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異世界転生を果たした、おば、コホン、お姉さまは、お嬢様生活のために悪役回避、頑張ります!  作者: 渡 幸美
第三章 建国祭と学園と

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46.顔合わせ 1

夏休み終了の一週間前になり、私たちは王都へと帰って来た。


領地では、イデアーレと仲良くなれた上にまさかの愛し子仲間だったし、サバンズ領を一緒にいろいろ回れたし、すごく楽しかった。


ちなみに、陛下への報告は言っていた通り風土二人の精霊がサクッと済ませてくれた。思った通りドゥルキス家の事件を陛下が覚えていたこともあり、本当にさらっと終わったようだ。


そして今日は、愛し子さんたちと勇者仲間たちがサバンズ家に集合している。また学園が始まるし、イデアーレとテンダーの顔合わせも兼ねた情報交換会みたいなね。


「こう皆で集まると、いつかのお茶会のようだね。イデアーレ嬢も愛し子と聞いて、驚いたけれど納得もしたよ。心強い仲間ができて嬉しい。今後ともよろしく頼む」

「は、はいっ…!微力ながら、お手伝いさせてください、殿下」


まずサーフィスが王子スマイルで声をかけ、イデアーレがガチガチで返事をした。


「フィス、何かっこつけてるのよ。このメンバーなんだから、いつもの通りでいいでしょ」

「……最初くらいはいいだろ」


勇者と聖女の気安いやり取りに、イデアーレは驚きを隠せない顔をしている。


「イデアーレ嬢、これからは俺たちも改めてよろしく。俺とマークは愛し子ではないが、いろいろとサポートできたらと思っている」

「よろしくね、イデアーレ嬢。フィスとマリーもいつもあんな感じだから、慣れてくれると。お茶会の時みたいに、マークでいいからね」

「全く……最初くらいはビシッとしたかったのに。まあ、仲間だし、繕っても仕方ないか。イデアーレ嬢、わたしもフィスで構わないよ。こちらも、リリーたちと同じくイデアと呼んでも?」


「ふぃ……?あ、はい!わたくしは、お好きなように!」あわあわしすぎているイデアーレがかわいい。


「失礼します、マリーアお嬢様。セラータ辺境伯爵ご子息がいらっしゃいました」

「あ、テンダーが着いたのね?ご案内して」


アイリが「かしこまりました」とテンダーを招き入れる。


「遅れてすまない」

「構わないが、珍しいな」


確かに、騎士気質のテンダーの時間管理はしっかりとしている。今日も連絡はくれたけど、テンダーが遅れるとか初めてかも。サーフィスの疑問ももっともだった。


「ああ、実は…と、その前に。初めましてイデアーレ=ドゥルキス嬢。テンダー=セラータです。これからよろしくお願いいたします。どうぞ、気楽にテンダーと」

「ありがとうございます。イデアーレ=ドゥルキスです。お会いできて光栄です。わたくしのことも、ぜひイデアと」


殿下を始めとした高位貴族に囲まれて、慣れたのか開き直ったのか、イデアーレは穏やかに綺麗なカーテシーをし、テンダーも騎士の礼をした。


「それで、だけれど。今日遅れたのはこれを作っていて」


とのテンダーの言葉に、今度はスザンヌが心得たようにスッと箱を差し出す。


「イデアへの歓迎のプレゼント。マリーとリリーともお揃い。色はそれぞれ俺の勝手なイメージで作ってみたんだ。良かったら受け取ってくれ」


これがイデア、これがマリー、と出されたそれは、とても綺麗な花の髪飾りだった。とても繊細で、光が反射してキラキラと輝く。前世で見たアメリカンディップアートみたい。色もグラデーションになっていて、とても素敵。


「「「わ、あぁぁぁぁぁっっっ!!」」」


三人で同時に歓声を上げてしまい、お互いに顔を見合わせて笑う。


「ごめんなさい、大声を出して。驚くくらい美しくて。これをテンダー様が?」

「様はいらないよ、イデア。そうなんだ、実はこういう綺麗なものとか好きでさ。いかつい俺に似合わないのは分かっているんだけど、仲間には知っていて欲しくて。少し恥ずかしいけど」

「恥ずかしいなんて、とんでもないことでございます!これは既に芸術作品です!むしろ、わたしがいただくのが恐縮なくらいで……」

「ありがとう。かわいい三人に着けてもらうために作ったのだから、遠慮せず受け取ってくれたら嬉しい」


イデアの言葉に少しはにかんで、嬉しそうに話すテンダーがかわいい。ほんとにギャップ萌えとはテンダーのためにあると思う。

かわいい三人とか、さらっと出るのがすごいよね。


「はわわ…ありがとうございます」

「ありがとう、テンダー!すごくキレイ!ねっ、スザンヌ。着けて着けて!」

「ありがとう、テンダー。さすがのセンスよね。わたしも負けずに勉強するわ!」

「マリーだってセンスいいぞ」


女子会のように四人でキャッキャして、イデアは明るい紫、マリーアは深めのピンク、私は青空のような青色のそれをそれぞれをつけてもらった。


「髪に飾るとますます素敵ですわ、お嬢様方」


侍女二人が満足そうに頷きながら下がる。


「ほんとにすごーい。テンダー、これは何の素材なの?珍しいよね」

「うちの領地にたくさん繁る植物の繊維?みたいなやつ。最近いろんな用途に使い始めてて…」

「植物…テンダーさ、て、テンダー、その話を詳しく聞かせていただけますか?!」


私が素朴な疑問を口にすると、イデアーレもすごい勢いで乗っかってきた。さすがの知識欲。


「もちろん!まず、」

「いや、ちょっと待って、テンダー」


テンダーが説明しようと口を開くと、慌ててマークスが止めに入った。何よう、マークスらしくな…あ。


安定の困り笑顔のマークスの後ろに、勇者にあるまじき不穏な笑顔を浮かべている人と、それを見て笑いを堪えている不届き者がいるわ。


はい、顔合わせと情報交換ですよね。すみません。

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