表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最近の若者  作者: 季糸
1/1

新しい靴を履いて

気がついたら、そこに立っていた。ただじっと、見つめていた。線路を、見つめていた。何回目かのドアの開閉音を聞いて、自分が今、しにたいと思っていたことに気づいた。いや、わからない。本当に死にたかったのか。けれど少なくとも、生きたいとは思っていなかった。その日は、新しい靴を履いていた。


あれは小5のときだったか。自分が書いた感想文が、代表として貼りだされた。道徳の時間に、何十年も昔の戦争の話を読まされた。人の命は儚く、脆く、美しく、大切だといった内容だったと思う。周りはみんな、人の命は尊くて大切なもので、戦争は二度としてはいけないといった内容を書いていたので、私も真似をした。死んだ人はかわいそうだと思ったし、戦争はしてはいけないとも思った。けれど、命の大切さというものが、いまいち分からなかった。


それから買っていた猫のちょこが死んだ時も、父方の祖父が亡くなった時も、私はどこか冷めていた。病気という、死んでいく過程が見られたから、怖くなかったのかもしれない。幸いにも今のところ、身内や親しい人が突然死したこともない。 本の中でもドラマの中でも、人は驚くくらいあっけなく死んで行く。なんとなく時代が進むにつれ、死というものが軽く捉えられているような気がする、そんな社会だから、私のような若者が出来上がってしまうのだ。きっと。


苗字が同じ彼女と出会ったのは、高校の入学式だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