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「ふん」



やっぱりやるな父さんは。 俺はルノ達とは離れて戦うことにした。



父さんの力は知っている、俺にはまったく継承しなかったが父さんの力は主に眼だ。



異常なほどの動体視力と元から高いフィジカル、俺は後天的に組織で打たれた薬で今の力があるが父さんはどれも最初から持っていた。



純粋に強い正に戦士だ。



「貴様もなかなか素早く動けるのだな」

「ああ、あんたもな」



俺は銃を放つが父さんは涼しい顔で回避する。 引き金を引く指と弾道予測を完全に読まれているからだ。



父さんが集中すれば周りがスローモーションのように見えているだろう、そしてそんな中でも通常と同じ様に動ける身体。



俺も身体強化で全身の強化は出来る、眼に力を集中させれば父さんほどとはいかなくてもそれに近い世界は見える、だがそれをすれば他がおざなりになってしまう。



だから一歩及ばない、一手遅れると二手三手と相手に先を越される。



俺が勝っているところはなんだ? ルノから貰ったファングブレイカー、それと今使っているルノの改造銃? だがことごとく当たらない。



「そんなものに当たらんよ小僧」

「ぐッ」



近付いた父さんに拳を放つが逆に懐に入り込まれ掌底で吹っ飛ばされる。 体勢を立て直し父さんの後ろに回り込むが……



「ぐッ!」



父さんは振り返りもせず腕だけ後ろに回して銃を撃つと俺の脚を掠める。 俺は袖からワイヤーを射出してその腕に絡めた。



いける!



銃を持っている方の腕の自由を奪って俺は追撃を加えようとしたが……



「がはッ!」

「当たらんと言ったろう?」



俺の動きは完璧に見切られていた。



「ぐッ…… 全部見えているのか?」

「ああ、貴様の動きは俺の眼によって全て見切られているぞ。 貴様がどこから仕掛けるのかも残像となって俺に示す」



マジかよ、ほんの數瞬未来が見えてるってことだぞそれ。 流石父さんもあのビャッコを相手に出来たってわけだ。



「いくら俺に攻撃しようとも俺には通じない。 諦めるんだな、そうすればこれ以上苦しめずに葬ってやろう」



…… 諦めるかよ、ここで何も出来ずにやられたりでもしたら梢との約束だって守れない。



「悪いな、往生際が悪いんだ」

「そうか、そいつは残念だ」



俺はフェイントを織り混ぜ父さんに仕掛ける。



「今更そんなもの効果があると思うか?」



だがそれでもそんな攻撃を繰り返す、繰り返すうちに致命傷は免れているものの俺の身体は身体強化も相まって着々とダメージを貯めていた。



そして遂にまともな動きも出来なくなってきた頃俺の肩に銃弾がめり込んだ。



「無駄だったな、返って体力の消耗を招いただけだ」

「それでもだ!」



俺は死路に向かって父さんに向かった。



父さん…… 撃つ、撃たれる! …… 俺はそれでも父さんを撃ちたくない!!



「バカめッ! 同じことを」

「父さんッ!!」

「何?!」



ルノのファングブレイカーで頭に向かってきた銃弾を弾き父さんの鳩尾に渾身の一撃を入れた。



狼狽えたところにまともに入った、そして父さんを押さえ付けて銃を向けた。



「ぐッはッ…… なんだ…… と?!」

「ルノが作ったファングブレイカーはただの銃弾なんて通さない」

「お、お前が無駄なフェイントばかり繰り返したのは敢えて死路に飛び込む為か?」

「ああ、あんたの眼は俺の動きがいくつかのルートに見えていたはずだ、そしてそのルートから攻撃を加えられる危険値の高いルートを選び出して攻撃していた、違うか?」

「くくッ、当たらずとも遠からずだ、いい線をいってる。 銃弾を通さない手甲で一切防御しなかったのも当たればダメージを受けるということを私に印象付けるためだったんだな」

「ああ、セイリュウからの戦いでまだ誰も手甲を防御に使ってなかったからな」

「そうか…… ならば俺に向かって言ったあの一言は俺を狼狽えさせる為か? 闘いの中なんの意味もなく意図もわからない言葉だったが子供が出来ていた俺には効いたよ」

「違う…… 意味もなく言ったんじゃない。 あんたが似てたんだ俺の死んだ父さんに。 死ぬかと思った、だから言ってしまったのかもしれない」

「ふふ…… 俺の負けだ」



それも違う…… あの場面いくら死路を選んだからと言って父さんの眼なら対処出来た、ファングブレイカーだって銃弾を弾くくらい長年仕事を続けていた父さんには予想がついたはずだ。



なのにわざわざ敢えて弾かれるように撃った気さえした。



「俺こそ腑に落ちない、あんたはなんで最後手を抜いた?」

「…… 手を抜いたわけじゃない、父さんと言われた時俺はお前にあいつの、妻の面影を見た。 自分の息子じゃないとわかってはいたんだが戸惑った。 そんな油断をした俺の落ち度だ、だから俺の負けだ」

「父さん……」

「はははッ、もう勝負はついたんだ、俺を油断させる意味はないぞ。 さぁ、トドメを刺せ」

「いや、これで終わりだ」

「何?」



俺は父さんから離れ銃を戻した。 父さんは立ち上がりこちらをジロッと睨むと銃を抜いた。



「ハルと言ったか? 見所はあると思ったがお前の判断は間違ってる」

「ああ、昔何度かそんなこと言われたことある」

「ちッ…… もう行け。 俺は疲れた、これ以上戦闘に参加できそうにないんでここで伸びてる」



父さん……



「行けよ、俺なんかが居なくてもミロク様はやられたりなんかしねぇだろうからな」

「ありがとう」



急いでルノ達のところへ向かった。 勝負はルノの優勢のようだ。 ビャッコは膝をついて息も絶え絶えだ。



「ハル! 無事だったのね」

「ああ、お前はまた俺のこと気にして…… カズハのこと言えないぞ?」

「そうね、でもあなたがそんな風に戻ってきたのならそういうことね」



ニコッと俺に微笑み掛けると隙を見たビャッコがルノに向かって攻撃を放つ。



「ほら言ったそばから」

「見えてたから大丈夫だったのに」



ルノを抱えてビャッコの攻撃を躱した。



「それにしてもこいつは本当に四神のひとりか? セイリュウとは大分格落ちするな」

「そうね、セイリュウの方が何倍も強かったわ」

「へへへッ、もうお仲間が戻ってきちまったか。 使えねぇ野郎だぜクザンは! 男の相手は興味ねぇんだが仕方ねぇ、コブ付きが来たんなら俺ももう容赦しねぇ!!」



なんだ? ビャッコの身体から赤い湯気のようなものが出てきた。



「さっき俺が四神のひとりかなんて言ってたよなぁ!? だったら見せてやろうじゃねぇか!!」





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