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貨幣価値の目安


金貨…百万円相当

銀貨…一万円相当

銅貨…百円相当

銭貨…一円相当

 今、俺の手元には金貨八枚ほどのまとまった金がある。

 先日エディたちからの一括返済で戻ってきた金と、大衆酒場から巻き上げた酒を売っ払った金だ。

 ちょっと豪遊したせいで減ってるが、運用するには申し分ない軍資金。その気になりゃ家だって買えそうだ。


 手持ち現金は増えた代わりに昨日顧客が六人減ったとも言える。完済よりも細く長く返済を引き伸ばす顧客維持を目指した方が、長い目で見りゃプラスだったけどしょうがねえ。


 顧客を増やすには新規開拓か、完済した顧客にもう一度貸すか。

 …あいつらは多分もう借りねえだろうな。俺から足を洗いたくて借り換えしてまで一括返済してんだもんな。


 となるとやっぱり新規開拓だな。細々とビラでも貼って回るか。



 大通りはとても賑やかだ。

 なんでもこの間、お偉いさんとその護衛がラッカラに立ち寄った関係で補給物資を中心とするいろんな物が飛ぶように売れたらしい。

 金をじゃんじゃん落として行ってくれたから町の奴らは昼から遊びに出てやがるんだ。羽振りの良いこったな。


 あぶく銭だからすぐに無くなるだろう。

 しかし一度遊びの旨味を知っちまったら通常通りの生活に戻っても忘れられずについつい浪費しちまう。一人や二人じゃない、相当数の中毒者が出てくるだろうさ。

 そういう奴らが出てくることを見越して、安い大衆酒場に多めにビラを貼って回るって訳よ。

 日雇い希望者も網にかけるために一応冒険者ギルドにも貼ってくか。




 冒険者ギルドはそれなりの空き具合だった。


 朝一の依頼の取り合いが終わってあらかたの冒険者が出払った今、一階ロビーはスッキリしている。


 掲示板の横の柱とか適当な所に貼らしてもらってさっさと次に――


「だーかーら! そんなんじゃなくてもっと良い依頼をくれよっ!」

「ごめんなさいね、決まりなの。ごめんねボク」

「子供扱いすんな! <剣士>の恩恵ギフト持ちの立派なオトナなんだぞ!」

「それでもね。Fランクじゃ討伐依頼は受けられない決まりになってるの。Eランクになってからまた来て。真面目に採集依頼をこなしてれば三か月後には上がるだろうから」

「三か月も待てるか…っ!」


 窓口で受付嬢に噛みつく少年がいた。

 少年の後ろには同い年くらいの男女が二人。この三人は恐らく冒険者登録を済ませて日が浅い新人で、パーティーを組んですぐに見える。


「スライムでもコボルトでもいいよ! なんかそういう初心者向けの依頼はないのかよ!」

「ごめんね、悪いけど――」

「ンなもんねェよガキ。どけ」

「なっ―――!?」


 なおも食って掛かる少年の後ろから不意に現れた別の冒険者は、少年の肩を掴み強引に横に引き剝がした。


「「ベルク! 大丈夫!?」」

「――おう姉ちゃん、終わったぜ。確認頼むわ」

「痛ってぇ…! おい、何すんだオッサン!」

「あ?」

「おれが話してんだろうが! 横入りしてんじゃねえよ!」


 駆け寄った仲間の介助を振りほどいて立ち上がったベルクという名の少年は、素知らぬ顔で窓口のカウンターテーブルに依頼書を置き、完了手続きしようとしていた冒険者の男に噛みついた。


