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異世界転生を果たした、おば、コホン、お姉さまは、お嬢様生活のために悪役回避、頑張ります!  作者: 渡 幸美
第三章 建国祭と学園と

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49.顔合わせ 4

ファーブル王国、ここは夢と魔法のファンタジーの国。


私も魔法を使える。楽しい。うん、間違いない。


魔道具、うん、たくさんある。なんなら、確かに前世の時よりも便利なものさえあったりする。


毒消しやら私的に大騒ぎだった悪阻防止やら鎮痛やらと。魔力制御の指輪だって、なかなかなものだよね。


だが。


複数の効果がひとつになったものは、存在していない。平和だから必要性も低いだろうし、何より作るのが難しいからだ。素材と魔力を組み合わせるのがどうとか。


つまり。


「いやいやいやいやいや!ほんとに怖い怖い怖い!!やっぱりイデアが凄すぎる!」


と言うことだ。


「い、いけませんでしたか……?」


私たちがあまりにもアワアワしたせいで(仕方ないのだけれど)、イデアーレが泣きそうな顔でしゅんとしてしまう。


「いけないわけはないわ。ありがとう、イデア。すごくすごく嬉しい。けれど、これは陛下に奏上しないといけない物だと思うのだけれど」


マリーアが、優しくイデアーレの背中を擦りながら、サーフィスの方を見る。


「そうだな。しかし凄いな。複数の付与なんて難しくなかったのかい?」

「マリーたちを…みんなを守ると必死で考えていたので、そこは特には」

「そ、そうか」

「それに、家にあったアーティファクトを分解して参考にしたので…」

「アーティファクト?!って、分解していいやつなの?!」


すかさずツッコむわ!


「ええ、もう動かないものも多いので大丈夫なの。最初に見ておけば、元に戻せるし」

「へ、へぇ……すごいね、アハハ……」


イデアーレの天才ぶりに全員で乾いた笑いしか出なかったものの、その優しい心に気持ちが温かくなる。


「イデアのお家には、アーティファクトがいっぱいあるの?」

「うん、家柄的に多いと思う。研究肌だし、収集癖がある人も多いし。あ、それにイルスが見つけて来てくれたりして…って、イルスから貰ったものはうちにあってもいいものなのかしら?!」


そうだよねー、この間まで精霊さんてこと知らなかったもんね。慌てるよね。


そんなイデアーレをサーフィスが笑いながらなだめて、貴重な技術と共に陛下に伝えるから大丈夫と言ってくれた。


「対魔王のようなものだし、さっそくつけさせてもらおう。父上も許可を下さると思う。ありがとう、イデア」

「いえっ。その、考えなしにすみません……。みんなのことを思って作っていたら楽しくなってしまって、あれもこれもと……」

「はは。それで出来るとか、すさまじいな。今後も楽しみだね」

「はい!今、魔力制御ではなく、魔力()()を抑えて、かつ徐々に魔力を回復できる腕輪も開発中ですので。少しお待ちください」

「あ~、その暁には、まず俺に連絡をもらっても?」

「はい、承知致しました!今回はすみません、浮かれていて…」

「いや、謝る必要などはない。イデアの気持ちをみんなでありがたく貰い受けたよ」


更なるイデアーレの無意識ぶちこみを、王太子らしくにこやかに躱して踏み止まるサーフィス。

さすがだな。


「でも、ほんとにすごーい、イデア。性能がすごくて、こんなに綺麗な腕輪とか……うう、不器用なのはわたしだけか……」


思わず遠くを見てボヤく私。

前世でも料理は人並みにできたが、図工裁縫絡みは散々だった。そんなことまで引き継がなくて良かろうに。夢の魔道具作りも無理かな、こりゃ。


「何言ってるの?リリー。魔道具は魔道具よ。刺繍や裁縫とは違うわ。この色は、魔力付与の色よ」


イデアーレがキョンとして首を傾げる。


「と、いうことは?」

「お裁縫は、一針一針自身の手でしょう?魔道具は魔力操作でできるのよ」

「と、いうことは?」

「わたしみたいに、ひまわりを刺しても怪しい魔犬にしか見て貰えない刺繍の腕前でも、できるということよ!」

「やった~!希望が持てる~!」

「いつでも教えるわよ?リリー」

「わあ、ありがとう!」


そうか、テンダーの髪飾りを芸術って褒めてたもんね。仲間だった!

二人でひしと抱きしめ合う。


他の5人はヤレヤレ顔で見ているが、知ったことではない。不器用さんの気持ちは分かるまいて。


「ともかく、イデアから心強い腕輪も貰ったことだし、安心して新学期を迎えられるな」


コホンと咳払いをしつつ、ヒンターが纏めた。


シゴデキだわ。


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