2-11. 注目の先はやっぱり
(*景虎視点)
瑠飛は2組で俺の隣だから、
休み時間になると俺は瑠飛と、
廊下でよく話す。
クラスの男子の友達もいるけど、
移動教室がなければ自然と集まっていた。
最近、サッカー部がよく集まっている。
サッカー部ってやたら団結力というか、
仲間意識が強いよなと思う。
今日も廊下でなんだか騒がしくしてるみたいだ。
瑠飛と話しながらも、なんとなく騒がしい方に
視線を向けていた。
瑠飛も気になるみたいだ。
2人でバレーのことを話しながら、
意識は完全にそっちに行っている。
すると、休み時間になってすぐなのに
2年生が1年の教室の方に走ってくるのが見えた。
「あれ、2年生だよな」
瑠飛も気づいたみたいだ。
「なんで1年のところに来たんだろうな」
俺は不思議だった。
「あれ?3組に入って行ったぞ。他クラスの人が教室に入るのダメなのにな」
瑠飛は冷静に状況を観察していた。
「それって2年生にも適応されるルールなのかな」
「気にするの、そこかよ」
瑠飛からツッコミが飛んできたが、
3組の状況が気になってツッコミは放っておいた。
すぐに先輩が教室から出て来て、
去って行った。
集まっていたサッカー部もぞろぞろと
自分の教室に戻っていく。
その1人に瑠飛が話しかけた。
「なあ、黒田、あの3組に入って行った人ってサッカー部の先輩?」
「ああ、そうだよ。立川先輩。3組の上野って子を狙ってるみたい」
瑠飛と俺は顔を見合わせた。
未依沙じゃん!
「先輩はどうやって1年と接点を持ったんだ?」
「いや、立川先輩に聞かれたんだよね。1年で一番可愛い女子は誰って。それで、サッカー部のみんなが上野だろって話になってさ。」
「なるほどね。」
やけに冷静に話を聞いている瑠飛に対して、
俺は内心バクバクしていた。
中学生ってやっぱり付き合うとかあるんだ…
気になるとか、好きとかは聞くけど、
やっぱりその上の関係があるんだな。
あまりにも身近に、
しかも自分の知っている人が
その状況に置かれていることに、
なんだか不思議な気持ちだった。
未依沙はどうするんだろう…
立川先輩と付き合うのかな…
未依沙は、まるで俺の世界から
一歩も二歩も先を
行っているみたいに感じた。
なんか、遠い存在の人みたいだ。
やっぱり未依沙って学年一と言われるくらい
可愛いんだな…
ふと見ると、3組から未依沙と
友達2人が出て来た。
トイレに向かうみたいだ。
トイレは1組の隣にあるから、
俺たちの目の前を3人は通り過ぎて行った。
いつも瑠飛は未依沙を見つけると
声をかけるけれど、下を向いて歩く未依沙に、
今回は声をかけなかった。
じっと見るのは怪しいから、
瑠飛と話をしながらチラッと
未依沙に目線を送ると、
未依沙は耳を隠すように歩いていた。
ん…?
未依沙の耳、赤くなってる?
ちらっと瑠飛が俺の方を見た気がしたけれど、
俺は気づかないふりをした。
もしかして、未依沙は
照れてるのを隠してるのか…?
なんとなく、そんな気がした。
なんで俺、こんなに未依沙のことが
気になるんだろう。
別に…ただの幼馴染のはずなのに。
なんか、モヤモヤするな…
幼馴染として普通に接しているけれど、
まるで、未依沙だけ先に
大人になっていくみたいだ。
未依沙の学校での立ち位置を
今一度認識してしまうのであった。




