プロローグ
リベラ王国守衛アカデミーを主席で卒業した剣使いの名手である主人公俺=ジャッジ。しかし栄華を極める王家の生活とは裏腹に、重税に苦しむ貧しい国民の生活に疑問を持ち、守衛の職を辞して野に下る。賞金稼ぎとして生計を立てるジャッジの前に一人の少女が現れ・・・ 初投稿作品ですが一生懸命書いて行きます!感想等いただければめっちゃうれしいです。よろしくお願いします。
「ヤツが来るぞォォォ!! 女、子どもを家から出すなァァ・・・」
村人の、耳を劈く様な大声で俺は目が覚めた。
カーテンの隙間から村人達が手にしていると思われる松明がゆらゆらと揺れている。
それから暫くして、静寂の闇夜に狼の遠吠えにも似た異様なヤツの声が響き渡っていた・・・。
宿屋の主人が慌しくドアを開けて入ってくるなり
「客人に対しての突然の無礼、申し訳ない。お許し下され。」
俺はまだ覚醒しきれていないボゥっとした表情で軋むベッドから身体を起こした。
「ノックも無しに入って来るとは、無礼と言うよりもマナー違反じゃないのか?俺が素っ裸で寝ていたらどうするよ。あんたが爺さんだったから良かったものの、年頃の女中だったらどうなってたか分かんないぜ。」
ニヤリと笑みを浮かべながら眠気覚ましのバーボンをグイっと喉に流し込み、壁掛のランタンに灯を燈そうとした俺の手は、宿屋の主人に遮られた。
「・・・光はいかん。 特に今は・・・。」
ごくりと息を呑み込んだ主人の額から一滴の汗がするりと垂れ落ちる。
「グォォォォォン・・・グギギィエエエエエエ・・・」
蒼く鈍色の月灯りに照らし出された木々の向こうから、ピンと張り詰めた空気を劈く様に異様なヤツの遠吠えが村中に響き渡る。
ドン!と俺は壁を叩き、宿屋の主人を睨み付けながら
「あんた、何か隠しているな。あの奇妙なイカレタ声は何なんだ?昨日俺がココに来た時にはこんな事は一切聞いてないぞ・・・」
宿屋の主人が重い口を声を潜めてゆっくり開く。
「ああ・・・申し訳なく思っているよ。しかし、ヤツがこんなにも早く現れるとは思っても・・・」
「グギゴェェェェェェェェェ!!」
それは一瞬の出来事だった。粉々になった窓ガラスと木枠の奥に、宿屋の主人の頚動脈にむしゃぶりつくそのバケモノの姿を確認していた。一瞬の出来事とはいえ、瞬時に噛み砕かれた主人の頭部と肩にかけての深い傷の為か、もう既に絶命している。不意を突かれた俺はガラスの破片を避けながらも、隅に置いていたソードに手を伸ばす。
くちゃくちゃと獲物を吟味しているヤツの口元から、鉛色の鮮血が滴り落ちていた。
「お前か?さっきから俺の眠りを邪魔してたヤツってェのは。ザコ倒したところで大した報酬にもならないが、眠気覚ましの運動といくか。」
「グルルルル・・・オマエ キニイラナイ・・・コロス・・・」
屍を口に咥えたまま、右に左にと鋭く鋭利な左右の手の爪が虚空を切り裂く
木造のその宿はバケモノにとっては脆く壊れやすい建物であり、数分暴れまわる内にすぐに廃墟と化していた。
「おっ、いいねえその眼!戦うならそう来なくっちゃね~!」
俺はほんの僅かに重心をずらしながら、相手の攻撃をかわした。
ゴクリと、まるで蛇が卵を丸呑みするかのように宿屋の主人の屍はバケモノの胃袋に放り込まれた。
「ツギハ・・・オマエダ・・・」
廃墟と化した宿屋に松明を持った村の住人が集まってくる。
「あいつに倒せるのか?出来るのか?」
「もうこの村には若いもんは残ってねえ・・・あの若造がやられちまったら、もう逃げるしか・・・」
村人は不安を口にした。
俺は反撃の態勢を整えた。鋭く睨みつけるその瞳の奥からは、他を圧倒する程の力を放っている。
読んで下さって本当にありがとうございます。これからもよろしくお願い致します。