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くッ…… どう考えてもジリ貧。 私と戦っているコイツの他にもう2体。
この私を相手に一斉に来ないのは遊んでいるからなのか?! 私はセイリュウよ、舐めれたものだ!!
自分をなんとか鼓舞するが私の心はだんだんとヒビが入り折れかけているのがわかる。
ほんの少し前に遡る……
先の戦いで私達はビャッコを失いながらもウィルミナーティの深部に辿り着いた。
「またこいつね、ポンコツはさっさと消えてちょうだい」
「うわぁー、よくあんな鋼鉄斬れるねセイリュウって」
「オムニ社製の法務執行ロボットだね、 プログラムに問題があるようで使い物にならないという代物だったはずだけど軍事転用が目的だしこういうところにはうってつけというわけか」
「まぁポンコツなのには変わりないわね」
私が敵を斬り伏せミロクに導かれるまま進んで行った。
「なかなか手強いのも居たけどセイリュウがあらかた倒してくれてすんなり来れたね」
「いよッ! 流石セイリュウ!! 今となっては虎の子的な存在だね、セイリュウだけど」
「うるさいスザク、あなたは本当に戦闘では役に立たないんだから。 だからゲンブ、何かあったらミロクをお願いね?」
「心得ている」
「合点承知!」
「スザクには言ってない」
如何にもな扉を斬り開くと中にはそこには円卓が置かれて各国の代表や裏の人物の壮々たる顔ぶれがあった。
「やぁ諸君、ビルダーバーグ会議中かい? 勢揃いで何よりだよ、次はどんな悪巧みをしてたかな? そして誰が殺されるかな? くくくッ」
「ミスターミロク、のこのこやって来るとは。 おめでたい連中だよ」
「まぁ僕としても無知は罪、何も知らず思考停止している人類などは滅んで当然とも思っているがその采配を振るうのは僕でいい。 君達は自分達がいつもしているような不慮の事故か謎の死で葬ってあげよう」
「ハハハッ、我々の骨抜き作戦によってバカしか居ない民衆の小国の裏の小物が偉そうに何を言う? そうそう、バカしか居ないのだから丁度いい、家畜化計画のモデル国になってもらうかい?」
ジニアス・ロックフェラー、現ロックフェラーの当主がミロクを小バカにしている様に言った。
「それと君達がそろそろここに来ると思って我々ももてなそうと思ってね」
今度はジョージ・A・ロスチャイルドが喋る。
「ミロク、不忠者が! 貴様は私の顔に泥を塗りおって」
「陛下、それに首相、あなたは我が国の象徴だというのにこのような腐った輩と謀をしているとはなんともお労しい限りです。 この場であなたを斬り伏せることこそ尽忠としておきます」
「勝手なことをペラペラと、貴様らは用済みだ」
「それはなんともこちらのセリフです、彼等とあなたが後々引き起こそうとしているアルマゲドンやニューワールドオーダーのことなど僕からしてみればどうとでも構いませんがあなた方はその後の世界には相応しくありません。 今まで何もかも世界を騙し続けて好きにやってきたでしょう、ですが所詮は悪魔崇拝者の成り崩れのあなた達です、ならば僕が神や悪魔に代わりましょう。 くくく、後の統一された世界の人類管理と新しい世界の行く末を担う役割は僕達にお任せして頂きたい。 では、セイリュウ」
「はいッ! 所詮は下賤な悪魔崇拝者、ミロクの前から消えろッ!!」
ミロクの掛け声で私は円卓のメンバー全員を雷獣で一瞬のうちに始末しようとした時だった。
何かが円卓の中心から飛び出て私の攻撃の妨害をした。
「さて各国の皆さん、特別席から私達の研究成果を是非とも拝見してもらいましょう。 この者はレジーナ・メトフィスです」
ジョージがそう言った時アメリカ陸軍の軍歌が流れ始め円卓が下がり円卓のメンバーがここから退避しようとしている。
「逃がすかッ!!」
まだ攻撃範囲内だ、そう思って再度攻撃を仕掛けようとするがそこにメトフィスが立ち塞がった。
う、動けない。
コイツから目を逸らしてしまえばこっちがやられる、そう思わせるほどに圧倒的な威圧感を感じていた。
「下手に動かない方がいいセイリュウ。 彼女は恐らくメイ、ウィルミナーティの技術の結晶だ。 やはりここに居たようだね」
「でもそれじゃ奴らに逃げられる」
「フフフッ、アッハハハハハハッ!!」
私達を見て急にメトフィスが笑い出した。
『レジーナも闘えることが嬉しいみたいだ』
スピーカーから声が聴こえる、大方どこからかここの様子をモニターしているんだろう。
『でも私を差し置いてレジーナとは大層ね』
『これはこれは女王陛下、大変失礼致しました。 以降はメトフィスとお呼びしますので。 行けメトフィス』
「イエッサー」
「ミロク、コイツからはビャッコ並みに危険な気がするわ。 私が時間を稼ぐから後退した方がいい。 …… ッえ?」
私がそう言った時か言った後か私の後ろから生温い液体を背中から浴びた。
「ゲンブ??」
見ればゲンブが崩れ落ちてメトフィスは飛び退いた後だった。
「い、一撃でゲンブを?!」
「わわわ…… セイリュウこれヤバいよ」
「わかってるわよ! だから後退してって言ったでしょ? ゲンブしっかりして、あなたならまだ大丈夫でしょう?」
「あ、ああ……」
私が気を抜いてた? バカなセイリュウ、これじゃあセイリュウの名折れよッ!!
