表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

核爆弾


 三話です。



 第七次世界大戦は北アメリカ合衆国連邦の一人勝ちで終わった。


 残る国はD.F.S.と北アメリカ合衆国連邦と我が国日本。


 世界の内日本の領土以外は全て北アメリカ合衆国連邦のもの。


 依然D.F.S.は空を飛んでいる。


 世界の人口はもう二十億人ぐらいしかいないのではないだろうか。


 うちの一割は日本のものだ。


 そしてD.F.S.の人口が約五億。


 アメリカ領の人口が約十三億人。


 現在北アメリカ合衆国連邦はD.F.S.を撃ち落とそうと躍起になっている。


 しかしD.F.S.は地球に降りなくとも自立して生活することができる上に、どんなレーダーを用いても捉えることができない完全なるステルス航空。


 そして捕まえられない最大の理由が――――――


 最高時速7000kmオーバーであり、追尾式ミサイルもその速度だけで振り切ることができるという無茶苦茶なスペックである。


 彼らは、早々に戦争で負けた国々の子孫たちである。


 国籍はなく、戦争に嫌気が差せば簡単に亡命できたためおそらく元あった200弱の全世界の国々の人々がいると言われている。


 過去形なのは、今がアメリカから追われているという立場のためである。


==============================


「ねえ、勇士はD.F.S.とアメリカ、どっちが勝つと思う?」

「普通に考えたらアメリカだろうな。新兵器も出し惜しみすることなく全部出すとか言ってるし」

「ふぅーん。わたしはなんかふつうにD.F.S.が負けるわけがないと思うけどな」

「そうか? 国力が違うだろ」

「やっぱそうだよね。……アメリカと日本だけになっちゃったらどうなるんだろうね」

「さあ? やっぱりアメリカは日本に攻めてくるんじゃねぇの?」

「そうかな? 私は戦争なんてヤだけどな」

「まあ、何度も言ってるがお前だけは絶対に死なせねぇ。俺が守る。愛してる」

「何最後の」

「なんか、語呂? テンポが良かったから」

「そう。わたしも勇士好きだよ」

「うん、知ってる」


 あはは、と可愛らしく日向ひゅうがは笑った。


 もう少しで押し倒すところだった。


「…………危ない危ない」

「どうしたの? なにかあった?」

「いや、もうちょっとで日向を押し倒すところだったからさ」

「別にいいよ、勇士だったら」

「うん、また今度家でな」

「そうだね。今、授業中だもんね」


 俺と日向は隣の席。


 席替えの時に細工するからいつもおれは日向の隣の席だ。


 さすがにずっと日向を愛でているわけにもいかないので、授業を聞いてやることにする。


 ……背中に突き刺さる視線が痛いし。


 主に男子からの。


 日向は学校一、いや、日本一可愛い。


 それは事実であり誰にも文句は言わせねえ。


 昔なんかの小説で、彼女より可愛いやつがいたら俺が殺す――そうすれば彼女より可愛いやつはいなくなる、っていうフレーズがあった気がする。


 しかし俺はそんなことを思ったことがない。


 なぜなら、日向は世界で一番可愛いからである。


 これは身内補正とか無しで本当に事実だ。


 どんな美人とか言われてる女優を見ても日向の前では『月と 』だし。


 日向が月でそのほかの美人(とか言われて調子に乗ってるやつら)は『  (くうはく)』で十分だ。


 誰がなんと言おうと日向は可愛いのだ。


 これはシャープペンから手を話せば床に吸い寄せられるのと同じくらい当たり前なのだ。


 人間が呼吸をしなければ死ぬのと同じくらい普通なのだ。


 退屈な英語の授業を聞き流しながら、日向を見つめ続ける。


 可愛すぎる。


 ガラガラガラガラ


 なんだ?


 教頭先生が血相変えて教室に飛び込んできた。


「みんな聞いてくれ! アメリカが―――北アメリカ合衆国連邦が、D.F.S.に負けた! しかもそのままD.F.S.は日本に宣戦布告、関西と北海道、九州に核爆弾を投下した!」

「先生、関西と北海道と九州はどうなったんですか?」


 教頭先生は口の端に笑みを浮かべると言う。


「もちろん、はね返してやったさ。我が国日本が」


 さすが超能力者大国。


==============================


 2378年。第七次世界大戦で北アメリカ合衆国連邦がD.F.S.と日本以外の国を手中にして、勢いそのままD.F.S.を攻めた。


 しかし敵国の領土を奪い限りある資源を自分のものにしようという武力主義が蔓延はびこるこの世界において異端であることをD.F.S.はやってのけた。


 核爆弾を投下したのだ。


 アメリカ領全てに。


 南北アメリカ大陸全土も焦土に変えて。


 生き残りがいないように執拗に。


 恐らく残りの世界人口は七億人だ。


 日本政府が発表したところによると、D.F.S.は恐らく、船だけで自立生活することが可能だから世界を全部滅ぼして放射能の影響が全て無くなり次第地上の覇者になるつもり、らしい。


 現在D.F.S.は日本に進行中。


 しかしD.F.S.の化学兵器はうちには通用しない。


 なぜならこちらには最強の自衛隊がいるから。


 自衛隊の主な能力はⅡ群『リフレクト』。


 名前のとおり物体を反射するバリアーを生み出すことができる能力だ。


 しかし反射リフレクト能力者は日本に十人しかいない。


 それだけで日本全土―――排他的経済水域含む―――を防御バリアしているのだから底が知れない。


 もちろん穴もあるだろう。


 そこはⅡ群『バリアー』と『発火プロミネンス』、『風琴ゲイルシューター』と『天候操作ウェザーコントロール』が塞いでいるはず。


 自国の撃つ核爆弾を跳ね返され続けたD.F.S.は簡単に墜落した。


 しかし日本は墜落を良しとせず、D.F.S.艦隊を受け止める。


 Ⅱ群『風手エアーハンド』の能力によって。


 受け止めた理由は、D.F.S.本体の船を改築して修理すること。


 もちろん放射能がD.F.S.に残るようなヘマはしない。


 Ⅰ群能力者『原子操作メルトコントローラ』によって放射能の行く向きは調整されている。


 もはやこの国なんでもアリだ。


 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング                                                                 続編「ラスト人類私in地球。合掌!」
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