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「まさかこの料理に毒なんて入ってるとか古典的なパターンはないわ、食べても大丈夫よ」
「ああ」
「そうですね」
俺達は料理に箸を付けて食べ始めると……
「うぐッ!! ぐあああああッ!!」
何故かヨウゲンの分もあってその料理に口を付けたヨウゲンが苦しみ出した。
「ど、どうしたんですか?!」
梢がガタッと席を立って倒れて苦しんでいるヨウゲンのもとへ向かった。
「大丈夫ですか?! しっかりして下さい!!」
「あははははッ、なんちゃってなんちゃってぇ〜!!」
梢とヨウゲンのそんな様子を見てスザクが大笑いしている。
「なんと悪趣味な」
四神のセイリュウが溜め息を吐く。
「あれには何の意味があるのだ?」
ビャッコはまったくもって意味がわかってない。
「ただのスザクの戯れだよ」
そうだろうな、少し考えたらわかることだ。
「え? ドッキリ…… ですか?」
「良いリアクションだったよ梢ちゃん!」
「まったくくだらん。 こんな茶番を見せたかったのかミロク?」
「小僧、我々との協定を結んだからと言って少々気が大きくなってないか?」
セイリュウが俺を威嚇する。
「はッ! 気が大きくなるだと? 最初からこんなんだぜ俺は? そっちこそ俺達と協力したいって言うなら発言には気を付けるんだな、事と次第によっちゃここでお前らを皆殺しにしてやろう、死にたい奴からかかってこい」
「ほぉ、我々を貴様に? 出来るのかね?」
「出来ないと思うか? ならミロク、ビャッコをけしかけてくればいい。 俺が跡形もなくこの場で消滅させてやる、それにこれはクソッタレが血迷った提案をして俺達をここに呼び寄せたんだ。 罠じゃないって確証がどこにある?」
ビャッコは俺の言葉に何故だか興味を示したようで視線が合う。
「ハル!」
しまった、ミロクの澄ました顔を見ていたら憎悪が溢れ出てきてしまった。
「オホン! それはさておきここに私達を呼び寄せたのには何か理由があるのでしょう? さっさと本題に入らないと平行線を辿るわ、じゃないとハルが言ったことが現実になるわよ? 私達を舐めないことね、脅しでもなんでもない。 勝てないような相手のところへ私達が来ると思う?」
「ということは勝てるのかい?」
「ええ、勿論よ。 今はもう誰であろうと。 そういう相手と話しているということをお忘れなく」
ルノがミロクに向かって言うが結局俺と似たようなこと言っただけじゃないか。
「くくくッ、自信満々だね? これから君達と組みたいと思っているのだからそこら辺には留意し余計な被害を出すのはお互いよそう、まぁクソッタレの僕の話でも良ければ聞いてくれ。 それとヨウゲン、もういいからご苦労様」
ヨウゲンが部屋から出ていくとミロクが話し始めた、ミロクから話された内容は驚くべき事だった。
「そんなッ、まさかそんなことが出来るわけ……」
「出来るわけないと思うかい? 四神の力を見た君達でもか?」
確かに四神の連中は人間とは思えない能力を持っている。 戦闘面で見ればビャッコやセイリュウなどの力にだけ目が行きがちだがゲンブの並外れた銃器も倒さぬ頑丈な肉体、そして一番謎なのはスザクだ、まるでワープでもしているかのような空間移動、説明がつかない。
「だろう? だからこそ戻れるのさ、君達の元いた世界にも。 その鍵を握るのがスザクとそこの梢だ」
「わ、私?!」
「そうだ、君は会ってるのだろう? この世ならざぬ者と」
そう言われると梢は俯いた。 かつてギンピーギンピー襲撃の後、梢は自分の力のことを話してくれたがそれは昔の話だ、今も何か繋がりがあるとは思えないが。
「あの…… ご期待に添えなくて大変申し訳ないですけれど私には何の力もありません」
「それは忘れてるだけさ、君にはいつでも不思議な世界に足を踏み入れることが出来るんだよ? ジーナと山で話したように」
「ジーナ…… ?」
「そうジーナだよ梢ちゃん。 梢ちゃんの頭の中の意識の深層にはしっかりとジーナと会った記憶が封印されているはずだよ」
スザクが梢の元へ行き額に手をかざした。
「う…… あ、ああッ」
「梢ッ!!」
「静かに。 梢は大丈夫さ、スザクが今梢の意識の中の記憶を探ってるのさ」
スザクが手を引くと梢がフラッと倒れそうになるのをスザクは受け止めた。
「ああッ、ジーナ…… 私はジーナと会った、あの時……」
「思い出した? 私も梢ちゃんを見てたからわかるんだよ」
「スザクさんが?」
「そう、私の鷹の目鷲の目スザクの目で鳥を媒介にしてあの時見てたの」
ますます何者なんだこのスザクという女は?
