表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
めいあいへるぷゆー?  作者: 灰原康弘
1/20

プロローグ

 学校の教室にて、俺……鳳橋悠(おおとりばし ゆう)は、クラスメイトの高埜葵(たかの あおい)を待っていた。


 告白を、するために。


 高埜に出会ったのは、俺が中学三年生の時だった。その時の俺は、とある事情からふさぎこんでいた。自分の部屋に引きこもって、なにをするでもなく、ずっと寝て起きてを繰り返す毎日……。

 でも、彼女に出会ったとき、それまで心の中にあった蟠りが、すべてどこかへ吹き飛んだ。不安とか怖さとか、そういうものもきれいに消えて、モノクロだった世界が色づいて見えた。


 あれから、俺は頑張ったと思う。

 最初は話をするだけでうれしかった。でも、すぐにそれだけじゃ満足できなくなった。高埜とは中学が違ったから、放課後や、ときには休みの日に一緒に出かけた。すこしでも、仲よくなりたかった。彼女と一緒にいたかった。

 おなじ高校に進学して、クラスメイトになれた時は本当にうれしかった。それから、まえよりは話せるようになった。やっぱり、おなじクラスになれたのは大きかったと思う。

 放課後の教室で、告白のためにクラスメイトを待つ……思ったほど緊張はしていなかった。

 多分、覚悟を決めてきたからだろうと思う。もし望まない結果に終わっても、きっと悔いはない。俺は、どうしても高埜に伝えたいことがある。


 俺は、今日、高埜に告白する。

 教室に足音が近づいてくる。彼女が来たんだ、と思った。

 ガラリ、と扉が開く。

「鳳橋くん……」

 ゆっくりと、俺に近づいてくる。

 腰まで伸びたつややかな黒髪。それほど身長は高くないが、小顔であるが故の八頭身。アーモンド形の大きな瞳に、まつ毛はけぶるみたいに長い。肌が白いために、ピンク色の唇が目立つ。


「高埜、話があるんだ」

「うん」

 ぽつりと言う。ちょっとうつむいているが、頬が朱に染まっているのが分かる。たぶん、夕日のせいだけじゃないだろうと思った。

「あの、話って……」

 うつむいたまま、彼女は言う。ここで挫けるわけにはいかない。俺は意を決して言った。

「高埜。好きだ。俺と付き合ってくれ」

 俺は、告白した。




 パソコンの画面の向こうにいる、彼女に向って。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