短編ver. マタタビから始まる猫カフェ物語
「店長!ただいま戻りやした!!」
「おぉ、帰ったか。初の出前はどうだった?」
「滞りなく!」
とあるラーメン屋に威勢よく帰ってきた見習い店員のケモ耳少女は誇らしげに言った。
出迎えた店長はうんうんとうなずいて。
「で、代金もしっかりもらってきたんだろうな?」
「…あ」
その言葉にケモ耳少女は固まった。
その瞬間、店長の顔は鬼になりかけた。
「て、店長!これには訳がありましてな!」
ヤバいと悟ったケモ耳少女は慌てて弁明をする。ここで店長を怒らせてはいけない。
「実は…」
「実は?」
「行く途中に大量のマタタビを見つけてしまい、その…マタタビで頭がいっぱいになってしまって」
ケモ耳少女の必死の弁明とポケットからあふれんばかりのマタタビを見て店長は。
「ふむ…。マタタビなら仕方ないな!今回は不問にしてやろう」
「さすが店長!ありがとうございます。あ、これ店長の分のマタタビです」
「いや、俺は要らんが…。まぁ受け取っておこうじゃないか」
ケモ耳少女が差し出したマタタビを受け取った店長は「うっ…!」と突然呻き、次の瞬間には見事な猫耳が生えていた。
「な、なんだこれは!?」
「店長がネコ化した!?」
沈黙すること一瞬。
「これは…マタタビの力か! この状態ではラーメン作りができないぞ!?」
「店長、それは、つまり…この店を猫カフェにするということですな!」
「しかたねぇな、そうするか。マタタビはまだあるんだろうな?」
「もちのろんですぜ」
そう言ってケモ耳少女は持っていたマタタビを床一面にばらまいた。
「これだけあれば十分だな。さっそく店内の改装からだ、やるぞ!」
「へい、店長!!」
こうしてラーメン屋は一風変わった猫カフェへと変貌して、ラーメン屋だったころ以上にもうけたとか。
めでたしめでたし。
ケモ耳は正義。