第七次世界大戦
散髪行ってて遅くなりましたが、二話です。
一ヶ月が経った。
永世中立国であるスイスと、日本以外の国はすべて第七次世界大戦に参加。
現在は、
中華帝国 アフリカ武力主義連邦 北アメリカ合衆国連邦
VS
南アメリカ大陸連合国
VS
太平洋軍事力同盟 ソビエト武力主義連合 E.U.
VS
大英グレートブリテン王国 南極全海統一帝国
の構図が出来上がっており、D.F.S.は各国の空を飛び回り虎視眈々と弱いところを狙っている。
日本には一切接触が無し。
スイスは……元気にやってるんじゃね?
「本日のニュースです。スイスが、大英グレートブリテン王国の植民地に置かれました―――」
噂をすれば影ってやつ?
スイスが国じゃなくなった。
まあ、あそこは俺たちがオカルトに手を出したのと同じように科学に手を出して伸び悩んでたからな。
仕方のないことだといえる。
「ねぇ聞いた? スイスが無くなっちゃったんだって!」
「なんでお前は嬉しそうなんだ」
「そんなことないもん。うちとスイスは姉妹国だったのにね」
「そうだな。すごく残念だ。うちももしかしたら統合されるんじゃないか?」
「そうかもしれないね」
「そうなったらその時は、お前だけは俺が守ってやる」
「うん、ありがとう。頼りにしてるからね」
別に恥ずかしくなんかないさ。
いつものことさ。
他の人が聞いたらジト目を向けてくるかリア充爆発しろ! とか言ってくるけど、俺にとって日向は守るべき大切な女の子であり。
「俺の好きな人でもあるのだ」
「口に出てるよ?」
「あー、いいよ。わざとだし。愛してるぜ、日向」
「もう、勇士は甘えたがりなんだから」
こんな俺たちだけど、別に付き合ってるわけじゃないです。
小さい頃から繰り返してるいつものやり取り。
まあ、俺が日向のことが好きなのは事実だけど。
もちろん家族としてではなく異性として、である。
でも、それ以前に日向は家族だ。
俺の姉みたいなものだ。
精神的優位みたいな意味で。
だから、もし俺が死ぬことになったとしても日向だけは絶対に守ってみせる。
なぜなら。
日向は俺の愛する女の子だから。
「んっ ンン。君たち、ここに家族がいることを忘れてはいないか」
この人は俺の父。
普通の中の上くらいの会社に勤務する48歳。
「でもまあ、勇士くんはうちの日向のお婿さんですもの。それぐらいいいではありませんか」
この笑顔が素敵な女性は日向のお母さんで俺にとってのお義母さんだ。
どっかの名家のお嬢様だとかで、その仕草は優美だ。
「あら? うちの勇士をよろしくお願いしますね」
うふふ、と穏やかに笑うこの人は俺の母。
「娘は誰にもやらんぞ!」
「あなた、昨日日向は勇士にしかやらん! って言ってたじゃないの」
「むう。それは酒の勢いというかなんというか……」
この熊のようなおっさんは日向の父。俺のお義父さんだ。
こんな熊みたいな見た目なのに、職業は医者。
極道の間違いだろ。
命を救うほうじゃなくて命を奪う方だって。
着流しだしスキンヘッドだし強面だし。
この前子供を連れてきたお母さんが言ってた。
『この子病院嫌いだったんだけど、このお医者さんに行くよ! って言ったらおとなしく病院に行ってくれるんですよ』
彼の病院には、二度と同じ子供は来ない。
俺ん家と日向ん家は両親の仲がよく、それに家がつながっていて 作あ○ち○『タ○チ』みたいな感じになっているため、毎夜どちらかの家で晩御飯をとるわけだ。
俺と日向は朝も昼も一緒に取るけどな!
朝は日向のところに食いに行くか日向が食いに来る。
昼は学校で一緒に食う。
理由? 好きだから。
もちろん、彼らも能力者である。
父さんは電気。
母さんは水。
お義母さんは光。
お義父さんは植物
皆それぞれ自由に操る力。
生み出すことは不可能。
Ⅰ群の能力者だ。
ちなみに、Ⅰ群っていうのはだが、これは能力の種類を分けたもので、大きく四つに分けられる。
Ⅰ群:自分に適性のあるものを意のままに操作
Ⅱ群:自分に適性のあるものを無制限に生み出す。
Ⅲ群:自分の体の一部分から適性のあるものを生み出し、意のままに操る。基本Ⅱ群より生み出す量が少ない。
Ⅳ群:自分の肉体を作り変えたり瞬間移動したりといったその他の能力。
日向はⅢ群。俺はⅣ群。
ちなみに、わかりづらい超能力はⅢ群。
あれは力場を自分の体のどこかを中心に発生させて空間そのものにはたらきかけ、空間を捻じ曲げたり手を触れずに物体を動かしたりといった能力だからだ。
どの能力が発言するのかは完全にランダムなようで、血縁や身分、性別などは一切関係ないようということが分かっている。
『――――緊急ニュースです』
付けっ放しにしていたTVから、アナウンサーの声が聞こえる。
俺の耳はなぜかそれを拾った。
『中華帝国とアフリカ武力主義連邦が北アメリカ合衆国連邦の裏切りに会い統合されました。これで、現在残りは九ヶ国となりました』
「なんだ? 中国とアフリカも統合されたのか? こりゃ、世界統一ももうすぐかもしれないな…」
どうやら、父さんも同じことを思っていたらしい。
「そうですね。もうすぐ統一されそうですね」
「でもまあ、俺たちの日本が負けるわけがないんだけどな」
「だよな! 国民全員超能力者だもんな!」
そう。
日本人が負けるわけがないのだ。