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彼女と急展開

 僕は自分の部屋のベットの上で今日、ネオンとジンと話した将来のことについて考えていた。 


僕は何がしたいのか。


 「なぁお前はどう思う?」


 召喚したキメラに問いかけても「グルル」とだけ帰ってきた。精霊や一部の魔獣は意思疎通ができるがキメラは僕の言葉は理解して、僕も何となくキメラの言っていることがわかる。いつか喋れる魔獣を合成したらキメラも喋れるようになるのかな。


 今日はそのまま寝てしまった。



 

 僕の1日の流れは大体決まっている。

朝起きて顔を洗い、屋台の仕込みの手伝いをしたから朝食。そのまま屋台に出て働くか、図書館に行って英雄譚を読み漁るところで午前中が終わる。家で昼飯を食べたあとはネオンとジンと遊んだり一人で街を出歩いたり自由にのんびりと暮らしいてる。


 僕が一番好きな英雄譚は『大騎士道』

 1人の騎士が王女のために一生の忠誠を誓い生涯をかけて守り抜く話だ。僕はこの一生かけて1人に忠誠を誓うところに憧れている。なんてカッコいい生き様なんだと思う。

 

 平民になれるはずが無いのに将来はこんな感じだったりしてと妄想したりする。平民の僕が出来そうなことといえば、力をつけて冒険者として民を守ることくらいか。もしかしたら僕がやりたいことはこれなのかもしれない。


 そして今週から週に1日だけアリシアに僕の日常を聞かせ、アリシアは僕に貴族の暮らしを話す日々が始まった。


 最初は友達にはなったがお互いのことはまるで知らなかったのでお互いを知ることから始まった。そこでアリシアのことが大体わかってきた。


 アリシアはグラン公爵家の一人娘で守護獣は精霊型風の中位精霊。グラン公爵家は代々風の精霊と相性が良いらしい。歳は僕と同じ8歳で成績優秀だが、こうして屋敷を抜け出し平民街まで来る活動力もある。平民にも優しい金髪美少女だ。


 そこからは僕は面白いお客さんが来たこと、ネオンとジンとバカな遊びをして叱られたこと、この一週間食べたもの、読んだ英雄譚のことなどを。アリシアは家庭教師の先生との勉強が大変で辛いことや、魔法の進捗、貴族社会の構造などを教えてもらった。


 そんなことを何週もしているうちに出会ってから半年が過ぎた。


 今日なんだか怒っているのか、顔がムスッとしている。


 「ちょっとアレク聞いて!」


 僕の肩を掴み、揺さぶりながら勢いよく話しかけてくる。

 

 「わかった!聞く!聞くから揺さぶるなー!」


 僕に言われて自我に戻ったのか恥ずかしそうにしながら話し始めた。


 「この間王都でパーティーがあって、そこに出席した時にめんどくさい侯爵のDQNがしつこくネチネチと話しかけてきてほんと、うんざり!ナンパするなら相手の気持ちくらい考えろって感じよ」


 アリシアが侯爵家のボンボンの言い寄られた。その事だけで僕の頭は真っ白になった。やっぱり僕とアリシアは住む世界が違うのかな。いきなりアリシアが遠くへ行ってしまったかのように感じた。


 「良かった‥‥アリシアがそんな侯爵のボンボンに靡かなくて本当に良かった‥‥言い寄られたと聞いてとても不安というか、よく分からないから気持ちになったから‥‥‥」


 思わず本音が出てしまった。


 「当たり前でしょ。もしアレクが他の女の子に言い寄られたは私も不安になるよ。でもアレクがそう思ってくれて少し嬉しい」


 アリシアはにこやかに微笑みながら言ってくれた。


 (そうか、アリシアも同じ気持ちなのか。)


 「アリシア!僕と君では身分が全然違うし、世間的にはマズイのかもしれない。けど僕は君が好きです。あの美味しそうに焼き鳥を食べてくれた日からアリシアのことが好きです!僕と付き合ってください!」


 あのモヤのかかったような気持ちはこれだったのかとハッキリ分かった。とても怖い。これで断られると思うと、今まで通りの関係でいられなくなるかもしれない事。でもそれ以上に他の男の取られるのだけば絶対嫌だ!そんなの耐えられない。


 「身分なんて関係ないよ。私もアレクが大好き。こちらこそお願いします」


 「良かったーーー!!ほんと!良かったーー!!」


あまりに安心して、嬉しくて叫んでしまった。勇気を出して良かった。


 「私も、私から言おうか悩んでいたからアレクが勇気出してくれて嬉しい」


 抱き合い体を震わせ安堵しあった。


 「でも外聞的に周りには内緒にした方がいいかもな。僕の周りは大丈夫だけど、アリシアは色々あるでしょ?」


 俺は平民だから周りの人たちもあまり気にしないが彼女はそうはいかない。公爵家の大事な大事な一人娘だ。

 

 「隠すのは、私としてはちょっと不服だけどそうだね。これからは内緒の恋人だね」


 彼女は落ち込むでもなくちょっと楽しそうに、笑った。



 こうして僕らは秘密の恋人になった。

 

 


 

読んでくださりありがとうございます

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