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第2話 出会い

 王都へ行くため村を出た俺は、地図通りに馬を走らせていた。

 俺が生まれ育った[コメッコ村]は、この国の最東端にあり周囲を山々に囲まれた超が付くほどの田舎だ。

コメッコ村から国の中央に位置する[首都 アルノン]までは、馬でも10日程掛かる距離がある。

 その間、俺は1人旅をしなければいけない。


「母さんにはあんなこと言ったけど、やっぱり寂しいな......」


 分かってはいたけど、寂しいものは寂しい。

 1人旅なんて、転生前でも経験したことがない。まあ、高校生がそんな経験してるほうがおかしいんだけど。


 とにかく馬を走らせて今日で7日目だ。

 もう少し行けば、[マリナ]と言う商業が盛んな町が見えてくると地図に書いてある。

 日も沈みそうだし、今晩はそこで過ごそう。



 ーーーーー



「ここがマリナか、凄い人の数だな......」


 到着した俺が目にしたのは、コメッコ村ではまず目にすることができない大量の人間だった。コメッコ村の人口の5倍、100人以上は優にあるであろう人の海を目にし、俺はかるい衝撃をうけた。


(夜だっていうのに凄いな、昼間だったらどんなことになってるんだろ?)


 ここに来るまで、いくつかの町に寄ったけど、夜はどこも静かなものだった。人の数にしても、ここはまだ町の入口だ。中に入ればもっとたくさんの人がいるだろう。

 この町の人口は約8万人だと本で読んだが、この活気ならそれぐらい居てもおかしくないな。


 そろそろ町に入ろう。半日何も食べてないし、ご飯を食べてからは宿もとらないといけない。

 それに、いつまでも町の外から眺めてたら田舎者だって思われそうで嫌だからな。



 ーーーーー



初めての大きな町に、期待で胸を膨らませながら、石積みで出来た大きな門を通ろうとすると、


「ガキ。町に入るには5000ユリス要るんだ」


 そう言われ、筋肉盛々で、スキンヘッドをした厳ついお兄さんに止められた。

 何の事か分からない、という顔をしていると強引に腕を引っ張られ道のわきに連れて行かれ、そこで金を要求された。


「さっさと通行料5000ユリス払えよガキ」


この町について書かれた本はいくつかの読んだが、町に入るのに金がいるなんてどこにも書いてなかった。初耳だ。


「お金がかかるんですか?」


「あったりめぇだ! ここは商業の町マリナだ!」


 怖いよ......でもそうだった、ここは商業の町なんだった。

 それなら町に入るのに通行料金がいるのもわかる。ローカルルールってやつか。いや、マイナールールだっけ? どっちでもいっか。それよりどうしよう......通行料がいるなんて完全に想定してなかった......5000ユリスも使っちゃったら、母さんに渡さたお金も王都まで持たなくなる。

 王都での試験に残しておかないといけないし......

いっそ野宿でもするか? でもなぁ......


「ねえ、それぐらいでやめておかない?」


 どうするか迷っていた時、唐突に俺の背後から声がした。

 女の人の声だった。

 振り替えるとそこには、腰に剣を下げ、白を基調とした衣服を身に纏う赤髪の女の子がいた。


「お、お前は!......い、いや......あなたは......そっ、その、これは......」


 彼女を見た途端、さっきまでの威勢はどこにいったのか、スキンヘッドの男が急にオドオドしだした。ひどい変わりようだ。口調まで変わってる。


「今だったら見逃してあげるから、さっさと消えなさい」


「ひっ、ひいっ!」


 彼女がそう言うと、男はさっきまでの威勢が嘘のように悲鳴を上げ、人ゴミのなかへ逃げていった。

 俺は目の前で起こった状況が、いまいち飲み込めないでいた。そんな、動揺を隠せないでいる俺に、彼女は話かけてきた。


「危ない所だったわね。もう大丈夫よ」


 これが彼女との出会いだった。

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