「横入り? 業務妨害の間違いじゃねぇか?」

「はあ? ふざけんじゃねえよ! おれはな、討伐依頼を受けようとしてただけなんだよ!」

「討伐依頼、ねえ。そんな装備で討伐依頼か」

「「くっくっくっくっく…!」」


 男は周りの冒険者たちに目配せし、まだ孵って間もない彼らを遠巻きにせせら笑う。


 ベルクと呼ばれた少年は腰にショートソード。

 傍らの少女は腰に弓、背に矢筒。

 傍らのもう一人の少年は腰にグラディウスと背中に大きな木盾を背負っている。


 特筆すべきはその三人がいずれも防具らしいものを身に着けていない事。

 田舎から単身出てきた彼らはこの町でひとまず目についた武器だけを財布の事は深く考えずに買い揃えたのだろう。

 手練れに見えないのはもとより、管理統率する人間、親や保護者の目が届かない野放し状態となっている事を窺わせるには難くなかった。


「笑うな! なめんな! おれは<剣士>の恩恵ギフト持ちなんだぞ!」

「そうかい。俺は<山賊王>だ。自信があんなら死合ってみるか」

「…っ」


 男は瞬きしないまま、ニィと笑う。

 その背に担がれた大斧が鈍く光った。


 男の身長は成人男性にしては高くないもののベルクよりはまだ高く、むき出しの腕やガッシリとした胸板は胸当ての上から分かるほど筋肉が山のように盛り上がっており、日々歴戦を潜り抜けてきたことが想像できる。


