第0話:僕がちょい勝ちニートになった経緯
我輩はニートである。名前はまだない。作者が面倒臭がって付けてないだけの怠慢である。
なんて言ってみても誰も笑ってくれる訳でもないが、僕は事実ニートだ。それも勝ちニートっていうヤツだ。
本来ならこの春から就職して新社会人になるはずだったのだけど、年末ジャンボに当たってしまったのだ。とは言え10億全当たりって訳ではなく、前後賞の前だけだ。1等が6億なのに対して前後賞は各2億。1等に比べると、だいぶ見劣りするが、それでも億の倍、すごい金額だ。
当選して受け取り口座を作って入金してもらった後、僕は自分の人生設計ってヤツを組み立てなおす事にした。
内定を貰っていた会社は大手の宅配会社だったけど、それほど初任給も良くなかったし、何かのやりがいを感じて志望した訳でもなかった為、内定辞退の連絡を入れた。
無論、宝くじが当たったので、なんて言わない。実家を継ぐ事になってしまったと言った。ちなみに僕の実家は片道1時間ほどで行けるマンション住まいのサラリーマンだ。
2億という金額は、確かに多いが、一生遊んで暮らせる程ではない。
かと言って起業するにはアイデアもないし、ノウハウもない。もちろんコネもない。
ならばどうしようか、と考えた僕は計算してみる事にした。
幸いな事に、僕の住むマンションは独身貴族を貫く叔父の持ち家で、今は地方の支社に勤めていて、もう東京には戻らないそうで、無償で借りている僕にそのまま譲っても良い様な事を言っていた。だから家賃に関しては考えなくて良い。
という事は、生活費に例えば毎月25万円使うとしたら、年間300万円、10年で3000万円だ。およそ30年で1億。つまる所僕は、家賃を抜いた生活費を毎月25万円に収めれば、60年以上、働く事無く生活できる、という事になる。
料理や洗濯、掃除などの家事は割と得意な方であると自負もしているし、何とかなるだろう。
まぁ今は居ないけど、その内、彼女とかできるかもしれないし、そうじゃなくても、仕事をしない生活は半年と経たずに飽きるとも聞く。
いざ、何か起きた時には、コンビニ経営でも始めても良いし、今はまず、気ままな勝ちニートの生活を始めてみようかな。
社会常識的にはおかしいかも知れないけど、何せ僕はイマドキの若者なので気にしないでいただきたい。