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元社畜さん、異世界で何します?  作者: 木須田ユーマ
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元社畜さん、もこもこに遭遇する。


 朝起きてすぐに朝食とお弁当の用意をした。

 朝食はトーストとハムエッグに、市販のコーンスープだ。

 うーん、やっぱり朝ご飯は良いなぁ。

 社畜時代は朝ご飯どころか、昼食すらまともに食べることができなかったしなぁ……

 しかも大体食べるものと言ったら十秒飯エナジーゼリーだったし。

 ゆっくり食べられるご飯、万歳。


 ちなみにお昼はガッツリ目のヒレカツサンドと、私の好きなタマゴサンドにした。

 ヒレカツサンドはあえて中濃ソースとマスタードだけの味付けにして、キャベツは入れないのが私流だ。

 あと、タマゴサンドは茹で卵を細かく刻んで、マヨネーズに和えたものをたっっっっっぷりと塗って挟むのが好き。

 ちまたには厚巻き卵をパンで挟んだものもあるらしいけど私は断然こっち派だ。

 異論は認める。


 閑話休題。

 朝ご飯が終わったら三十分くらいまったりとした後、鉱山目指して町の外へ繰り出した。

 割と朝が早かったからか、関所前は閑散としていてとても楽に抜けることができた。

 ……今度から町の外に出る時は朝早くから行動することにしよう。


「おー。北門付近はこうなってるんだなぁ」


 関所の門をくぐった先に見えたのは、遠目からでも大きいとわかる灰色の山だった。あの山が鉱山なんだろう。

 今は草原が広がっているけど、その内石がごろごろ転がる道に変わるんだろうな。

 想像するだけでちょっぴりわくわくしてきた。

 ……一応荷物確認。

 現地に着いたのに道具がなくてお仕事ができないなんてバカ丸だしなことはしたくない。

 ……うん、よし。ちゃんとアイテムボックスの中に入ってる。

 ほっ。

 改めて出発します。


 歩くこと三十分ほど。

 ……何か、周囲にちらほらとふわふわとしたものが散見されるようになってきた。


「なんだろ、これ」

「何かの毛のようだが……何の魔獣のものかは分からないな」

「そっかぁ。ジオは?心当たりない?」

『自分が生まれた洞窟以外に行ったことあるところっつったら、お前と一緒に行った魔の森くらいだからなぁ。心当たり何てさっぱりない』

「うーん、そっか。まあその内分かるでしょ」

「『そうだな』」


 そう言ってさらに歩くこと二十分ほど。

 さっきのふわふわの出所が分かった。というか、群れていた。

 ふわっふわでもっこもこの羊さんが二、三十頭くらい群れていた。


「ふぉおおお……羊さんだぁ」

「羊だな」

『さっきの毛はこいつらのか』


 なんだか眠くなる光景だね。

 ……それにしても、触ったら気持ちよさそうなふわもこだなぁ……

 触ったらダメかな?怒られる?

 っていうか、いかんいかん、今は仕事中!ふわもこの誘惑に何て負け……負けないんだからっ。


「……ユーナ、羊に触りたいのか?」

「ひゅいっ?!な、ななななんで分かったの?!」


 エスパーかなんかです?!


「いや、羊の群れを必死に目で追ってたから……」


 エスパーじゃなかった。

 うん、そんなん誰でも分かっちゃうよね……動物園に遊びに来た子供か、私は。


「ちょっと触りに行くか?」

「い、いいいいや!今は仕事中だし!」

『今日はちぃと早いくらいの時間に出てるし、ちょっとぐらいなら大丈夫だろ。休憩も大事だぜ?』

「う、ううううう」


 フーマとジオの好意からくる誘惑にぐらぐらする。

 ううう、確かにちょっと撫でたい。撫でたいけど仕事中だし……!


「ひ、羊さんに聞いてみてダメだったら鉱山に行くからね……?」


 はい。誘惑に負けました。

 もふもふには……勝てなかったよ……

 そろりそろりと羊さん達に近寄ると、四、五匹くらいが何だとこちらに目を向けた。

 ええっと、警戒、されてるのかな?


