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「うぐッ、うああ……」



カズハにこっぴどくやられあわや死んだかと思われたキリオはなんとか生きていたが重症で呻き声をあげていた。



「どうしたものかしらねぇ」

「生きてるなら何かしら情報を吐き出させたいがこれじゃいつになるか。 モタモタしているとセイリュウまで来そうだからな」

「確かに、お嫁さんだものね。 彼女は本調子じゃないにしては良くやったけど例え本調子でもカズハちゃんには勝つのは無理だとわかってたはすだけど」

「そうだな、カズハに勝ちたきゃ刀じゃなくスタングレードでも忍ばせてるか油かローションかオイルでも周囲にばら撒いとくべきだったな」

「流石にカズハちゃんも同じ轍は踏まないでしょう。 うーん、でもカズハちゃんだしなぁ」



それにしてもここまで痛め付けるとあいつらもそれなりに報復してくるかもしれない、何か考えないとな。



しかも戻って来ないとなると明日か明後日、何かしらヤタガラスからアクションを起こしそうだ。




「こいつはカズハのあの攻撃でも死ななかった、思えば前のセイリュウもビャッコの攻撃を受けてもそれなりに動けていた。 だとするとこれで死ぬということはないだろう」

「そうね、それにしてもロックフェラーとかロスチャイルドとか言ってたけどそんな相手とこんな小国の、いくらビャッコが強いからと言って対抗出来るのかしら?」

「だから前に死んだんだろうあいつは」







◇◇◇







「ちッ、こんな時に」

「でもご依頼主は事務次官よ、行くしかないわ」

「済まない梢、俺とルノは行く。 メイが居るから大丈夫だとは思うが」

「例え半身が千切れても梢様はお守りしますので」

「メイちゃんその例え怖いよ」

「まぁカズハも居るが頼んだぞ? すぐに片付けてくる」




ハル君とルナさんは急な仕事が入って行ってしまった。



本部のビルはカズハちゃんが壊してしまったので今は他のビルに移っていた。 セキュリティは万全みたいだけどさっき襲ってきた女の人レベルだと無意味らしいけど……



「梢様心配いりません」



私のことを察してメイちゃんがニコッと笑う。



「そうだね! でもここあんまり使ってないだけあってちょっと散らかってるし埃っぽいからハル君達が帰って来るまでに綺麗にしておこっと!」

「私も及ばずながらお手伝いします」




そんなこんなで私はハル君達が使っているフロアを掃除していた。



「相変わらず広いなぁ。 そうだ! メイちゃんとカズハちゃんにも普段のお礼にコーヒーでも淹れて持ってってあげようかな」



私はそう思って給湯室に行きコーヒーを淹れようとしていると近くで寝息が聴こえた。



「んむにゅむにゃ…… ちょべりぐ」

「へ? カズハちゃんなんでこんなところで寝てるの?」



起きない。 そして給湯室の奥の扉から突然呻き声が聴こえて私はビクッとした。



え? オバケ??



私はゴクリと息を呑んでそっとその扉を開けると……



「ひいッ!!!」



ガシッと傷だらけの白い腕に足を掴まれた。 



「み、水……」

「うえええッ!? 人間??」



よく見れば大怪我をした和服を着た女の人だった。



「は、はい! 今持ってきますね! というよりなんでこんなところに?! カズハちゃーん!!」

「カズハちゃんは今お疲れ〜」



カズハちゃん自身から返事が返ってきたのにまた眠ってしまったみたい……



なんで?!!



「と、とりあえず待ってて下さい」



私は掴まれている手を解いてコップに水を入れて女の人の元へ行き飲ませた。



「大丈夫ですか?」

「ううッ……」

「ご、ごめんなさい、大丈夫じゃないですよね? どうしてこんなところに。 もう」

「梢様」

「ほわッ!!」



気付けば背後にメイちゃんが立っていた。



「その者は先程の賊です、あまりお関わりになるのは良くないかと」

「メイちゃん、けどこの人凄く苦しそう。 病院とかに連れて行かなきゃ」

「それはハル様達から受けたわまっておりません、ですからハル様達がお戻りする迄はここに置いておくのが妥当でしょう」

「ダメだよ、死んじゃったらどうするの?!」

「そう簡単に死ぬようならとっくにハル様達が病院に連れて行きます、そうでないからここに置いているのです」

「でもそれじゃあ…… だったらせめて最低限の治療でも! お願いメイちゃん」



そう言うと根負けしたかのようにメイちゃんは「わかりました」と言った。



「うあッ」

「ごめんなさい、痛みますか? 痛みますよね?」

「あ、貴女は?」

「雪乃梢といいます。 あのこんなことくらいしか出来ませんが……」

「そう、梢さん。 それで…… 貴女がメイね?」

「そうですが?」



その女の人はメイちゃんをギロリと睨むがメイちゃんはまったく意に介さない。



「勝てないわね私では」

「はい」

「メ、メイちゃんってば」



それよりこの人どこかで…… そうだ! 前の世界でハル君達と戦ってた。



「確かセイリュウさん?」

「え?」



その人は私をキョトンとした顔で見た。 



「私はセイリュウではないわ。 私は不知火キリオ。 今のセイリュウの妻よ、けどそのうち私の娘はセイリュウになるわ」

「あ、ああ!」



この人はセイリュウさんのお母さんなんだ、傷だらけだけど綺麗な人だってわかる。 お母さんそっくりなんだなぁセイリュウさんって。



「ミロク様が仰っていたのを聞きましたが貴女は私の娘と会ったのですね? どうでした? ちゃんと娘はセイリュウの役目を果たしていましたか?」



どうと聞かれても…… ハル君達と戦っていたことくらいしか。 でも頑張っていたのは私からでも感じたし。



「ええと、娘さんはとてもお母さんに似て美人で頑張っていました!」

「そう」



それを聞くと不知火さんはとても嬉しそうで穏やかな表情を見せた。



「あの…… 梢様は何を?」

「え? あ、ううん! 不知火さんの娘さんは将来綺麗になるんだろうなぁって」



メイちゃんはちんぷんかんぷんな顔をしている。



「私は私の娘、咲姫が貴女の歳になるまでは生きられないけどちゃんと咲姫も大人になってミロク様の力になっているのね」

「不知火さん? 生きられないって?」

「梢様、この人は病気です」

「え?」

「恐らくあまり長く生きられないでしょう」



「わかるの?」とメイちゃんに聞くと「なんとなく」と答えた。



驚いて不知火さんを見るとコクンと頷いた。



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