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第0話 プロローグ


「はあああああ!!」

俺は愛刀であるこの大剣を大きく振りかぶった。大剣技「十字斬」の構え。初撃の縦斬りはかわされる。だがそんなことは想定済みだ。 初撃をかわすためバックステップをしたときに敵の両足が地面から離れる。地面に足が着くまでのほんの一瞬を狙う。

空中なら攻撃はかわせない。俺は二撃目の横薙ぎ払いに賭けた。

が、敵は空中で体勢を反り二撃目をかわす。俺の剣は敵の胸元の服をかすめただけで、ぶんっと音をたてて空気を斬る。

敵は地面に足がついたと同時にこちらに向かって突進してくる。 技を撃った後の前傾姿勢のままの俺は成すすべなく膝を、続いて左腕、胸、右腕の順に斬られる。敵は膝を落とした俺に容赦なく追撃を浴びせる。

細い体に似合う短剣と似合わない腕力で俺を何度も斬りつける。もう斬られた回数はおろかどこを斬られているかさえわからない。そして俺は地面に倒れた。

「惜しかったねぇお兄さん。二撃目が飛んできたときはさすがにビビったよぉ。でもそれじゃ当たらないよぉ。」

倒れた俺の背中を踏みつけ、人を馬鹿にしたような態度で話す。敵は俺よりも年下に見えるが彼女にとって弱い俺の方が下に見られているのだろう。

「降参してもいいよぉ。お兄さんみたいな優秀な人を殺すのは勿体ないからねぇ。」

全身いたる所にある傷口から血が流れ出ているのが自分でもわかる。呼吸をするたび、俺を踏んでいる足に力がこもるたびに激痛が全身を這いずりまわり血が噴き出す。

「早く降参して治癒してもらわないと本当に死んじゃうよぉ。」

視界が霞んでいく、もう指一本動かせそうにない。目の前が白く染まる。白くなった世界で一人の女の子が話しかけてくる。


          がんばって


よく知っている顔だ。俺の幼馴染であり恋人でもある人だ。俺がこの場所にいる理由をくれた人。

そう俺はこいつのために王選に立候補し今ここで戦っているのだ。負けるわけにはいかない。死ねない。降参なんてありえない。視界が元の景色に戻っていく。体に力が入る。

「おおおおおおおおお」

俺は獣のような声で叫び、激痛に耐えながら立ち上がる。彼女の笑顔が脳裏に浮かぶたびに痛みが和らいでいくような気がした。俺に負けは許されない。あいつを助けるために。

あいつのために――――――

初めての作品なのでアドバイスや感想を頂けるとありがたいです!

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