 年は二十代半ばかと言ったところ、ところがそのオーラは猛者が放つそれであった。



 この場の誰が見ても勝敗は明らかなカード。

 始まったとしてもたった一合で決まるだろう。

 しかし当事者目線となるとそれが想像出来なくなる、彼我の力量差が見えなくなる。

 あまりにも格が違い過ぎると引き際さえも見失ってしまうが、ここまで虚仮にされたことでかえって火が付いたベルクは、その挑発に乗ろうとしてしまう。


「山賊だって? <剣士>が山賊なんかに負けるかってん――」

「おいやめろお前ら。ギルド内で抜くんじゃねえぞ?」

「ぐ、グレンさん」


 待ったをかけた。


 ベルクが剣を抜こうとしたのに合わせて斧に手をかけるのが見えたので、もう良いだろうって事で俺登場だ。


「おいゲオルク。新人いじめはやめろ」

「お、おう。すんません」

「それとお前。冒険者ギルド内で剣を抜こうとしてるお前だよ」

「…!」

「自分の腕前を過信してんのか知らねえが、勝てない喧嘩吹っ掛けてんじゃねえ。血糊掃除する身になってみろ。迷惑だ」


 隅っこの方でカタカタ震えてた職員の女の子の姿が見えねえのか。

 ギルド内で何かあったらあの子が全部掃除するんだぞ。

 血も死体もあの子に全部処理させるつもりか。やるなら町の外でやれ。せっかく綺麗なロビーを汚すな。


 剣の柄を握ったまま呆気に取られていたがベルクは気を取り戻したのか、今度は俺に食って掛かった。


「な、何だ急に! これはおれとこいつの問題だ」

「悪いがそいつはうちの客なんでな。無関係じゃなくなっちまった。面倒事は処理させてもらうぜ」


 隙だらけのベルクの襟首を掴んで、そのまま冒険者ギルドを退出する。


「は、離せよっ! 誰だよお前! 関係ねえだろこらあ!」

「ゲオルク、再来週行くからな。ちゃんと工面しとけよ。サボったら斧売るからな」

「あ、ああ。もちろんです」

「じゃあみんな騒がせたね。これで失礼するよ」




 路地裏


「離せよ! 何なんだよお前! どこまで行くんだ、はーなーせー!」

「はい離した」

「うおわっ!?」


 襟を離して地面に尻餅をついたベルクに仲間の二人が駆け寄り、声をかける。


「ベルク大丈夫か」

「大丈夫?」


 そんな心配をよそに、ベルクはまだ頭に血が上っている。


「いってぇ…いきなり何なんだよお前、ぼーりょくはんたーい! 大人が子供に手上げちゃいけないんだー!」

「<剣士>の恩恵ギフト持ちの立派なオトナのくせに挑発に乗ってあっさり剣抜こうとしたのはどこの誰だったかな」

「う、うるせえ! 売られたケンカだろうが! 買わなきゃナメられるに決まってんだろうが!」

「ほうー。お前に勝ち目なんかないのに?」

「やってみなきゃ分かんねえだろ!」

「いや、分かるね。あいつは<山賊王>の恩恵ギフト持ちだ。斧・槌・金棒などの重量級武器を使えばその強さは上級剣士にも匹敵するレベルの戦闘職だ。お前なんか一秒だぞ」

「「ええっ!」」

「な、な…んだっ…て…」


 ベルクは驚きに目を見開く。

 身長は変わらないし見た目年齢ではそこまで離れていなさそうだったのに、恩恵ギフトにそんなに大きな差があったとは思わなかった様子。


「Fランクの戦闘経験もない子供じゃ、<剣士>なんてあってないようなもんだ」

「「「…」」」

「お前の首と胴が二つ別れになんなかったことを感謝されこそすれ非難される覚えはない」


 第一、<山賊王>のゲオルクは俺の顧客の一人だ。

 あいつは期日を守ってちゃんと返済してくれる優良顧客だ。

 こんなとこで新入りを殺して死罪・もしくは鉱山労働三十年なんてなったら、まだ回収出来てない残高が回収出来なくなっちまう。


「あ、あのう、すみません…」

「ん?」

「マリーです。うちのベルクが迷惑をかけちゃって。ごめんなさい」


 弓持ちの少女がそう言うと俺に頭を下げてきた。

 遅れて、もう一人の大盾持ちの少年も頭を下げ、ベルクはマリーに後頭部を掴まれぐっと頭を下げさせられた。


「昔からカッとなりやすくて。それで今まで何度もこういうことになったりしちゃって…」

「おう。相手次第じゃ吹っ掛けた瞬間ボコボコにされるから気を付けろよ。冒険者ってのは血の気が多い奴らばっかだからな」

「はい。最初は地道に採集依頼で稼ごうって話をしてたんですけど、ベルクがそんなチンタラしてられるか、って」

「う、うるせえ。討伐依頼受けた方が手っ取り早く稼げるだろうが。でっかく稼ぐためには危ない橋も渡らないといけないだろ。ゆっくりしてるヒマなんてないんだよ!」

「ベルク、あのねぇ――」


 ベルクにマリーが語気を強めて説教を始めようとしたのを手で制し、一歩前に出る。


「おいお前」

「な、何だよ」

「金が欲しいのか?」

「……」


 そう聞くとベルクは目を泳がせながらも、俺の目を何度かチラチラと見て、小さく頷いた。


「親兄弟は?」

「…父ちゃんと母ちゃんと、妹と弟の五人」

「生まれは?」

「…ユーバ村。ここから三日のとこにある川のほとり」

「ユーバ村か」

「何でそんなこと聞くんだよ!」


 腕組みして少し考える。

 ユーバ村と言やあ確か。


「ジョアンとか言う村長がいるだろ」

「えっ…村長のこと知ってんのか」

「合ってんだな。じゃあ――」


 ベルクの肩と、もう二人の肩を両手でまとめて引き寄せながら。


「俺が融資してやろう。とりあえずお前ら全員まとめて金貨二枚だ」

「「「金貨二枚!?」」」

「ああ。その金は好きに使え。薬でも医者でもなんでもな」


 そう言うと、ベルクの肩がピクリと震え、おずおずと俺を見上げた。


「お前みたいな子供が即金そっきん欲しがるなんてのは怪我病気してる身内の治療費って相場が決まってんだよ。大方、農業で稼げる少ない金で出来る範囲の民間療法で今のところ持たせちゃいるが、やっぱり薬と医者が必要になった。だがそんな金は家にない。そこで今、家族で唯一単独行動出来る身軽なやつ、つまりお前がラッカラに出稼ぎに来たってところか」

「ど、ど、どうして」


 図星だったようだな。

 ベルクの腰に刺さっているショートソード。この鞘のデザインがやや古い。中古品か親のお下がりだろう。

 弓と矢も木で作った簡素なもの。グラディウスも最近のデザインじゃない。この大盾は…手作りか?