「鎌鼬・烈覇奏尽!」
「フフッ」
メトフィスに技を仕掛けるが薄ら笑いで回避される。
「こ、こいつまたミロクを狙って」
私をすり抜けミロクの方を狙う。 だがゲンブが立ち塞がり今度は守りを堅める。
「ゲンブ! ミロクをッ!!」
「ッ!!」
「ひゃはッ!」
メトフィスの腕はゲンブのガードごと貫きゲンブの後ろに居たミロク寸前まで迫る。
「ゲンブッ!!」
ミロクが防壁を張り異物と見なしたメトフィスだけ弾かれる。
「なんだこれは?」
メトフィスは防壁をメッタ打ちにするが流石はミロクの防壁、ビクともしてない。 けどミロクが光のミロクの状態でいれてその防壁をいつまで張れるかは受ける攻撃の多過で変わってくる。
「それ以上ミロクに手を出すなぁッ!!」
「ふんッ」
私は再度仕掛けるがメトフィスは私を受け流してミロクばかりを狙う。
『まずは頭を潰す、いい仕上がりじゃないか』
『ええ、忠実に動かないと意味がないしな』
スピーカーから談笑混じりの声が聴こえて私の苛立ちと焦りを加速させる。
「雷獣ッ!!」
なんとかミロクから気を逸らそうと派手な動きでメトフィスを撹乱する。
「フフフッ、面白い技だね。 どうやって雷みたいなのを出してるの?」
「なッ?!」
余裕な顔で雷獣についてきていた。
「もっと速くなれるの? こっちはもっと速くなれるよ」
メトフィスはそう言うと雷獣よりも速く動き待ち構え迎撃されるが刀で受けた。
「その剣頑丈だね、あっちの大男の時よりも強く撃ち込んだのに」
「当たり前よ、ビャッコだって斬れる刀なんだから」
「ふぅん、よくわかんないけど後で遊んであげるよ」
「ちッ、また!」
私にはさして興味を示さずミロクに目を向けた。
「ミロク!!」
効かないとわかっていないのか予めこうすればいいと思っているのかメトフィスはミロクの防壁をまたメッタ打ちにし始める。
「セイリュウ……」
防壁越しからミロクが私に話し掛けた。
「ゲンブが死んだよ」
「えッ?!」
「嘘ッ! あの頑丈なゲンブが??」
ミロクはポタッと一粒涙を流した時私はキレていた。
「お、お前ぇぇぇえッ!! ミロクをッ、ミロクを泣かせたなぁッ!!」
無限神刀流の技をいくつも放ち多少は当たった。 が、メトフィスが身に付けている籠手のようなもので防がれる。
「私の技で斬れない?!」
「なんだかさっきより速くなったねぇ、でも残念。 全然効かないよ」
ニヤリと笑うメトフィスを見て私は刀を握る手から血が出ていた。
「ミ、ミロク〜! セイリュウが持ち堪えているうちに」
「スザク…… ちょっといいかい?」
ミロクには早く逃げてほしいけれどスザクと何か話していてスザクが驚いているのが見えた。
「面白くなってきたけど命令はあっち」
メトフィスはミロクを見た、その時ミロクは防壁を解いた。
「ミロク?」
「少々キツくなってきた、ごめんセイリュウ」
「どうして謝るの? ねぇミロク!」
「セイリュウ、無理を言って悪いがもう少しだけ頑張っててくれないか? 君は強い」
「当たり前よ! ミロクのことは私が絶対守るから!!」
「うん、だから謝ったんだ。 僕は一旦死ぬことになるけどなんとかするからさ」
ミロクは銃を取り出して自分の頭に向けた。
「だ、だめミロク!!」
「スザク」
「うわぁーん! 人に死を委ねるのもめっちゃ怖い!!」
スザクはメトフィスに向かっていくがメトフィスは溜め息を吐いて向かってくるスザクの首と胴を切断した。
「ス…… ザク?」
私は目の前に転げ落ちたスザクの首を見た。 スザクがこんなにあっさり?? いつも死ぬ死ぬとか言ってて結局死ぬことはなかったスザクが……
ダメだ、今はミロク!!
