、ふわりとウミネコの群れに変化した。
ウミネコたちは地面に散らばった硬貨を一つずつ嘴で摘み、少女の服の裾に吸い込まれていく。
それはまるで幻のような光景で、今までにいくつも魔法を見てきた裕真でさえ、思わず見とれてしまった。
「確かに100万マナやな。おおきに」
満足げに言い残し、少女は馬車を走らせ去っていった。
裕真たちは呆然と、その後ろ姿を見送る。
そのとき、イリスが何かに気づいたように、ぽつりと呟いた。
「ユーマ……やられたわ。あの子、最初からあなたに売るつもりだったのよ。どこからかあなたの評判を聞きつけて」
ハッとする一同。
ラナンが腕を組み、ちょっと感心したような表情を浮かべて言った。
「ああ…… だからわざと目立つよう、馬車で市中引き回しに」
だが、裕真自身は、あっけらかんとした様子で言い放った。
「……まぁ、本当にヒドラポリスに売られるよりはマシか。危うくニーアさんと今生の別れになるとこだった」
軽く笑ってみせると、皆は苦笑した。
そんな中、助けられたニーアさんは、ぽかんと口を開けたまま、困惑した様子で声を上げる。
「な……なんで私を助けてくれたんですか!? 100万なんて法外なお金を出してまで!」
(100万って法外なのか?)
裕真は心の中で首を傾げる。
奴隷の相場なんて知らないが、ニーアさんのように美しい人なら……いや、変な意味じゃなく、それくらいの価値はあると思っていた。
「なぜって……。ニーアさんの店が焼かれたのは、俺の責任でもあるし、そのせいで破産したのに、見て見ぬふりなんてできませんよ」
「それ、悪いのは邪教徒じゃないですか!」
真っすぐに返され、裕真は少し驚いた。
理屈ではその通りだ。だが、あんな酷い目にあったのに、裕真を逆恨みせずそう言い切れる善性に、思わず感心してしまった。
「理屈ではそうなんだろうけど……そう、これ俺の感情の問題! 自己満足!……俺はこれ以上、俺と関わった人が不幸になるのを見たくないだけなんですよ」
そう言って裕真は、手にしていた奴隷の権利書を無造作に破り捨てた。
紙片が宙を舞い、またしても観衆から歓声が上がる。
「だから恩に着る必要はまったくありません。俺に奴隷は要らないから、今まで通りお店を続けてください」
その言葉に篤志が目を見開き、慌てて口を挟んだ。
「ちょっとユーマ! なにカッコつけてるんです!! 錬金術師を仲間にするチャンスでしょ!!」
「弱みに付け込むような真似はしたくない!」
裕真は強い口調で言い切った。
仲間になるかどうかは本人に決めさせる……という話だったが、よくよく考えると借りを作った直後に誘うのは、実質的には強制と変わらない。
命懸けの冒険になるのである。本当に納得したうえで、一緒に戦ってほしいのだ。
「……! 錬金術師が必要なんですか?」
2人の会話を聞いていたニーアさんが、はっとしたように声を上げる。
破れた奴隷の権利書に目を留めると、すぐさま身をかがめて拾い上げた。
「なら、私を奴隷のままでいさせて下さい!」
そう言い放つと、飛び散っていた紙片がニーアさんの手元に集まり、権利書はみるみる元の姿を取り戻していった。
錬金術師の修復魔法である。その手際の良さに、裕真は思わず息を呑む。
「ご主人様、私は必ずや、貴方のお役に立ってみせます」
アメジストのように輝く瞳が、真っすぐ裕真を射抜いた。
「え、いや……無理しなくていいっすよ。はっきり言って危険な旅になるんですから」
裕真は少しだけ目を細めて、考え込むような仕草を見せたあと、ぽつりと言葉を継いだ。
「ほら、街を襲ったデュ……巨大な怪物みたいなのと、何度も戦うことになるんですよ?」
うっかり名前を出しかけて、慌てて言い直す。
街を壊したあの怪物の正体がデュベルだということは、知られてはならない秘密だった。
「構いません! 助けてもらった恩を返さないなんて、男が廃ります!!」
「ははっ、男が廃るって」
冗談だと思って笑う裕真。
だが、その様子を見ていたイリスが、ふと呟いた。
「あ……、知らなかったの? ニーアさんは男の子よ」
「……は? いやいやいや」
思わず素っ頓狂な声を上げる裕真。冗談にしては、妙に真顔だ。
「あ……はい、本当ですよ」
ニーアさんはおずおずと上着のボタンを外し、少し前かがみになって服の中をみせる。
そこには何の膨らみもない、真っ平らな胸があるだけだった。
「……あっ、う……うん」
視線を逸らしながら顔を赤らめる裕真。
確かに胸は平らだが、細い身体に白くきめ細かな肌。見た目だけなら、胸の育っていない少女と言っても通じてしまう。
「男の胸を見て……」
「もしやユーマさん……」
ラナンとアニーがひそひそと囁きながら、意味深な視線を送ってくる。