「お前ら全員ユーバ村か」

「はい」

「そうです」

「ベルクの事情は分かって来てんだな?」

「はい。ベルクのお母さんが病気で…」

「おいマリー!」


 ベルクが止めるのも構わずマリーは話し出した。


「お父さんは畑を離れられないし、弟妹も小さいから村を出られなくて。でもベルクはちょうど十二になったから恩恵ギフトをもらいにラッカラに来ました。良い恩恵ギフトをもらえたらそのままラッカラでお金を稼いで、薬代に出来ないかって考えてきたんです。私たちも恩恵ギフトをもらいに来たけど、あとはベルクの手伝いも兼ねて」

「ふんふん、なるほどね」


 幸いにして、三人はそれぞれ望む系統の戦闘職恩恵ギフトにありつけたようだ。

重戦士タンク>の大盾で初撃を食い止めて、中衛の<剣士>で削り、後衛の<弓士アーチャー>で援護して倒し切る。揃って冒険者を夢見ていた三人の希望がすんなり通った形。


 恩恵ギフトの系統は血が濃く出やすいものの、生活スタイルや本人の意志などの後天的要因でも微調整が入る。

 すぐに活動できるポジションをバランスよく引けたのは良いが、如何せん経験と実力とランクが足りない。


 ついさっき世間の冷たさを突き付けられたばかりの彼らに、そんな分かりきったことをグレンが今更伝えたところで彼らの態度を硬化させるだけだから、無駄話は避けグレンは話を巧みに誘導する。


「とりあえずお前らはしばらくこっちで出稼ぎするつもりで来たんだろ」

「はい」

「そんなら、お前は一人で村に帰れ」

「えっ」

「薬と医者を手配して先に行けって言ってんだよ。で、お前らは採集依頼メインでこれから活動始めろ」


 貸した金を使って薬を買わせたらベルクだけ先にユーバ村に帰らせ治療させる。

 三人で帰らせたらそのまま借り逃げするかもしれねえからな。まあそんな事したらユーバ村村長から手を回すだけだが。

 二人はここに残して、細々と採集依頼でもさせて返済させよう。

 もちろん人質、担保カタの側面もある。


「あ、ありがとうございます…! ほら、ベルクも!」

「………ありがとう、ございます」

「おう」

「遅くなってしまいましたが、お名前は」

「グレンだ。金貸しをやってる『裏通りのグレン』だ」

「改めましてマリーです」

「エリオットです」

「ベルク、です」

「よろしく」


 剣士・ベルク、弓士・マリー、重戦士・エリオット。

 この三人が俺の新しい顧客になった。


 十二超えりゃ大人とはされてるが、ちょっと金貨二枚は貸し過ぎた気がする。

 あーあ、手元に金があると気が大きくなってしょうがねえ。


 まあでも、細く長く絞るには悪くない相手か。


「これから返済が終わるまで俺の指定した宿に泊まってもらう。ベルク、お前は今日中に手配を済ませて明日朝一で発て。マリー、エリオット。お前らはベルクが帰ってくるまでは二人で依頼を受けろ。帰ってきたら三人でやるんだ。当面は一袋いくらの採集依頼を受けてもらうからな。薬草とかキノコとか」