「いやぁ久し振りだよ。 こんなに怒りが沸いたのは僕に伝わるといいな」
その瞬間ミロクは頭を撃ち抜きその次にメトフィスがトドメと言わんばかりにミロクの頭を掴んで握り潰した。
動けなかった…… ミロクが自分で自分を殺したのがショック過ぎて。
ビャッコが、せめてビャッコが居ればこんなことにはならなかったのかな?
ガクリと膝が崩れ落ちて持っていた刀すら手から離れた。
「戦意喪失?」
『終わりはあっけないものだったなぁ』
『もう少し抵抗してもらわないと。 メトフィスの性能テストも兼ねてるのだから』
雑音が飛び交う中、私はミロクを失った喪失感から頭が真っ白になっていた。 だけど……
もう少し頑張ってくれと、なんとかするとミロクは言った。
ミロクは意味のないことは言わない。 ミロクは何かしようとしているんだ! 死んだと見せ掛けて…… きっとそうだ、私はミロクを信じてる。
そう思うとまだ私には闘う力が残っていた。 つまらなそうに私にもトドメを刺そうとするメトフィスの攻撃を当たる直前で回避出来た。
「おや? 諦めたんじゃなかったの?」
「生憎諦めが悪いのよ」
私が刀を構えると……
『メトフィス、君はもういい。 しばらく休んでおきたまえ』
「何か不備でも?」
『いや君は目的を果たした素晴らしい。 だがね、君の性能はわかった。 後につかえている者も性能チェックをしておきたくてね、実力差は明らかだがこれほどの相手には滅多にお目にかかれないだろうし』
「はい、わかりました」
メトフィスはこちらに手を振り奥の方から椅子が出て来たのでそこに座った。
すると部屋の隅の壁が開いてそこからこの世のありとあらゆる動物を出した様な化け物が出て来た。
『紹介しようレザレクションだ』
そうして反対側の壁が開いた。
『こちらはエグザス』
まるでそれはビャッコを思わせる外見、だが赤い体毛に包まれていたそれはビャッコより大きい。
「グガアアアアッ!!」
『レザレクションがやる気のようだ』
『行け』
その言葉とともにレザレクションは私に襲い掛かってきた。
「棺棺陀羅!!」
棺棺陀羅でレザレクションという化け物の手足を切断した。
こいつは斬れる!! メトフィスの方が強い、けどこいつなら!
そう思ったが瞬時に再生した。
「何?!」
『レザレクションというだけあるだろう?』
このレザレクションという化け物をいくら斬ったろう? 技に疲労が現れてきた。
そしてミロク…… 何が歴代最強のセイリュウだ、何が四神よ、ミロクひとり守れてない。
ビャッコだったら私なんかより私なんかより……
「あッ」
二刀持っていた刀のひとつを弾かれた。
『終わりかね』
「咲姫ッ!! 何をしているッ!! それでもセイリュウか?!」
突如後ろから聞いた事のある声が聴こえて戦闘中にも関わらず私はそっちに目をやってしまった。
「バカ者!! 何があっても相手に集中しろ!」
「父様?」
「まったく。 成長した娘に言うことがそれなのかしら? よく頑張ったわね咲姫」
今度は前から女の人の声が聴こえた。
まさか…… まさか。
「母様…… ?」
レザレクションが斬り裂かれ一瞬の隙が出来たところで私は抱えられて後ろに下がらされた。
「やぁセイリュウ、母様に似て美人だね」
「ミロクッ!!」




