天界の女神様
「……ここは?」
突然目が覚めるとそこはこの世のものとは思えないような造りの部屋だった
なぜだろう、頭がぼやけて何でここにいるのかがわからない
そして目の前には
「ようこそ死後の世界へ、赤羽 紫音君。私は死者の魂を導く者、あなたのいた世界では女神と言われているものです」
そんなことを言う女神様がいた。
これは目の前の人物が名乗ったからではない
見た目16歳くらいと言ったところか、少しあどけなさが残った顔に特徴的な薄い赤髪、柔らかな印象の柔らかな翠眼。
そして格好にいたっては天使の羽衣のような衣装に六つの小さな羽
そう、誰もが一度は思い描く女神様だったのだ
そんな女神様に俺はここで聞かねばならない事がある、それは…
「女神や天使の方々は全員処女ってホントですか?」
女神様は俺をじっと見つめて瞬きをしながら固まっていた
それに対する俺の目も真剣そのものだった
何秒の時が過ぎたのだろうか
女神様は一人で弁解するように
「…まぁ死んだことに対するショックでおかしくなっちゃう人もたまにいるわよね。うんうん、そうだ絶対そうだ。第一女神だからって処女とは限らないんだからね…私は処女だけど…」
俺は追い打ちをかけるように
「えっ?女神様処女なんですか?まず歳はいくつなんですか?女神様はまず男性経験はあるんですか?」
「ちょっ…待って、いっぺんに言われても…」
女神様はあたふたしたまま顔を赤らめたりして顔が忙しそうだ
「女神様、落ち着いてください、まずは深呼吸せーの…」
「すぅーはぁーすぅーはぁー、ありがとう落ち着いたわ…ってなんで立場が逆転してるのよっ!」
ボケとツッコミに対して惜しみのない拍手を送ると少し照れくさそうにした
「で、話を戻しますと…どうなんですか?」
「えっ?あっ…そうだったすっかり忘れてた…あなたが亡くなった時の記憶…」
「いえ、そっちじゃなくてですね女神様の性事情についてのほうです」
「君はぶれないね!初対面の人によくそんなずかずかと入り込んでいけるね!…で、記憶の方は思い出せましたか?」
さすがにこれ以上は話が進まなそうなので思い出すことに専念してみる…
…あの日は確か
強い日差しが照りつける初夏の日、俺は空から降ってきた少女に出会った
そしてその少女にこう告げられる
「あなたは間違いなく私が待ち望んだ勇者様です!!」
そしてそこから俺と彼女の物語は始まった…
迫り来る闇の軍勢、それを危なげながらも撃退し着実に魔王の元へと進む俺達、そしてついに魔王の元へと辿り着く
そして激闘の末、俺は自分の命と引き換えに魔王を討ち果たし、
「やっぱりあなただけが私の…私だけの勇者でした」
そして新しい世界をつげる太陽を背に重なり合う二人…
そして最期はその少女の腕の中で…
「違いますっ!」
雄弁に語る俺の言葉を遮る形で女神様がツッコミを入れた
「…あんたツッコミの才能あるぜ、俺と一緒にコンビを組まないか?」
俺は親指を立てて渾身の笑顔で女神様を誘った
「もういいです。私のほうから説明します。…あなたはゲームを入浴中にも関わらずプレイし、挙句の果てに浴槽に落とし感電死したのです」
再び二人の間に沈黙が訪れる
……いまなんて?
「いや、さすがにそれは冗談でしょ?いくら何でもそれは…」
そんな初歩的なミスを、と言おうとしたところで昨夜の記憶がフラッシュバックされる…
…俺は現実の世界に絶望し、誰にも干渉されない世界へと篭った(引きこもりのニートです)
学校にも通わず親のスネをかじり続け、朝からゲーム三昧な日々を送っていた。
そして昨日は確かギャルゲーをしていた、そしてヒロインの見せ場へと辿り着き、続きが気になり風呂の中までゲームを持っていった結果…
「そんな馬鹿な!そんな恥ずかしい死に方を俺は…」
「残念ながら事実です。いまごろあちらの世界のあなたの学校では特別集会が開かれて爆笑の嵐が吹き荒れていることでしょう…良ければ見ますか?」
女神様はさっきの仕返しとばかりに言ってくる
「うわぁぁぁぁー、もういやだぁぁぁぁ、死にたい」
「大丈夫です、死んでます」
今はそんな冷静なツッコミすらも心に傷をつけていく
「俺はこの16年間を彼女もできず童貞のままで幕を閉じただけでなく現世でそんな恥辱
受けたまま死ぬなんて…どうすればいいんだぁぁぁぁ」
そんな俺に女神様は初めてあった時のような真剣な表情で
「…さて本題に入りましょう。私たち女神の仕事は死者が現世でやり残したことを一つだけ叶えて差し上げること。でもあなたは現世にもう絶望している。そうですね?」
「ぐすっ、その通りです」
その言葉を聞いて女神様は満面の笑みを浮かべて
「では、そんなあなたにしか頼めないことがあります…
どうか私たちと共にここで働きませんか?」




