57.学園祭。now.2
魔法の大会も、剣術大会も、同じ会場で行われる。
イメージで言うと、前世の国立競技場を二回りくらい小さくした感じ。それでも十分広いし、逆に規模的に試合が良く見えてよきかなと。
そして観覧席と舞台の間には、お約束の先生たちによる結界が張られている。見物人に怪我をさせたら大変だもんね。
私とイデアーレは無事に家族と合流し、試合開始をわくわくと待っている。
魔法部門も剣術部門も、三年生以下と四年生以上に別れてのトーナメント戦だ。一年生と六年生じゃ、魔力制御も体格も違うからね。それでも、一年生や四年生が勝ち上がるのは大変なことだろうと思われるが。
そして、出場できるのは、各学年の上位10名まで。実力者同士の大会なのだ。それに出場できる、さすがマリーア!夏休み明けの鬼畜の実力テストも、サーフィスと同率一位だったしね。ふふ、自慢の姉。
……この大会に出られるのだから、エレナも実力者なんだけどな。何が彼女をああさせるのだろう。
…とは思うが、もちろん魔術はマリーア応援一択だけど!剣術は、うん、みんな頑張って欲しい!なんてったって、勇者とその仲間たちが全員参加だからね!さすがだよね!!
「そしてできればフィスの目論見を潰して欲しい...」
「だから、願うのはかわいそうだから止めてあげて」
隣に座るイデアーレに、しっかりと一人言を拾われた。
「だって。恥ずかしいじゃん」
「フィスも言ってたし、かわいい妹分で済みそうじゃない?マリーに渡したりしたら騒ぎになりそうだけど」
「それはそうだけど」
「それに、三年生もいるし。簡単ではないのではないかしら」
「確かに!」
いやね、別にフィスに負けて欲しいとかではないんだよ?ただ、こう、さあ?ねぇ?
「二人で楽しそうに話しているところにごめんなさいね。そろそろ始まるわよ」
後ろの座席から、お母様に声をかけられた。
私とイデアーレが並んで座る後ろの列に、両家の両親は並んで座っている。
「あっ、はい!」と、二人で慌ててステージに顔を向けると、1回戦の準備が整っていた。
魔術トーナメントは、動く的に魔法を制限時間内に早く多く当てたものが勝ちとなる、シンプルなものだ。シンプルながらも魔法反応の早さと魔法制御の力量が問われるので、簡単ではない。普段の魔法への姿勢が出そうだよね。
ちなみに、魔術も剣術も男女混合。自分の得意な方でチャレンジできる。そして、ザ、平等!であると思われる、完全なくじ引きでのトーナメントだ。
そしてそれが、何かのフラグかのように、マリーアとエレナは決勝まで行かないと当たらない。
………………。
うん、きっとたまたまだ。三年生にも勝たなきゃいけない訳だし。
「リリー、1回戦が始まるわよ!」
イデアーレの声に、慌てて意識を戻す。そうなったらそうなっただ。今はせっかくの大会を楽しもう!
1回戦は、二年生の男子生徒と、三年生の女子生徒の試合からの開始だ。
「始め!」
先生が合図と共に旗を振ると、止まっていた的たちが動き出す。
「わっ、すごいすごい!きゃあ、動くだけじゃなくて魔法から逃げることもするのね!」
「的に魔法感知の術が付与されてるみたいよ。素早く当てないと感知して逃げられちゃうのね」
「へ~!おもしろい!」
なかなか難しそうだが、二人はそれなりに的に当てていく。そして半分ほど的が残ったところで、時間切れのブザーが鳴る。
結果は、35-27で三年生の勝利。
「ほう。今年はなかなか粒ぞろいかな?」
「そのようですな」
1回戦の結果に、後ろに座る父たちが楽しそうに語り出した。隣の母たちも同意するように頷いている。
「そうなの?」
私とイデアーレも、振り返って参加する。
「ああ。的は魔法感知で動くだろう?あれに当てるのが、なかなかどうして、コツがいる」
お父様たちの話によると、三年生以下で30越えは結構な使い手らしい。
「六年生にもなれば、いける子は50...。優勝となると、70は必要くらいにはなるけどね」
ほう。なかなか奥深いのですな。
「リリー、次はグリッタ様の1回戦だわ」
「わっ、ほんとだ」
やはり何度見ても儚げな人だよな…。
と思っていたら、彼女はすごかった。
「51ー31!エレナ=グリッタの勝利!」
どわあっと会場が沸いた。
「一年生が三年生に勝つのは久し振りじゃないか?!」とか、「30でもすごいのに、50とは…!」とか、称賛する声が溢れている。
当の本人は、涼しい顔をしてお辞儀をして下がって行った。
うう~ん、本当に優秀な人ですよね?!
なんでこっちに絡むかな?!