「あ、アサイチで行かなきゃいけないん……すか?」

「当たり前だろうが。お袋さん元気にしたくないならいいんだぜ?」

「わ、分かっ…りました」


 金貨二枚を慈善事業で貸し出すわけがないだろ。

 俺は俺の利益を最大限追求する金貸しなんだよ。相手が子供だろうがそこは曲げねえって。




 宿・二階


「よし、ここが今日からお前らが泊まる部屋だ」

「「「おお~…」」」


 ベッド無し・椅子テーブル無し、窓が二つの角部屋。四人用だ。

 床にはゴザを敷いてそのまま寝るスタイルだ。

 冬は隙間風が吹き込んで寒く、夏は二か所のガラス窓から差し込む日光で暑い。

 俺が言うのもなんだが、定住に向かねえ部屋だ。


「雑魚寝にはなるが寝るには不自由しねえ広さだろ。飯は朝夜の二回、時間決まってるから遅れずに食堂に降りてって食えよ。水浴びしてえなら中庭の井戸を使うんだな。よし、お前ら荷物置いたらお隣さんに挨拶にいくぞ」

「「「お隣さん?」」」


 廊下のつきあたりの部屋を出るとすぐ隣の部屋。

 ドアをノックすると、気だるげに背の低い男が出てきた。


「いったい誰で――」

「おうゲオルク。さっきぶりだな」

「ぐ、グレンさん。なんで!」

「お隣に入居者だ。さあ、ご挨拶」


 ドアを大きく開くと、ついさっき冒険者ギルドで突っかかってきた生意気そうな子供。と、その仲間二人。


「「「「………!!!!」」」」


 四人が顔を合わせると忽ち目をひん剥いた。

 ――さっきの人だ。と。


 数秒の沈黙が訪れるが、笑顔で自分の方を向いたままの恐ろしいグレンに見つめられていることに気付き、ゲオルクはやや震えた調子で自己紹介した。


「…いらっしゃい。ゲオルクだ」

「…マリーです」

「…エリオットです」

「…ベルク……です」

「はは……よろしく」

「「「…よろしくお願いします」」」


 ちょっとこれどういうつもりですか…! とゲオルクは目線でグレンに訴えると何とも言えない笑みで、


「お前の仲間・・になった。ここでの暮らしを教えてやってくれ」

「ええ!」

「じゃ、仕事あるから。あとよろしく」


 と告げられた。

 たったそれだけを残してすたすたとグレンは去っていく。



 ゲオルクの部屋のドア前に残された四人の間に居心地の悪い空気が流れる。

 そんな中、エリオットが口を開いた。


「仲間って、何ですか? 俺たち、ゲオルクさんのパーティーに入るってことですか」

「いや、俺はパーティーを組んでねえ。ソロの冒険者だ」

「じゃあ仲間って言うのはどういう意味で…?」

「大して意味ないんじゃない。お友達とかそんな感じのじゃないの」


 マリーは腰に手を当てながらそう言った。


 引き合わせたグレンが去った今、ついさっき張り合った相手なだけにちょうどいい話題もないので唯一の隣部屋であるここに長居することもないと、エリオットはゲオルクに一言告げて、三人は自分たちの部屋に戻ることにする。


「…ともかく、これからよろしくお願いします。ではこの辺で」

「ああ、またな」


 そしてこれからの活動について三人は自室のドアの向こうで話し合い始めた。


「ベルクが村に行ってる間私達は受けられそうな依頼を――」

「なるべく借りたお金は使わないようにして――」


 一人自室に残されたゲオルクは、ぱたんと閉じたドアに寄りかかりながら、誰に言うでもなく、独り言ちた。


「新しい仲間が増えましたよ――、」





 宿屋・一階、親し気に話す店主とグレンの姿。


「おう、ばあちゃん。今日から三人増えたから忙しくなると思うがよろしくな」

「ああグレン君。あとは任せて。あの子たちは()()()()でいいのかい」

「もちろん。…何か頼みとかあるかい? 人手が足りねえとか。何か運んでほしいのとかあったら手伝うぜ」

「大丈夫。その気持ちで充分だよ。グレン君のお陰でやっていけてるんだから。本当にありがとうねぇ」

「何言ってんだよ、助かってんのは俺の方だっての。受け入れ先になってくれて、俺チョー助かってんだから!」





 ―――三人も。


 ―――新しい、柵の中の羊が。

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