2-7. 青春のひとかじり
(*未依沙視点)
わたしの家について、
玄関に3人分の荷物を置いてコンビニへ歩く。
各々好きなアイスを買って近くの公園へ向かう。
残りのアイスを食べながら
わたしと瑠飛はブランコに座り、
かげちゃんはフェンスによしかかっていた。
「あれ?未依沙パパじゃね?」
蒸し暑い中響く、軽快な足音の方向に目を向けると、
瑠飛の言う通りわたしのお父さんだった。
「うん、お父さんだわ。よく気づいたね」
「未依沙のお父さん、20代かよってくらい若い見た目だよな」
「ありがとう、お父さん、それ聞いたら喜ぶと思う。」
「未依沙のお父さんはいつもジョギングしてるの?」
垂れそうになるアイスを必死に舐めながら
かげちゃんが聞いてきた。
「毎日してるかも!朝にしてる時もあるよ」
「それが若さの秘訣か〜すごいな」
お父さんが褒められてちょっと嬉しくなる。
「でも、そういえばジョギングだけじゃなくて、よく棒を振り回してるわ。何してるかよくわかんないけど。」
わたしが言うと、
「あ!それ、小さい頃見たことある!なんか、剣みたいに振り回してて、カッコいいな〜って思ったんだよな。」
と瑠飛が反応した。
「剣?アクションみたいな?未依沙のお父さん、なんでも出来るんだね。」
「まあ、ちょっと変わってるよね。お母さんもアイドルが好きで、よくアイドルダンスをコピーして踊ってるし。2人とも若いなって思うよ」
「未依沙の家族は愉快だね。」
かげちゃんが優しくそう言うから、
わたしは心がホクホクした。
アイスを食べ終わり公園を出ると、
ちょうどお父さんが走ってきた。
「未依沙、瑠飛くん、景虎くん。部活が終わったんだね。」
汗をかいているのに爽やかで、
この蒸し暑さを吹き飛ばしているように感じた。
「はい、部活終わりのアイスは最高でした!」
瑠飛が応える。
「みんなで食べるアイスは格別だよね」
何でだろう?
一瞬、お父さんの目に切なさを感じたのは…
「3人とも、寄り道せずに帰るんだよ」
お父さんはジョギングを再開して走って行った。
「はーい」
わたしたちは返事をして家に向かう。
「未依沙、なにかあった?」
わたしの顔に覗き込み、
不思議な表情をしているかげちゃん。
かげちゃんはすぐに気づくんだよね。
「うーん…よくわからないけど、お父さん、一瞬寂しそうに見えたなって…」
「それ、俺も思ったよ」
かげちゃんがわたしに肯定して、
そっと微笑みかけてくれた。
胸の奥が少しだけくすぐったくなった。
その優しさに救われた気がした。
「未依沙パパもそんな学生時代を過ごしたんじゃね?」
瑠飛がボソッと呟いた。
初夏の夕暮れ、ジリジリ照りつける太陽と
しんみりした気持ちがあまりにも大きく
離れているように感じた。
そっか、青春か。
かけがえのない時間を一緒に過ごせてるんだ、今。
この時間の愛しさが込み上がってきた。
ふと見たかげちゃんの横顔が
夕日に照らされて少しだけ大人っぽく見えた…




