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True End

 私はハッピーエンドで終わるお話の方が好きです。

「てい」

「痛!」


 急速に意識が覚醒。


「悪い夢を見ていた気がする」

「そう、なら醒めてよかったね」


 目の前には手。それをたどると日向の笑顔があった。


「あれ? 日向!? そうか、俺は死んだのか」

「ねえ、自分が不死身であることを忘れてない?」

「あ、忘れてた……ってことは日向、生きてたのか!?」

「そうだよ。わたしがなんの能力者か忘れた?」


 もちろん覚えてる。Ⅲ群『火炎バーニング』。


「そうか、陽炎でそこにいるように見せかけてたのか」


 溶けて見えたのは陽炎を消したから。


「うん、そうだよ」

「よかった」


 ぎゅっと、日向を抱きしめる。


 その暖かさを、体全体で感じ、安心した。


 意識はブラックアウト。


==============================


「ねえ、起きて、勇士」

「うわっ!」

「気がついた?」

「あれ? 日向!? そうか、俺は死んだのか」

「それさっきやったよ?」

「…………そうだった、思い出した! 良かった! 日向が生きてて!」


 再度日向に抱きつく。


 自然と涙が溢れるが、これは嬉し涙だ。


 俺のも日向のもノーカンだ。


 本当に、日向が生きていて良かった。


 俺には日向さえいればそれでいい。


 これからは強く生きよう、とそう思った。


==============================


 第七次世界大戦。


 死者約五十億人。


 生存者七百十五名。


 最初D.F.S.人に躊躇った日本人も、自身の超能力を駆使して迎撃。


 しかしD.F.S.人も弱いわけではない。


 結果決着がついた頃には世界の、ひいては人類の数ははわずか七百十五人にまで減少していた。


 彼らはD.F.S.の船を奪い、大空へと飛び立った。


 取り残された地球は、理論上では自浄作用によって何十年、何百年、何千年したら後、元の住める世界に戻るはずだった。


 飛行船には、目が光を反射しない虚ろな少年がいる。


 腕がない少年も足がない少女もいる。


 そして、不死身の体を持った少年と太陽な笑みをこぼす少女がいた。


 彼らは奪われた人間たちだ。


 世界を恨め。


 しかしその世界は滅んだ。


 人間を恨め。


 恨めるような人間は全部死んでしまった。


 彼らには何も残らない。


 だが、少年――――――木嶋勇士きじまゆうしの傍らには少女――――――糸野日向いとのひゅうががいる。


 少年は少女に笑いかけ、少女は微笑み返した。




==============================


「なあ、日向。俺は、お前が好きだ」

「うん、知ってるよ」

「いや、真剣に聞いてくれ。俺は、お前が好きなんだ。結婚してくれ」

「もう、遅いよ」


 そう言って日向ははにかんだような笑顔を見せた。


「俺はお前を愛している。世界中の何よりも」

「世界にはもうほとんど何も残ってないけどね」

「いいから。俺はお前が好きだ。その笑顔を守るためならなんだってする。だから――――――そばにいてくれ」


 うん、いいよ。


 日向は俺から離れ少し前へ行き、振り向いて言った。
















          「わたしも、勇士が好き。世界中の誰よりも」


           そう言って笑う日向の笑顔は、今まで見たどの笑顔よりも素敵だった。























 これで完結ですが、もしかしたら続きがある……かも。



8/22 というわけで書きました続き→http://ncode.syosetu.com/n3208bi/


 訳あってここからしか開けません。


 たしぎ はくマイページの活動報告「ここからしか開けない小説を投稿してみた」にはあらすじと一般公開していない理由も書いてあります。

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