「え、えっと……貴方達の毛をちょっと撫でさせてもらいたいんだけど……ダメ、かな?」


 怖がらせないように、できるだけ穏やかに羊さん達に話しかける。

 ……あっ。そもそも言葉が伝わらない可能性の方が高いか。

 け、警戒しないでー。ワタシコワクナイヨー。


 ちょっぴりドキドキしつつ羊さんを見つめていると、ひときわ大きな羊さんが前に出てきた。

 お、おお。でっかい。頭が私の胸くらいの位置にある。


「めー?」

「ふぇ?!」

「めー、めー」

『触るだけか?襲わない?って聞いてるっぽいな』

「え?!さ、さささ触るだけだよ?!襲わないよ?!」


 確かに羊肉にはちょっぴり心惹かれるけど!

 今はお肉よりもふもふのが魅力的です!


「めーめーめー」

『あ゛?!』

「え?何て言ってるの?」

『……換毛期で痒いから、どうにかしてくれたら考えなくもない、だってよ』


 あら、この羊さん結構図々しい子なのね。

 そんでもってそこら中に毛玉が散らばってたのは換毛期だったからなのか。納得である。

 いやまあ、撫でさせてくれるんだったらいくらでもブラッシングしてあげるけども。


「うん、いいよ。ちょっと待っててね」


 人前であんまり使うなって言われてたけど、フーマとジオだから別に大丈夫だよね。

 《ネットモール》で動物用のブラシを購入して、ゆっくりと、引っ張らないように優しくブラッシングしていく。

 最初こそ何事?!と言わんばかりの羊さんだったけれども、ブラッシングを続ける内に顔がとろけてきた。


「痒いところはございませんかー」

「めへへへへへぇ~……」


 なさそうだ。

 気持ちよさそうで何よりである。

 ……途中から羨ましそうに私を見ていたフーマにもブラシを渡すと、嬉しそうに顔をほころばせて順番待ちをしていたらしい羊の一匹をブラッシングし始めた。

 ……あ、フーマ。あんまり力は入れなくていいからね。

 そうそう、ゆっくり優しくね。


 羊さん達をブラッシングすること一時間弱。

 なんということでしょう。

 ふわっふわもっこもこの羊さん達の毛並みが、さらにふわっふわのもっこもこに、しかも真っ白になったではありませんか。

 うんうん、痒くなくなって大満足っぽい顔をしている。

 私も思う存分モフモフを堪能できて大満足です。

 あ、抜けた毛はついでに回収して、まとめてアイテムボックスに仕舞いました。

 その内何かに使えるかもしれないし、大量に放置したら道行く人の邪魔になるかもしれないからね。


「めーめー」

「ありがとうね、羊さん!楽しかったわ。次また会えたら、またモフモフさせてね」


 その時もブラッシングしてあげるから。

 大満足だと言いたげに頭をすり寄せる羊さんを撫でて、鉱山に向けて歩き出した。

 ……羊さん達がついてきた。

 うん?あれ?何でだ?


『……おい、ユーナ。ちょっとステータス確認してみろ』


 呆れた声色のジオに促されて、ギルドオーブを触ってステータスを確認してみる。



名前:ユーナ=クドゥー

種族:人族

魔力:多量

称号:食神のいとし子


【所持スキル】

《生活魔法:10》《六大元素魔法:7》《神聖魔法:3》《テイマー:5》《苦痛耐性:10》《毒耐性:3》《鑑定:5》《料理:10》他


【テイムしている魔獣・魔物】

《セージスライム》

 ジオ

《グレートグラスシープ×2》

《グラスシープ×24》


【加護】

《食神ファインの加護》



 ……ん?!なんか大量にテイムされてる?!


「「「「「んめめめめめぇ~~~~」」」」」

『ものすごく気持ちよかった、またしてほしいから主になってくれ……だとよ』

「なんてこったぁ……」


 まさかのブラッシング一回で羊さんが大量に釣れました。

 あ、種族名からして魔獣のくくりに入るのかな?

 まさかの事態にフーマもぽかんとしてるし。

 ……とりあえず、まあ、お家が広くて良かったな、と思いました。

 ……うん。本当にどうしてこうなった……


筆がめちゃくちゃのりました。

サブタイトルは「元社畜さん、羊をたらし込む」です。

お屋敷のお庭が羊まみれになりますね。牧場かな?

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