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ペルー村再び2

イトたちは魔法障壁装置を馬車に載せた後、

しばらくペルー村を見学することにした。

イトたちは村長にペルー村を案内してもらう。


村長

「ご覧の通り家はほとんど魔物たちによって破壊されてしまいました………」

「そのため現在住民は皆村の外れにある別居に住んでおります」


イト

「今ここにも結界は張ってるのですか?」


村長

「いえ………現在ここは結界を張っておりません」

「皆が住まう地区のみ結界を張っております」


サカ

「結界師は今何人います?」


サーべ

「私を含め3名おります」


サカ

「3人だけ!?」

「それだけの人数で結界を維持できるのですか?」


サーべ

「現状はかなり厳しい状態です………」

「本来魔法障壁装置によって我々の結界の仕事は不要でしたから結界を貼れるものも少なかったのです」

「元々13人おりましたが、死傷者が多く現在は3名で何とか維持しております」


イト

「それはかなり厳しいな………元々13人分の仕事を3人で回しているのか………」


村長

「各地方から応援を要請しているのですが、なかなか人が集まらないのです」

「どこも結界師が不足しているようで………このままではこの村が………」


サカ

「ご安心ください村長」

「必ず強力な魔法障壁装置をお届けに参ります」


村長

「………ありがとうございます」

「我々も協力できることがあれば是非申し付けください」


サカ

「できれば村の方々の中に魔法障壁装置について詳しい方がいらっしゃれば………」


村長

「残念ながら今村では詳しい人間はございません」

「今頃ガゼルさんが生きていれば………魔法障壁装置が使えたのに………」


サカ

「ガゼル………もともと魔法研究所の所長だった男」


イト

「魔法研究所の所長だったのか………!?」


サカ

「なんだ知らなかったのか」

「ガゼルは魔法研究所で魔法防御について研究をしていた学者だ」

「あまり研究成果を出せずに出ていったようだが………」


イト

「学者だったのか………どうりでこのような機械をつくれるわけだ………これは素人ではつくれないとは思っていたが、まさか魔法研究所の所長とはな………」


サカ

「ガゼルは当初魔法防御に関する研究をしていが、あまり評価がよろしくなかったらしい………当時は魔法防御より魔力に関する研究が主流であってあまり魔法防御の需要が高くなかったそうだ」

「結局ガゼルは研究所から出されてこの村に来た」


イト

「研究所から出されるとは………相当厳しかったんだろうな」

「魔法研究所には優秀な学者は嫌というほどいるからな………ガゼルは彼らに負けてしまったのだろう」

「悪く言えば落ちこぼれって奴だな」


村長

「落ちこぼれなんてそんなことはありません!」


村長は突然声を粗げる。


村長

「我々はガゼルさんには感謝しかないのです」

「彼のお陰で村は活気になり、また魔法障壁装置で村を守ってくれたのです」

「彼がいなかったら今頃村は廃れており、住民も苦しい生活を強いられていたに違いありません……」


イト

「そうでしたか……」

「不甲斐な発言をしたことをお詫びします」


村長

「………いやこちらこそ声を粗げてしまい申し訳ないです」

「しかし………ガゼルさんがお亡くなりになってしまったことはあまりにも辛いです………」


サカ

「ガゼルは魔女討伐の時にいたのだが、ドラフと共に行方不明となっていた……」

「だが1ヶ月前に死体が山から発見されたんだ」


イト

「………それは誰かに殺されたということか?」


サカ

「その可能性は高い」

「剣で突き刺された形跡があったからな」

「そしてガゼルには土に埋められていたんだ」

「日頃の雨で地中から死体が出てきたんだろうけど、わざわざ土葬されてるのが気になるところだ」


イト

「誰かがガゼルを埋めたということか……」


村長

「ガゼルさんを殺した犯人はやはり魔女なのでしょうか」


サカ

「その可能性は高い」

「ペルー村で現れた二人の魔女がガゼルを殺めて山に埋めたのかもしれない」


ペルー村で現れた魔女とはララとカリアのことだ。


村長

「あの二人が魔女だなんて今だに信じられない………」


イト

「ララフォーとカリアですか………」


村長

「あの二人は幼いころからよく知っている………二人ともどこにでもいる普通の女の子だったのだ」

「それが魔女だなんて………」


村長の表情が曇りに曇っていく………。


村長

「魔女に利用されたに違いない………そうに決まっている………」


ララとカリアは魔女として周知されているが、そもそも根っからの魔女である説と魔女に魔法をかけられ魔女になった説が挙げられている。

そしてペルー村の魔法障壁装置が作動しなくなったのも彼女たちの仕業であるとされている。


村長

「ガゼルさんもメールさんも皆この村のために尽くしていた………」

「彼女たちが魔法障壁装置を壊して魔物を村にいれたとは考えられない………」


イト

「村長………村長がおっしゃる通り彼女たちがこの村を滅ぼそうだなんて微塵足りとも考えていないと思います」

「彼女たちが本当に魔女であればとっくにこの村を焼き払っていたことでしょう」

「彼女たちはもしかしたら村に入ってきた魔物を倒すために魔女になったかもしれません」


村長

「そうですよね………私もそのように思います」

「魔物に襲われた時、気を失う前に見たんです」

「一人の女の子が魔物を追い払っていたところを」

「私は彼女がララだったんじゃないかと思っております」


トランヴェル

(あの時のララを見ていたのか)


イト

「それは本当にもしかしたらララフォーかもしれませんね」

「村長がおっしゃってることが真実じゃないかと思っております」

「彼女たちが魔女であろうが、きっとこの村を守ろうとしていたに違いありません」


村長

「ありがとイトさん」

「私もそうであると信じます」


サカ

「ふむ………」


村長

「彼女たちは一体どこで何をしているのだろうか」


イト

「もしかしたらいずれ戻ってくるかもしれませんね」

「その時はきっと魔女ではなく人間として」


トランヴェル

(………イト)


村長

「そうですね………」

「私も彼女たちがまたここに戻ってくることを願ってます」


サカ

「さて………そろそろ研究所へ戻りますか」

「村長それではこの装置お借りします」


村長

「承知しました………また何かあればご連絡ください」


サカたちは魔法障壁装置を馬車に載せてペルー村を離れる………。


サカ

「結界師がいない今、我々にできることは早くこの装置を開発して展開することだ」

「今から研究所へ行って開発の補助に入るぞ」


イト

「開発の補助!?そんなこと俺たちでできるのか………?」


サカ

「やることはいっぱいあるさ」

「恐らく開発にあたって莫大な魔力が必要になる」

「そこでお前たち二人の力が必要だ」


イト

「なるほど………」


サカ

「これから忙しくなるが、頼んだ」


サラ

「ワカッタ!」


サカたち一向は魔法研究所へ向かって行った。

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