友達になってくれないかしら
アリシアは流石に守護獣の見た目でバカにされていることを聞いたからか、少し落ち込んでいた。
「それは辛いことを思い出させてしまってごめんなさい。でも私はその子可愛いと思うわよ。少し撫でさせてくださる?」
たとえ僕を励ますためのお世辞だとしても守護獣を褒められるのは嬉しいと感じ、アリシアと僕の守護獣が戯れている様子は微笑ましいものだった。
「それで、この子は何なの?ほんとはとっても強いんじゃない?普通、守護獣のせいでそんな扱いを受けたら守護獣のこと嫌いになるものでしょ?でもあなたはこの子を心から信頼してるみたい。違った?」
!!!!!!!?????
(貴族の勘ってやつか?とんでもないな。でもまだ正体をバラすわけにはいかない。)
「まーこんだけ可愛かったら好きにもなるよ。別に友達にどう思われようよ関係ないし。他に良い友達がいるからそれで十分だよ」
なんとか頭を回転させ、言い訳を思いつく。
「今はそう言うことにしてあげる。なら、私と友達にならない?平民のことを知りたいなら平民に聞けば良い。あなたの守護獣にも会いたいし、私は対等の友達っていないの。だから私の友達になってくれないかしら」
(とんでもないこと言い出したぞこの女。公爵令嬢と平民が友達?だかこんな可愛いい顔でお願いされたら断れるわけがない。改めて見るとすごい美少女だな。)
「僕でよければ友達になろう。僕たちの暮らしの話をしたら良いんでしょ?なら君は貴族のことを教えてくれないか?」
平民のことを知りたいなら僕の身の回りに起こったことが一番だろう。
「アリシアでいいわ。私もあなたのことは、アレクサンダー。‥‥‥長いわね、アレクって呼ぶわ。貴族の話なら私の愚痴でも聞いてもらおうかしら」
(両親、友達からはアレクって呼ばれるのは慣れているがアリシアからだとドキッとする)
「わかった、アリシア。それでお願いするよ」
ここで摩訶不思議な身分の差など気にしない友達関係が誕生した。
この世界は1年365日、12ヶ月で1週間は7日間になっている。
「もうすぐお屋敷に戻らないと叱られてしまうわ。私は毎週この日のこの時間に抜け出してくるから、あなたもここに来て。約束よ?」
「わかった、忘れない。また来週ね」
そう告げ二人はそれぞれの家に帰っていく。
「そう言えば僕は彼女のこと何も知らないな。どんな守護獣かも歳も。そんなんで友達になるなんて変なの。でも可愛い子だからいっかー!さぁ、帰ろうか、キメラ」
9歳といえどアレクサンダーも男の子。むしろこのくらいの年から異性を意識し始める。それがあんなに可愛い子だったら尚更だ。ほんの少し生まれた恋心と二人の友達付き合いはどうなるのか。
少し短めです。
こんな拙い小説にブックマークがもう付いてとても嬉しいです。ありがとうございます。