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元社畜さん、異世界で何します?  作者: 木須田ユーマ
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元社畜さん、お昼ご飯を作る。


 関所から約一時間ほど歩くと、目的地である"魔の森"が見えてくる。

 そう、私が魔法の修行をした時にヘレナさんに連れられた場所だ。

 ここは大気中に含まれている"魔素"が多く、その"魔素"から魔物が発生するから魔物が多いらしい。

 魔獣が多いのも、その魔獣が餌にしている魔物がいるからなんだとか。

 ……私、この森で魔獣どころか魔物すら見たことないんですが。

 守衛さんも最近魔獣と魔物の数が少なくなってるって言ってた。

 ……嵐の前の静けさ、とかじゃないよね?

 何事もないことを願っとこう。


「ユーナ、ゾウフクダケというのはこれでいいのか?」

「あ、うん。そうだよ。ありがとうフーマ」

『おーい、こっちに薬草がまとめて生えてたぜ』

「分かった。ありがとうジオ」


 二人(一人と一匹?)が依頼されているものを見つけては報告してくれる。

 《鑑定》を常時発動させてはいるんだけれど、私が見つけるより先にフーマとジオが見つけてくれるんだよね……

 めちゃくちゃ助かるけどちょっと悔しいでござる。


「ひい、ふう、みい……うん、今日納品しなきゃいけない分は全部採れたね」

『おう、お疲れさん』

「もう帰るのか?」

「ううん、まだ探索しようかなって」

「分かった」


 私やジオはともかく、フーマは初めてこの辺に来たからね。

 それに魔獣や魔物の数が少なくなってるとはいっても出ないわけじゃないだろうし、そろそろジオ以外の従魔もお迎えしたいと思ってるし。

 今のままだと《テイマー》スキルがもったいないもんね。

 ……運よく私でもテイムできるような魔獣がでてきてくれるといいんだけどなぁ。


 なんて考えながら歩いていると、隣からきゅるるとかわいらしい音が聞こえてきた。

 ……隣を見上げるとフーマが顔を真っ赤にしてお腹を押さえていた。

 そういえば関所を通ったのお昼ごろだったね。今は日の傾き加減からして大体十三時ごろかな?

 うん、お昼ご飯食べてないしそりゃあお腹空くよねぇ……

 でも食材なんて買い込んでないし……あっ。


「フーマ、ジオ、お昼ご飯にしよう!」

「えっ」

『食材買ってきてたか?』

「大丈夫、任せて」


 全然スポットライトが当たってなかったけど、私には《ネットモール》があるからねっ。

 色々試してチャージ金額もそれなりにたまってるし、初お目見えといこうじゃないか。


 ヘレナさんに冒険者になるならこれくらいはと貢がれ……もとい、餞別にもらった屋外でも使えるコンパクトに折りたためるテーブルをセットして、《ネットモール》の画面を開く。

 《ネットモール》のチャージ金額が表示されている部分には、25,375円と表示されていた。

 色々と突っ込んでいたらこういう金額になっていたので、何がいくらチャージされたのかなんてさっぱりわかっていない。

 今度検証しないとなぁ。


 っとと、話が逸れた。

 ええっと……とりあえずカセットコンロとフライパン、食器と……何を作ろうかなぁ。

 フーマ、体おっきいからいっぱい食べるだろうし、ガッツリ系がいいよね。

 でも油物を作るとなるとカセットコンロじゃあ危ないし、お米は馴染みなさそうだしパンのほうがいいよね……あ、そうだ。ステーキサンドにしよう。

 私もお肉食べたいし。

 ……お金、足りるかな?

 足りた。残りチャージ金額は10,143円。結構買えるものである。


 まずはお肉から。

 《ネットモール》で買った牛の赤身のステーキ肉を塩胡椒でしっかり味付けして焼いていく。

 お肉が焼けるまでにちょっと時間があるから、その間に食パンにバターを塗ってサニーレタスをしいておく。

 サニーレタス美味しいよね。ちょっと苦いけど、その苦みがお肉に合うというか……いや、普通のレタスは普通のレタスでお肉と相性いいけどね。

 お肉が焼けたらサニーレタスがのっかったパンにお肉をライドオン!そんでもってすかさず伝家の宝刀、エ〇ラさんの焼き肉のタレを塗る!

 グレイビーソースとかでおしゃれにしてもいいんだけど、私は市販の焼き肉のタレのが好きだ。

 だって絶対に美味しくて一から作るより楽だしっ。

 焼き肉のタレを塗ったらもう一枚の食パンをのせて、包丁で真っ二つに切って完成!

 ちなみにパンの耳を切り落とす人もいるけど私はパンの耳も好きだから残す派です。


「完成!フーマ、ジオ、お昼ご飯できた……わぁ」


 周囲を哨戒しているフーマとジオを呼ぼうかと思ったらものっそいのぞき込まれてたでござる。

 どうやらお肉が焼ける匂いに釣られたらしい。じぃっと出来上がったステーキサンドに熱視線を向けている。


「……えっと、お昼ご飯できたから座って食べよっか」


 二人はこっくりと頷いて、その辺にあった切り株の上に腰かけた。

 ステーキサンドがのったお皿を各々に手渡して、私も切り株の上に腰を落ち着ける。


「いただきますっ」

「『いただきます?』」


 合掌して食前のあいさつをして、ステーキサンドにかぶりつく。

 ……んー!久しぶりだこの味!

 焼き肉のタレの甘じょっぱい味と、サニーレタスの苦みのコラボレーション何年ぶりだろう!

 何故か不思議そうに私を見ていたジオとフーマも、ゆるっゆるになった私の顔を見てステーキサンドを頬張った。(ジオは体内に取り込んでた。)

 ステーキサンドを頬張ったフーマは一瞬固まった後、ゆっくり咀嚼しながらステーキサンドを見下ろした。

 そして口の中のものを嚥下して一言、「……なんだこれ」とつぶやいた。

 ……も、もしかして口に合わなかったのかな?


「えっと……美味しくなかった?」

「いや、逆だ。とてつもなく美味い。なんだこれ、食べたことない」

『同じく……』


 そこからは無言だった。

 二人とも無言で、でも目をキラキラさせながらゆっくり味わうように食べている。

 良かった良かった、口に合わなかったらどうしようかと思った。

 ……ところで、ジオってあのゼリー状の体のどこで味を認識してるんだろう。

 謎だわ……


ようやくグルメっぽい表現を書くことができた……

これからはちょこちょこご飯の描写もしていけたらいいなぁ

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