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異世界転生を果たした、おば、コホン、お姉さまは、お嬢様生活のために悪役回避、頑張ります!  作者: 渡 幸美
第四章 聖女と勇者と精霊と

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67.エルのお披露目会!と

ファーブル王国は日本のような四季があり、今はまだまだ冬の季節。


それでも、我がサバンズ家は毎日が小春日和だ。


「エルぅ~、今日もかわいいねぇ」とは私。

「世界一だよねぇ」とはマリーア。

「きゃっきゃっきゃっ」


なぜなら!天使がいるから!!


「は~ヤバい、本当にヤバい。語彙力なくなる。可愛いって言葉しか思いつかない」

「ね~!」


もうエルしか勝たん。優勝!ですが、何か?


いや、わかっている。わかっているのよ。子どもは天使じゃないのよ。いずれ生意気になるのよ、それが成長、当たり前!


だけどさ~、この赤ちゃんオーラには勝てないよねぇ。もうずっとふくふくほっぺを触っていたいもの。ふくふく~!


「お嬢様方。本日はご友人の皆さまがいらっしゃるのでしょう?エル様を着替えさせていただきます。お二人も、侍女さんがお待ちですよ?」

「そうだった!」

「名残惜しいけど、エル、またね」


乳母さんに優しく窘められ、私とマリーもお着替えへと急ぐ。今日はいつもの仲間たちにエルの御披露の日だ。





「はわわわわ……かわっ、かわいい……!」


イデアーレがエルを見て、身悶えする。そうだろう、そうだろう!


「マリーとリリーの色を持ってるのね」

「そうなの~!いいでしょ」

「侯爵に似てるね」とは、マークス。

「そうなの!でも可愛いの!」

「リリー、でもって言うのは止めてあげて」


思わず出た本音をマリーアに窘められた。相変わらずヘタレパパに優しいなあ。


「きゃっきゃっ」

「おっ、この人数に囲まれてもご機嫌だな」

「さすが、マリーとリリーの兄弟ってとこか」

「それ、褒めてるのよね?ヒンター」

「もっ、もちろんだ」


マリーアのツッコミに慌てるヒンター。「肝が据わってそうだよな」と、サーフィスはどこ吹く風だ。


「エルランサ。これは俺たちからの贈り物だ」


そう言ってテンダーがたくさんのタオルにブランケット、スタイやらくつ下まで、たくさんの小物を広げて見せてくれた。全てに刺繍まで入っている。


「わあっ、かわいい!刺繍はもしかして」

「うん、俺が。マリーとリリーと、間にエルランサをイメージして。あ!でも、元のタオルとかは全部みんなが用意してくれたんだ。俺は刺繍しただけだから」

「うん、だからその手数料で十分だからよ、テンダー」


イデアーレの言葉に、全員が頷く。


「サバンズ家だから、大抵のものはたくさんあるだろうと思ったけど、小物はたくさんあっても困らないかとみんなで考えたんだ」

「ありがとう、フィス。みんな」

「みんなありがとう。それにしてもテンダーの刺繍は繊細よね。悔しいくらいよ」


そう言ってブランケットを広げながら、マリーアがしみじみと言う。

みんなも釣られるようにそれぞれを手にしながら、改めて感心するのであった。


「本当にすごいよね、テンダーって。これで剣も強いんだもんなあ。完璧だよね!」


スタイを広げながら笑顔でテンダーを見ると、「うぐっ」と唸って顔を背けられた。

よく見ると、耳が赤い。熱?熱か?それはテンダーも心配だけど、エルがもっと心配に!