「ジーナを呼んでごらん梢、今の君の呼び掛けになら来てくれるかもしれないよ」
「で、でも……」
「大丈夫だよ梢ちゃん。 キリコにも会えるかもしれないよ」
「キリコにも…… そっか、私なんで今まで思い出せなかったんだろう? 今思えばあの時の山でだって迷わないように矢印を書いてくれたのもジーナだったのかも。 うん、ジーナだ……」
「呼んでみなよ梢ちゃん」
そう言われると梢は息を大きく吸った。
「ジーーーナーーーッ!!」
梢が叫ぶと梢の周囲の空間が歪んだ。
「ジーナ! 会いたかったよ、え? ご、ごめん! でもなんだかジーナのこととかキリコのこともバレてるし良いのかなって思ったから。 はッ、そうか! ジーナはともかくキリコは引っ掛けかぁ。 ごめーん!」
梢は何かその歪みに話し掛けているようだけど俺にはまったく見えない、スザクは何か見えているようだが他の奴らはやはり見えてないみたいでそんな梢を怪訝な目で見ている。
「梢、もういいかい?」
「へ? あッ…… もしかしてジーナ見えてない? そうなの? だったらここまできたら見えるようにしちゃえばいいんじゃない」
梢がそう言うとその歪み周辺に凄まじい旋風が巻き起こり豪華なテーブルに並べられていた料理が吹っ飛んだ。
「やあ、下等な人間共」
現れたのは人間の子供の姿をした男の子だった。
「やあ、こんにちは。 お目にかかれて光栄だよジーナとやら」
「それでなんだい? 梢をダシに僕を呼び出して。 僕は忙しいんだけど」
「ジーナ、いきなり失礼だよそんな挨拶」
「あのねぇ梢、もとあと言えば君がネタバレしたようなもんじゃないか。 それにしても……」
ジーナという男はスザクを見た。
「僕としたことがしてやられたよ、流石下等な人間とはいえ重力を操る者。 君はどこまで見えてる?」
「アハッ、お褒めに預かり光栄ですこと。 そうだなぁ、ジーナの周囲に迸る私とは桁違いのオーラが見えるよ。 多分私と似た様な力を持ってるけど天と地の差」
「ふむ、まぁ御明察」
「こ、こやつ只者ではない」
「ミロクよ、こいつが我を倒せる存在か?」
「人ならざる者よ」
ビャッコにジーナが話し掛ける。
「思い上がるなよ? このちっぽけな世界の中でたかだか化け物風情が僕に敵うと思うか?」
ジーナがそう言った瞬間ビャッコはジーナに襲い掛かる。
「ひえッ、ジーナ!」
「ふん」
ビャッコの拳がジーナに当たる瞬間ビャッコは勢いよく弾かれ壁に激突する。
「言ったろう化け物、お前がどれだけ強くても僕はお前とは住んでる次元が違う。 こうして格を落としてやってようやく姿が見えるお前になど僕には一生勝てない。 いや、そもそも勝つ負けるなどということさえおこがましい、僕が何をしたかも認識出来ていないだろう、それが次元の違いだクズめ」
その時壁が勢いよく吹き飛びビャッコが姿を現した。
「もういいのかいビャッコ?」
「ああ、奴の強さはわかった。 が、そもそも我の望む様な闘争を受ける者ではないこともな」
「そうかい、ならやはりウィルミナーティしかないね」
「信じられぬ、こやつをここまで……」
「セイリュウ、どう足掻いても何を持ってしても敵わない者とは居るものだ。 だが彼はそこまで我々の世界に干渉するつもりはないみたいだ」
「ふふん、大体わかってるじゃないか」
俺達もセイリュウと同じく驚愕していた。 あのビャッコをなんの予備動作もなく涼しげな顔で吹き飛ばし尚且つビャッコの戦う意志をも挫いた。
「ハル、これは一体どういうことなのかしら?」
「わからない、わからないが梢は確かにあいつの言う通り得体の知れない何かと繋がっていた」
「思えばあの山の中で梢様の気配が急に消えたのもあれの仕業だとしたら合点がつきます」
それとあからさまに俺達を見下す様な態度を取っているジーナだが梢とだけは親しげに喋っている。
梢は自分には何も出来ないとよく言ってはいたが俺達とは根本的に何か違っている。 それは梢自身の性根というか人柄が成せることなんだろうが。
「せっかく出て来てやったのになんだよこの散らかり様は?」
「それはジーナが吹き飛ばしちゃったんだよ、せっかくこんなに美味しそうなもの作ってくれたのに勿体ないよ、作った人が見たら泣くよ?」
「新しいのを持って来させよう、そもそもこれは君達含め彼の分もと用意したものだからね。 食べられるかはわからないが」
「君達は僕に触れることさえ出来ないけどこっちからは出来るんでね」
「それは良かった」
新しい料理が出てくるとジーナは何気に美味しそうに料理を食べていた。




