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第4話:真夏の夜のレシュティ

・・・はっ!

 なんだか一年くらい寝てた気がする。いやいや、そんな訳ないんだけど、よくよく考えてみたら、面倒だから僕に名前を付けずに、吾輩は猫であるのパロディをやらせる作者だから、そんな事も多分あるのだ。


 閑話休題。


 いや、休題もくそも、まだ始まってさえ居ないんだけど。

 まぁ良いや。

 皆さんいかがお過ごしですか?

 ちょい勝ちニートの僕です。

 しょせんちょい勝ちでしか無い僕は、こんなクソ暑い真夏だって言うのに、エアコンを付けっぱなしって訳にはいかない。電気代かかるからね。

 だからこんな真夜中の熱帯夜に起きちゃうんだよ・・・。

 

 とは言えだ。起きたからには何か食べたい飲みたい歌いたい! 深夜もヒッパレ!

 いや、僕、そんな世代じゃないんだけど。

 おーい冷蔵庫、何が入ってる?

 んー、牛乳、卵、うどん・・・カルボナーラかな? あ、でもチーズが無い。せっかく作るならチーズ欲しい。

 でも外暑いし買いに出たくないなぁ。

 あっビールも無い!

 仕方ない、買いに行くかな。



 外に出てみたら、思ってたより暑くない。いや暑いけど。どっちやねん。

 そりゃ夏なんだから暑いのは当たり前で、短パンTシャツの部屋着スタイルじゃなかったら気が狂う・・・って程じゃないけどやっぱり暑い。

 でも思ったより風があって、昼間みたいにオイルの中を泳ぐみたいな、ねとつく暑さじゃない。

 

 この時間でもやってるスーパーに行くか、コンビニで済ますか、少し考えながら歩いてたら、交差点の向こう、まだ灯りのついてる店がある。

 夜遊びを得意とする人達なら分かってくれると思うけど、あれはお酒が飲める店だ。そして、美味しそうでオシャレっぽい灯りだ。

 あんな所に、そんな店あったっけと思いながら、チーズを買うって当初の目的が吹っ飛んだ僕は、それこそ灯りに群がる夏の虫みたいに、その店に足を向けるのであった。

 なんて書くと、物語が展開しそうじゃない?




 チーズ谷?

 なんて読むんだろ…? ちーずたに? だにかな? あ、もしかして入谷だし、ちーずや、かも。

 ラクレットチーズとチーズフォンデュの専門店って書いてあるけど、ラクレットチーズはともかく、チーズフォンデュなんて1人でこんな時間に食べて良いんだろうか?

 とは言え、そもそもチーズを求めて家を出た訳だし、渡りに船とはこの事だ。入らないって選択肢は無い。

 

「いらっしゃいませ。お一人ですか?」

 店長さんかな? ちょっとヤンチャな感じのする、だけどにこやかな男性に聞かれた。

「はい、1人です。1人でチーズフォンデュとか大丈夫ですか?」

 少し訝しむみたいに聞いた僕に、ヤンチャそうな店員さん(オーナー店長さんだと後で聞いた)が、結構よくいらっしゃいますよと教えてくれた。


 カウンターに案内されると、こんな時間だっていうのに、テーブルには何人かお客さんが居て、生ハムか何かをつまみながら飲んでいた。

「ウチ、チーズフォンデュとラクレットチーズが売りではあるんですけど、本来的にはスイス料理の店なんです」

 さっきの店長さんじゃなく、女性の店員さんがメニューを出しながら言った。

 チーズフォンデュやラクレットチーズは、デフォルトの具材に野菜や肉を追加できるだけじゃなくて、何種類もあるチーズを選んだり、チーズとは別にディップする薬味を追加できたりするそうだ。なるほど、楽しそう。

 まずはビールでと思ったけど、せっかくだし、市場では珍しいと教えてもらった、スイスワインを飲んでみよう。まずは白から。お通しが出るそうなので、料理の注文はその後にしよう。


 注文を終えて店内を見回して、やっぱりオシャレな店だと思う。

 ちょい勝ちニートになって一年が経つも、相変わらず彼女はできそうもない。

 だけど、もしできたら、こういう所に連れてきたら喜んでくれるのかなと、まだ見ぬ恋人の事を思う僕は我ながら気持ち悪い。

 スイス。あまり詳しくはないけど、ヨーロッパの北の方だったよね?