「テンダー、大丈夫?なんか耳が赤いけど、体調悪いの?」

「~!ちがっ、た、いちょう悪いのに赤ちゃんに会いに来たりしないよ。だ、大丈夫だから、ちょっと離れて、リリー」


後ろから覗き込むように声をかけたら拒否られた。なんかちょっと悲しい。


「えっ、ごめん」

「ごめん、違う。何言ってんだ、俺」


ちょっとしゅんとして離れようとしたら、軽く手を取られてじっと見つめられる。目元も仄かに赤い。


「…テンダー?やっぱり具合が」

「本当に違うから。体調はいいよ。リリーに褒められて嬉しくて恥ずかしかっただけ。……だってものすごくかわいい笑顔で言ってくれたから」

「……へっ?」


つい口から出た間抜けな言葉が出た。

だってテンダーはいつもギャップ萌えのカッコかわいい男の子だけど、なんだかいつもより真剣さがあって。


何だろう、視線を外せない。


「あの、テンダー…」

「リリー、俺ね。俺もリリーのこと好きだって気づいたんだ。この前の、魔獣騒ぎの時もフィスじゃなくて俺が助けたかったなって。リリーが怪我がなくてそれが一番だったけど、次々、そんな思いが浮かんで来ちゃって……」


沈黙に耐えきれずに声を出すと、被せるようにテンダーが話し出した。

えっ、でっ、それで今、私はこ、告白をされていますか?えっ?


「初めて会った時から、笑顔に元気がもらえるかわいい子だなって思ってた。こんな妹がいたらなと、思っているつもりだったけど……それとは違う感情だって、気づいた」


テンダーの、真剣な顔に声も出ない。

ただ、自分の顔が熱を持ったことは分かる。絶対私、今真っ赤だ!


だってこんな急に!ストレートに言われたら、誰だってそうなるよね?!


「フィスにも話した。リリーが婚約とかをまだ考えていないこともわかっている。たけどリリーが考えるようになった時、俺も候補に入れてもらいたいと、思って」

「~~~~~~っ!」


「……いい?」と大型犬の困ったような上目遣いで見られたらヤバいでしょ!もう思考が飛ぶ!私はカクカクと首を縦に振ることしかできなかった。


「よかった!ありがとう、リリー。これからもよろしくな」


ホッとしたふにゃりとした笑顔。

これも正しくギャップ萌え~!


「…なあ、そろそろいいよな?」


テンダーと二人でもしょもしょ照れ合っていたら、不機嫌そうだけど笑顔のサーフィスが間に入ってきた。


そこでハッと我に返る。

そうだよ、みんなの前じゃん!また頬がカーッと熱くなる。お湯を沸かせそうだよ!


「大人げないなあ、フィスは」

「うるさい!テンダーは同い年だろ。ちゃんと口を出さずに我慢しただろうが」

「そうだね、頑張ったね」


ヒンターとマークスにいつものようにイジられながら、サーフィスが少し憮然とした顔をしている。


「テンダー、手。リリーの手を離せ。ずっと握ってる」

「えっ、あっ?すまない、リリー!」

「だだだ、大丈夫っ」


少し睨むようにサーフィスに言われ、気づいていなかったのであろう、慌ててパッと離すテンダーがかわいい。


「テンダーもか…。まあ、仕方ないわね、わたしのリリーは世界一かわいいから。エルと共に。それにテンダーは悪くないわよね」

「やっぱり!!」

「あはは、そこは平等に頼むよ、マリー」

少しだけマリーアを窘める?マークス。

「まあ、二人とも頑張れ」

楽しそうに鼓舞するヒンター。

「はわわわわ、わた、わたしはどうすれば?」

オロオロかわいいイデアーレ。


私はすごく恥ずかしいけれど、みんな暖かい雰囲気で。

自然とテンダーと視線を合わせて微笑み合う。


「そこ!いつまでも見つめ合わない!」

「余裕のない王子も珍しいわよね」

「マリー!今日は少し甘くしてくれ」


何だかんだと言いながら、みんなの輪に戻る。かわいいかわいいエルもいて、夢心地に足元がふわふわしているよう。



まだまだ魔王は安心できなくて。

考えることはたくさんだけど。


こんなぬるま湯で優しくて大事な時間を、大切な人たちと過ごせる幸せ。


贅沢に、浸らせてもらっちゃおう。


……恥ずかしさには、慣れないけどねっ。


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