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元社畜さん、異世界で何します?  作者: 木須田ユーマ
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元社畜さん、身分証を貰う。


 魔法はイメージが肝要であると学んだその三週間後。

 いろんな魔法を教えてもらい、これで大丈夫だろうとヘレナさんとレーアさんに太鼓判を押してもらった。

 うん、この短期間で結構ステータスが変わりました。

 具体的に言うと、《六大元素魔法:7》なんていうスキルが生えました。

 なんか《火魔法》《水・氷魔法》《植物魔法》《土魔法》《雷魔法》《風魔法》が統合されたらしい。

 レーアさん曰く、ウン千年に一人いるかいないかの逸材らしい。

 マジか。

 あーでも、魔力無限だからなぁ……仕方ないと言えば仕方ない、のか?


「おはようユーナ!」

「んむ、皆さんおはようございます」


 一階部分の飲食フロアで朝食を食べていると、同じく朝食を食べに来たらしいヘレナさん達がやってきた。


「相席いいかい?」

「勿論です」

「ありがとう!あ、そうそうお母さん……ギルドマスターが呼んでいたわよ」

「レーアさんがですか?」

「最初の予定よりちょいとばかり時間かかったようだけど、多分アンタの身分証ができたんだろうね」

「あ、なるほど」


 そう言えば完成まで二週間くらいかかるって言ってたなぁ、レーアさん。

 確かにあんなデカかったら加工に時間かかるよなぁ……


「ようやく納得のいく出来になったとか言ってたから期待していいんじゃないかしら」

「かなり見た目に拘って作ってたらしいからねぇ、今回」

「そうなんですか?」

「うん、あーでもないこうでもないと楽しそうにしていたよ」

「……まぁ、ユーナはギルドマスターのお気に入りだからな」

「えっ?」


 お気に入り?私が?レーアさんの?

 首を傾げていると、ニコニコと笑みを浮かべて私を見ていたヘレナさんに頭を撫でられた。

 ……なんでだ。

 ……うーん、良く分からないけどとりあえず早めに行った方が良いよね。


「分かりました。食べ終わったらすぐ行きますね」

「あんまり急がなくてもいいからね?」

「ありがとうございます」


 でもあんまりお待たせするのもなぁ。あとちょっとで食べ終わるから巻いていこう。


「ちゃんとゆっくりよく噛んで食べるのよ?」

「……はい」


 怒られた。

 ……子供じゃないんだけどなぁ。


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 ヘレナさんに監視されながらの食事を終えて、レーアさんの待つ執務室へ足を運ぶ。

 見た目に拘ったって言ってたけど、どんなの作ったんだろう……あんまり派手じゃないといいなぁ。

 執務室のドアを叩くと、中から「ユーナちゃん?!ユーナちゃんね、入って入って!」というレーアさんの声が聞こえてきた。

 それでいいのかギルドマスター……


「失礼します」

「待ってたわー!ささ、こっちへ来て!」

「は、はい」


 いやにハイテンションなレーアさんにビビりながらもソファに座る。

 レーアさんは私がソファに座るのを確認すると浮かれに浮かれ切った足取りで一度奥の部屋に行き、そして箱を大事そうに抱えて戻ってきた。


「お待たせ。ようやく納得のいく出来に仕上がったのよ!

 気に入ってもらえると嬉しいわ!さ、早く開けてみて」


 にっこにこと笑みを絶やさないレーアさんに促されるままに箱の蓋を開ける。

 箱の中には、黒い金属に銀色のラインで植物のような装飾が施された細身の籠手が鎮座していた。

 籠手、と一口に言っても防具としての武骨さはみじんもない。

 まるでアクセサリーのようなお洒落なもので、手の甲部分にあの宝石がはまっていた。

 おお……すごい、綺麗だ。そして同時に格好良さもある。


「本当はミスリルだけの方が良いかなぁ、とは思ったんだけれどね?

 宝石の色が白っぽいからあまり目立たないなぁ……と思って、アダマンタイトも混ぜて使っちゃった☆」


 ……なんですと?

 ぎぎ、と音がしそうなくらいぎこちない動きで首を動かす。

 ミスリルとアダマンタイト。

 確か希少性がめちゃくちゃ高く、運よく見つけたとしても硬すぎて採取しにくいため、市場に滅多に出回らない超高級金属の筈だ。

 それを、ぽっと出の得体のしれない小娘に、手作りアクセサリーを渡す感覚でプレゼントするとか。

 そんなん身につけるとか怖すぎてとてもじゃないけどできんです……!


「こ、ここここれ、わた、わたしっ」

「ああ、いいのいいの!どうせ私が現役時代に採取したものだし。

 それに素材箱の中で腐らせるの勿体ないし、貴女には期待してるの。

 先行投資ってやつになるのかしら」

「せ、先行投資……ですか?」


 こんな小娘に?

 いや先行投資にしたって高額すぎるんじゃあ……

 自分で言うのもあれだけど、立派なのは魔力量だけで私自身はへっぽこそのものなんですが。

 そんな私の思考が透けて見えたのか、レーアさんはちょっと困った顔をした。


「どうしても気になるなら、クエストの報酬から少しずつ天引きするけどいいかしら?」

「は、はい。頑張りますっ」


 むしろそっちの方が気持ちが軽いです。

 ……というか、ぽっと出の、しかもギルド加入して間もない人間の小娘がこんなん身につけてるとか喧嘩の火種にしかならんと思うんですが本当にいいんだろうか……

 いや、突っ返すのも失礼だろうし、ありがたく装備させていただこう。うん。


 そういえば私そんなに筋力ないんだけど……ちゃんと腕、上がるかな?


大変お待たせいたしました。

私生活の方で色々とあったもので……

かなり遅筆ですがこれからもお読みいただけますと幸いです。

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