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お前ウチで働かないか?

小説家になろう初投稿ですが、よろしくお願い致します。


俺の名前は神城悠、都内の私立大学に通う何処にでも居る大学生だ。


現在俺は全国的に展開されている飲食チェーン店でアルバイトをしている。時給も良いし楽だし、悪くはない仕事だ。


だが


「あ、神城君。君明日から来なくていいから。」


バイト終わり、店長の一言に俺の脳が衝撃を受ける。


なんせ俺は今日、クビになったのだから。


俺は現在は独り暮らしをしており、両親は俺を自立させるために一切の仕送りをしていない。そのため今まではバイトと奨学金で今どうにか遣り繰りしていたが…先程クビになってしまったと言う訳だ。


バイトをクビになったのは理由には心当たりはある、最近不景気だの人件費削減だの店長が話していたからだ。


だが今バイトをクビになるのは正直困る、収入がバイト代無しで奨学金のみとなると、大学の学費を払いながら生活するのが厳しすぎるのだ。


「……はぁ。」


貧乏学生には厳しいご時世だ。


ベッドに寝転がり、スマホで求人サイトを見てみるが見るからにブラックである所が殆どだ。だがやはりこの際仕事を選んではいられないか…


覚悟を決め適当なバイトに応募しようと思った時急にスマホが震える、メールの様だ。


「誰だ?こんな時に…」


そう言いながら通知を確認すると思わず頬が緩んだ。


『よぉ、元気か?明日飯でも食いにいこうぜ。』


送り主は高校時代からの親友で、彼からの食事の誘いだった。良い機会だ、少し今回の事について愚痴代わりに少し話を聞いてもらおう。


俺はLINEのチャットに


『いいぜ、俺も少し相談したい事が有るんだ。』


と書き込み、送信するのだった。


***


翌日、近所のファミレスにて。


「おーい。」


こちらを見るなりテーブル席で嬉しそうに手を振る男が一人。久しぶりに顔を会わせたからか、思わず微笑んでしまう。


「よう、久しぶりだな。」


挨拶をして彼と対面する形で席につく。


「おう、久しぶりだ…会わなくなって何年だ?」


「せいぜい一年、そんなに年月たってねぇよ。」


こいつは作田海人。俺とは高校時代からの付き合いで、よく世話になっていた良い奴だ。


卒業してからは何の会社かは知らないが開業したらしい。そのため忙しかったからか、高校卒業以降はメールでのやり取りが殆どでこうして直接会う事は一度も無かった。


「で?なんだ相談って?」


海人はテーブルに両手を組んでどっかの使徒と戦う組織の司令官のポーズを取りながら俺にそう尋ねて来た。


「え?まずそれ聞くのか?」


「いや、久しぶりに高校時代からのダチと会ったんだ。ワイワイ騒ぎたいだろ?堅苦しい話しは最初の内に済まそうぜ。」


椅子の背もたれに寄りかかりながら海人はそう言う。


こいつは昔から優しい奴だ、何時もどんな事を相談しても真剣に考えてアドバイスしてくれた。よく考えたら親友と言うより恩師かもな。


「実は…先日バイトをクビになった…働き先が無いから金も無い…何か良いバイト紹介してくれると有り難いんだけど…」


「あー、そうなのか…働き口探してるのか?」


「おう。」


「なら丁度良い!」


海人は真剣な表情からぱぁっと明るい笑顔を見せ、椅子に寄りかかっていた体をこちら側に向けた


「お前ウチで働かないか?」


え?


「いいのか?」


急な話にパニックになりつつ、確認を取る。多分今の俺は驚き過ぎて冗談抜きに目玉が飛び出ているのかもしれない。


だが俺の驚いた態度をよそに海斗は再び椅子に寄りかかって水を一口飲む。


「良いのかって…俺とお前の仲だろ?それにお前とは会社建てる前から一緒にやりたいと思っていたからな…どうだ?待遇も良くするぜ?」


「だが…その前にお前の会社って何の会社なんだ?」

そう質問すると、海斗は思い出したかの様な表情をして答えた。



「あー、ゴメン。伝え忘れていたな。警備会社だよ。」


…え?


「警備ってアレ?なんかのイベントで車誘導したりする人?」


「あー、ウチらはそう言った奴じゃなくて、護衛…ボディーガードだね。」


ボディーガードか…あー、そういえば高校時代の俺と海斗って良く学校でいじめられている女子を守ったりしていたっけ…懐かしいな。


それで警備会社って事か…確かに海斗らしいな…


「本音を言うと、俺はまたお前と誰かを守る仕事がしたい。覚えているだろ?高校時代。」


「ああ…あの時は楽しかったな…」


高校時代、二人で馬鹿をしていた時の思い出が走馬灯の様に脳裏によぎる。


護衛の仕事か…正直一年間のブランクも有ってか勘も鈍っているだろう…でも、俺ももう一度コイツと同じく誰かを助ける仕事をしたい。


働き口は見つかるし、待遇も高くしてくれるし、此方としては有難い話だ。


「それじゃあ、よろしく頼むよ。」


「よっし!お前ならそう言ってくれると信じていたよ!」


そう言うと海斗はそっと此方に手を差し出す。


「それじゃあ、これからよろしく頼むよ、新米社員の神城君。」


「ははは、よろしくお願いいたします社長。」


なんだか複雑な気分だな…働く口が見つかったけど、そこが親友が設立した会社で…


実質俺、同級生の部下になるってことでしょ?


でもまぁ、仕事が貰えるだけ幸せか、待遇も良くしてくれているらしいし。


そんな思考を頭に巡らせながら、俺は海斗と固い握手を交わすのだった。










最後まで読んでくださり、有り難うございました。

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