不本意極まりない疑惑だが、裕真は無理やり話を戻す。
「そこまで言うなら――。ただし、奴隷ではなく、対等な仲間として」
「そんな、私が仲間だなんて……。100万の借りを返してないのに、対等な立場になるなんて、恐れ多いです」
生真面目というか、かなり頑固なところがあるようだ。
裕真が言葉を詰まらせるのを見かねて、イリスがすっと前に出る。
「あら、それが問題なの? それならすぐ返せるわよ、100万の借り。なにしろ私達は『世界七大遺産』に挑むつもりだもの」
「……えぇっ! 七大遺産!? この世の地獄と言われるSランクダンジョンに!?」
世界七代遺産。そこは計り知れない危険が待ち受けているが、そのリターンもまた計り知れない。
仮に攻略に成功すれば、100万マナなど小銭と思えるような財宝が手に入るだろう。……攻略できれば、だが。
怯えたように顔を引きつらせるニーアさんに、ラナンがにやりと笑いかける。
「ああ、その地獄に飛び込むのさ。ヒドラポリスの方が、まだ安全かもしれねーな」
「い……いえ! 構いません! あの街に戻るより、ダンジョンで死んだほうがマシです!!」
「いやいや、もちろん誰も死なせるつもりはないから!」
裕真はそう言うと、再び権利書を破り捨てた。
「まぁ、とにかく“仲間”として歓迎します、ニーアさん。実はこのパーティ、ほとんど女の子で少し肩身が狭かったんだよ。男の仲間が増えるのは助かるし、嬉しい」
「はい、今後ともよろしくお願いします!!」
その笑顔はまるで花がほころぶようで、可憐そのものだった。
こんなに可愛い子が男の子だなんて、地球では(少なくとも裕真が知る限り)有り得ない。流石はファンタジー世界だ。
「……男が増えたら嬉しいのか」
「やはり、そういう趣味……」
またしても不本意な疑惑が飛んできたが、ひたすら無視した。
なお後日、ニーアさんは裕真のことを「ご主人様」と呼ぼうとしたが、裕真は断固拒否。しかしニーアも引き下がらず、最終的に「ユーマさま」と呼ぶことで落ち着いた。
また裕真も、彼を「ニーア」と呼び捨てにし、フランクに接するよう求められたのだった。
◇ ◇ ◇
デュベルとの死闘から二十日後――
篤志は旅に向けて特注の馬車を注文しており、それがついに完成したという。
ちょうど暇を持て余していた裕真は、彼に誘われるまま一緒に受け取りへ向かった。
しかし、工房に到着して目にしたのは、街でよく見かけるような、なんの変哲もない幌馬車だった。
「……本当にこれ? 特注品と聞いたんだけど」
思わず眉をひそめる裕真に、隣の篤志が得意げに微笑んだ。
「見ただけで分かるようだと、盗まれちゃいますから」
なるほど、と裕真はひとつ頷いた。確かに、それも一理ある。
「でも中身は別格ですよ! 旅を快適にするための魔術付与をふんだんに盛り込んでいます!」
篤志は誇らしげに胸を張り、まるで高級スポーツカーを披露するかのように語り始めた。
「まず全体的に耐久性向上のエンチャントが施されています。一回ぐらいなら横転しても平気ですし、嵐や雹や霰、ゴブリンの投げ槍にも耐えられます」
へぇ……と、裕真は興味半分で幌を指先でつついてみた。
見た目はただの布だが、なにか布とは違う不思議な感触があった。それは強いて言えば圧縮した空気の塊のようであり、おそらく魔法による保護膜なのだろう。
「幌には温度調節機能もあります。暑い日は外の涼しい風を通し、寒い日は内側の温かい空気を逃しません」
言われるがまま中に入ってみると、たしかに快適な涼しさが広がっていた。まるでエアコンでも効いているかのようだ。
「車体には軽量化のエンチャント。全体的な重量を大幅に軽減し、馬への負担を減らします。車輪は耐久性と伸縮性に優れたエルダートレントを使用し、表面にはレッサーベヒモスの皮を巻いて、荒れた道でも滑らかな走行が可能に!」
レッサーベヒモス……。その名を聞くだけで、どれほどの高級素材かが想像できる。
たしか、デュベルが能力を奪っていた魔物のひとつで、討伐Lvは105もあるやつだ。
「また車軸には古代ドワーフ文明の技術で作られたサスペンションを使用しており、快適な乗り心地を実現しました」
「へぇ……」
思わず声が漏れる。情報量が多すぎて、正直、半分くらいしか頭に入ってこない。
ちなみに馬車のスペックについて、篤志があえて語らなかったことがある。
それはこの馬車を実際に引く馬だ。
この世界の乗用馬は、魔物に対抗できるよう強化魔法や強壮剤によって改造されているのが普通だ。
筋力も反応速度も桁違いで、それはもう野生の馬とは別物。半ば魔物のような存在と化している。