 ツール・ド・フランスとかで見る、石畳の街とか、あんな感じかなと思う。

 運ばれて来た、人生初のスイスワインは、少しイーストの香りがして、全体的には飲みやすい味だった。

 お通しは、牛の生ハムとケッパー、自家製ピクルスだった。

 牛の生ハムっていうのも人生初。豚より少し肉の香りが強いけど、肉自体は上品。自家製のピクルスも程良い酸味で美味しい。

 

「何かオススメってありますか? ラクレットチーズとチーズフォンデュは後で頼むので、それ以外で」

 僕がそう言うと、女性の店員さんが

「スイス料理は初めてですか?」

 と聞き返して来た。

 恥ずかしながら初めてです。

「それならば、レシュティなんていかがですか? 気取らない、スイスの家庭料理の代表なんですけど、これが好きな常連さんもいらっしゃるんですよ」

 と言われ、じゃぁそれをと答えた、完全に受け体質の僕。




「お待たせしました。レシュティです」

 女性の店員さんは、ウェイトレスさんでがなく、メインシェフなのだそうで、今度は店長さんが持ってきてくれた。

 深さ4cmくらい、直径20cmの鉄鍋が出てきて、ジャガイモとタマネギのパンケーキに、ベーコンと半熟卵それに水菜がわっさーと乗っていて、ナイフで切って、お好み焼きみたいに食べると聞いた。

 ではまずは一口。

 おほっ熱い。

 ワインで冷やしながら、ハフハフ食べる。

 ジャガイモのホクホクとタマネギのシャキシャキ、ベーコンの塩っ気、水菜がパリパリ。

 二口目は半熟卵も崩して一緒に。

 こりゃぁ美味い。

 ちゃんとした料理なのに、ちょっとジャンクな感じがするのは、ジャガイモとベーコンの仕業かな。

 レシュティを食べながら、ワインをもう一杯飲んだ。

 食べ終わる前に、チーズフォンデュを、店長さんオススメのブルーチーズで頼んで、ディップ用に蜂蜜もお願いした。



 ブルーチーズのチーズフォンデュっていうのも初めてだったし、それに蜂蜜を合わせるっていう発想も初めてだったけど、結論としては、めっちゃめちゃに美味しかった。

 ブルーチーズの癖のある塩味が、蜂蜜でマイルドになり、コクも出て、ペロっと食べ終わってしまった。

 今回選ばなかったチーズもあるし、ラクレットチーズもまだ食べてない。何より家から徒歩圏内だ。

 これはリピートしなきゃなと思って、4杯目のワインを飲み下して店を後にした。

 店長さんとメインシェフの女性店員さんが外まで出て見送ってくれて、深夜の夜食としては大満足オブ大満足。



 チーズを買いに出ただけなのに、知らない店に飛び込んで、気が付いたら、この上なくチーズを堪能した。

 なんだかキツネにでも化かされたみたいな話だけど、こんな化かされなら大歓迎。

 何より、エアコンの効いた店内と違って、外の空気がねとっとした暑さで、さっきは少しは涼しく感じた風が運ぶ濃密な湿気が、これは夢でも何でもない、現実なのだと、少し酔った僕の身体と頭に教えていた。

一年経ってましたw

すいません、書こう書こうと思いながら、気乗りしないままサボってました。


大概、ここまで書かなければ、復帰は無い物ですが、それでも今回、続きを書いたのは、劇中に登場した、チーズ谷というお店、実はココ、東京は入谷に実在するお店なんですが、最近ハマってるんです。

そして、あまり馴染みの無いスイス料理というのも大変気に入りまして。


ぶっちゃけた話、この、ちょい勝ちニートの暇つぶし料理帳って話は、何が起こる訳でもなく、ただ日常レベルの飯テロ小説です。

そんな話ですから、まぁ、すぐに新鮮味は無くなる訳です。だから更新も止まってた訳ですが。

そんな時、作者が初めて知り、食べたスイス料理ですよ。

これは、書くべきだろ、と。


そんなテキトーテンションで書いた一年ぶりの新話でしたが、お楽しみ頂けたでしょうか?

今後も不定期に、こんな感じで書いて行こうかなと思います。


あ、チーズ谷さん、本当にめちゃくちゃ美味しいし、劇中に書いたレシュティや、ブルーチーズのチーズフォンデュもあるので、ご興味もって頂けたら、何かの折に行ってみてください。

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