1-4. かげちゃんになった日(小学4年)
(*未依沙視点)
公園の端で、夕日が鉄棒を赤く染めていた。
景虎くんと瑠飛がボールを打ち合う音が、
リズムみたいに響く。
その横で、私はブランコをこぎながら
二人を眺めていた。
瑠飛がトイレに行った瞬間、
少しの静けさが訪れた。
「ねぇ、かげ、わたしね、ここ一ヶ月くらい?頑張って『かげ』って呼び方に慣れるように努力したの」
「うん」
「だけど、かげって呼び捨て感があって、なんとなくしっくりこなくって……
わたし、『かげちゃん』って呼びたいんだけどいい?」
「かげちゃんか、未依沙らしくていいんじゃない?呼びやすい呼び方でいいよ」
「よかった!じゃあ、今度からかげちゃんって呼ぶね」
「ところで、未依沙って呼び方は慣れた?」
「瑠飛が未依沙っていつも言ってたからかな、今はすっかり慣れたよ」
何気なく言ってくれることに
胸がキュンとなった。
名前で呼び合うだけなのに、
特別な関係になれた気がして嬉しかった。
「わたしたちって、幼馴染になるのかな…?」
「うーん、どうだろう。小学校からだからね。」
「瑠飛とわたしは幼馴染だし、かげちゃんも幼馴染みたいだよね」
「まあ、そうなのかもね?」
かげちゃんを「幼馴染」という
特別なポジションに、わたしは置きたかった。
夕焼けがゆっくりと沈み、
ブランコの影が二つ並んで伸びていた。