こちらの世界では当たり前のことなのだろうが、地球の価値観で見れば動物虐待に映りかねない。裕真の性格からして、そういうのを快く思わないだろう。なので黙っておくのだった。
「この馬車でなら毎時20kmで走れますよ!」
「……え? そんなもんなの?」
ぽつりと返した裕真のひと言に、篤志の顔が強張った。
「……あのですね、普通の馬車ってせいぜい時速10km前後。荷物がいっぱいなら4Km……人が歩く程度の速さなんですよ? 時速20kmなんて破格の速さなんですからね!」
「あ……うん、ごめん。なんか数字にされると原付より遅いのか~とショボく感じちゃって」
ばつが悪そうに言う裕真に、篤志はがっくりと肩を落とす。
「……ちなみに、かかった費用は150万マナ(約1億5千万円)です」
「へぇ……」
「今、原付なら10万円で買えるのに……って思ってます?」
「えっ、いや、そんなことは!」
本当は図星である。
まだこの世界で本格的な旅を経験していない裕真には、馬車の価値も、篤志のこだわりも、いまいち伝わらないのだった。
◇ ◇ ◇
馬車完成から二日後、ハンターギルドから、ようやく魔石の代金2,700万マナ(約27億円)が支払われ、ついに旅立ちの時が来た。
出発の日、街でお世話になった人たちが見送りに駆けつけてくれた。
ハンターギルドの受付嬢ランラン、宿屋の女将雲雀、七柱神殿のリリエル、精霊術師のミケーネ。
そしてエドワードチーム唯一の生き残り、ポール。
彼は寄生菌類に脳を侵食されていたが、リリエルの卓越した治癒魔法によって、すっかり元気を取り戻していた。
お世話になったギルド宿舎の前から街を見渡すと、いまだ修復されていない家屋や石畳が目に入る。人手が圧倒的に足りておらず、多くの住人が仮設テントで不便な生活を余儀なくされていた。
裕真も最初は復興作業を手伝おうとしたが、仲間たちに止められていた。
デュベルは倒したが、街にはまだ邪教徒が潜んでいるかもしれない。あまり目立つような行動を取るべきではないと。
皆の心配はもっともだが、それでも胸には引っかかっていた。
「……街の復興のために、寄付するかな? 一千万ぐらい」
イリス「はぁ!? 何言ってるの!!これは邪神と戦う為の軍資金でしょ!!」
イリスが肩を怒らせてツッコむ。
そんな彼女を、雲雀さんとリリエルが笑って宥めた。
「裕真さん、私たちは大丈夫ですよ。家の修理費や生活費は姫様が出してくれてますから」
「多少は不便だが、人的被害も出なかったし、皆もそこまで落ち込んでない」
その言葉に、裕真は少しほっとする。
「そっか……。それにしても、結構な被害額なはずですよね? それを払えるなんて、この国、そんなにお金持ちだった?」
ミケーネ「いやー、良くも悪くも普通の小国にゃ。なんでも先祖代々の貯金を切り崩したとか」
耳をぴくぴくと動かしながら、ミケーネ先生が語る。
「へぇ……それ、やっぱり苦しいんじゃ?」
ランラン「まぁ、こういう時のための貯金でしょ?」
ランランがあっけらかんと笑う。
「それに、貴方には化け物を倒して国を救ってもらったのに、お金まで出してもらいました……なんて、国の面目が立たないわ」
裕真は「ふむ」と頷き、納得した。
その様子を見て仲間たちは一安心する。今あるお金のほとんどは裕真が稼いだようなものだ。彼が募金を強く希望すれば、止めることなどできない。
「すまない! 裕真さん……調査費、本当は全額返さなきゃいけないのに――」
ポールが神妙な面持ちで頭を下げる。
犯人を見つけるどころか、その犯人に依頼主の情報を渡してしまった。クライムハンターとしてあるまじき失態であり、本来なら一銭も受け取る権利もない。
ポール個人としては返金したいところだったが……。
「何を言うんです! ポールさんたちが邪教徒の情報を掴んでくれたから俺は今、生きてるんです! どうか気にせず受け取って下さい」
「すまない……」
死んだ仲間たちには家族……特にエドさんにはまだ幼い子がいる。
その人たちには、お金が必要だ。
ポールは裕真の温情に深く感謝し、涙を浮かべた。
「ユーマ、旅の道中で私の弟を見かけたら、ケツを引っ叩いてやってくれ。天使の癖に風俗に嵌って堕落した、どうしようもないやつだ」
裕真「天使が風俗!?」
先ほどまでの感動を打ち砕くように、リリエルが唐突に言い放つ。
脳が処理を拒否するような衝撃発言だった。
「ちなみに顔は私と瓜二つなので、すぐ分かると思う」
「……引っ叩きませんけど、姉がよろしく言ってたとは伝えときます」
最後に、裕真は改めて深く頭を下げた。
「それでは皆さんお世話になりました!」
こうして、裕真パーティの新たな旅が始まった。
目指すは、西方大陸の中心都市『トリスター』。
その地で待ち受けている新たな試練を、裕真たちはまだ知らない。




