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ヘアハーリング  作者: さとうきび
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日常の終わり

~~~9月1日~~~

夏休みが終わり俺は憂鬱でなかなか起きれないでいた。

目はさめているものの、ベッドに横たわりうだうだとしていた。

『今日から学校か…。面倒だ…。このまま休もうかな。そうだ!このまま休もう!』

なんてことを思っていたら部屋のドアが勢いよく空いた。

「にーちゃん起きろーーーーーー!!!!」

その声と同時に俺の腹をめがけて妹がダイブしてきた。

「ぐほっ!」

腹パンされたかのような痛みが走る。にもかかわらず妹は俺の上で暴れている。

「にーちゃん起きてーーーー!!!」

「分かった…。分かったから暴れないでくれ…。」

「あっ。起きた」

「お前、人に向かってダイブするのはよくないことだと親に教わらなかったのか?」

「だってにーちゃんこうでもしないと起きないじゃん」

「どうせ学校休もうとか考えてたんでしょ」

「うっ…。どうしてそれを。まさか人の心が読めるのか」

「にーちゃんの考えることなんて大体そんなんしかないじゃん」

「心外だな。兄をなんだと思ってるんだ!」

「クソニート」

「おい。俺は学生だからニートじゃない。そして兄に向かってクソとか言うな!」

「はいはい。分かったから早く起きてご飯食べてよね。私まで遅刻しちゃうじゃん」

そう言って俺の部屋から妹が出ていき1階に降りて行った。

妹は神崎詩織中学3年の14歳。

両親が共働きで忙しく、家にいないことが多いため家事全般を妹の詩織がやってくれている。

そして俺、神崎透也。高校2年の17歳。しっかり者の妹と違って怠惰な生活を送っている。

そのためこのように妹に見下されている。

「起きるか…。」

そうして俺はベッドから起き上がり着替えて1階に降りた。

「あっ。やっと起きた。私日直だからもう行くから。食べ終わったらお皿とか流しに入れといてね。」

「あいよ~」

「後学校さぼらないでね。さぼったらお母さんに言いつけるからね」

「大丈夫だって。そんな恐ろしいことをされたら敵わんからな」

「弁当そこにおいてあるから」

そういって駆け足で詩織は家を出ていった。

母は怒ると怖いため怒らせてはいけないというのは家族内で共通認識されている。

俺は朝食を食べながら付きっぱなしだったテレビのニュースを見ている。

『次のニュースです。昨夜上沼町で不審な男が徘徊しているという通報があり、警察は…』

どうやら不審者のニュースらしい。上沼町といえばこの辺りであった。

「物騒だな…。」

そういいながら朝食を食べ終え、お皿を流しに持っていき学校へ行く準備をし家を出た。

学校でいつも通り朝は授業を受け、詩織の手作りの弁当を食べ、午後は眠気と闘いながら授業を受ける。

授業が終わり、特に部活もしていないためそのまま帰宅しようとすると

「おう。もう帰るのか。」

話しかけてきたのは高1の頃から同じクラスの関口海斗だった。

「まあな。特にやることもないしな」

「つまんねえやつだな。なんか部活とか入ればいいじゃん。サッカーとかどうよ?」

「俺がそんな面倒くさいことをすると思ってるのか?」

「…相変わらずだなお前。透也の運動神経なら部活入ったらすぐスタメンになれるだろうに」

「興味ないな」

「そーかよ。俺は部活行くからじゃあな」

「じゃあな。また明日」

「おう!」

海斗はサッカー部で2年生にもかかわらずスタメンをとれるほどの実力者である。

1年からの付き合いもあって俺の性格はバレバレである。

俺はそのまま帰宅し、そして17時30分頃に家に着いた。

鍵を開けるとまだ誰も帰っておらず、家の中は静かだった。

「詩織もまだ帰ってないのか…。」

詩織も部活等はやっていないため、いつもは俺よりも早く帰宅しているのだが今日はまだ帰っていない。

「買い物でもいってるのかもな」

俺はそんなことを言いながら自室に入っていつものようにぐだぐだし始めた。

-19時30分-

「…流石に遅い」

俺が帰宅してから2時間がたつのに詩織が帰ってこない。

買い物にしてもこんなに時間がかかることはないだろう。

友達と遊ぶならいつものように家族のグループチャットで一言書いてるだろうがそれもない。

ここで俺は朝のニュースを思い出した。

『昨夜上沼町で不審な男が徘徊しているという通報があり…』

「まさかな…」

妙に胸騒ぎがする。するとインターホンの音が鳴った。

「詩織やっと帰ってきたか。インターホン鳴らしたってことは鍵なくして探してたとかか?」

詩織が帰ってきたと思い安心したのか、胸騒ぎがだんだん収まってきた。

俺は鍵を開けようと1階に降りてドアを開けたがそこには詩織ではなく警察官2人がたっていた。

「夜遅くにすみません。神崎詩織さんのお宅で間違いないでしょうか?」

収まっていた胸騒ぎが再び激しくなっていく。なぜ詩織の名前を言ったんだ?

「…そうですが…詩織がどうしたんですか?…」

警察官2人が顔を見合わせた後こう言った。

「…先ほど神崎詩織さんの遺体が発見されました」


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