プロローグ
〜1人目〜
ある日、僕は夢を見た。
それはとてもひどい、悪夢だった。
目の前には仲間たちの死体と、倒れた親友が。
そして後ろにはきっと、
悪魔が。
必死に逃げようと、手を、足を、体を動かす。
目を動かし、周りの状況を確認する。
「……ぁ…」
そこには今までずっとあったはずの、手が、足が、体が。
僕の目の前に、倒れていた。
〜2人目〜
再び僕は、夢を見た。
それはとても愉快な夢だった。
目の前にはかつて仲間だった者の死体と、
首から切られた妻の生首が。
全てが破壊され、僕は全てを手にした。
この愛おしい妻だって、この破壊された生まれ故郷だって。
全てが自分のものだ。
そう。この、目の前に落ちている僕の胴体だって。
〜n人目〜
あれから、一体いくつの夢を見ただろうか。
気づけば僕は夢の中にいる。
これはそう、呪いだ。
自分を戒めるための、呪い。
また僕は失敗し、これまで幾度となく見てきた光景を見る。
もう、何も感じない。
全てが僕の思い通りで、全てが僕を殺すための布石。
そうだろう?
きっとこの思考も。
いや、この思考だけは違うようだ。
目の前に映る自分の胴体を見つめながら、僕は再び夢を見る。
〜0人目〜
もうこれで何回目になるのか。
僕は一体いつ、自由になれるのだろう。