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ペルー村再び1

晴れて騎士団に入団したイトとサラは、国営騎士団本拠地へ出向くことになった。

そして今回はイトたちだけでなく、トランヴェルも同行することになった。


イト

「現場にペットを持参するやつなんていないが………まあ大丈夫だろ」


トランヴェル

(そもそも動物を一般の騎士団が連れてきていいのか?)


サラ

「お!馬車ダ!」


イト

「俺たちは入団したばかりだが、サカの意向もあって特別に馬車で出迎えてもらえるんだ」


トランヴェル

(まあイトは新人の皮を被った騎士団のトップだからな………)


馬車がイトたちの前に立ち止まる。

サラはトランヴェルを両手で抱えて馬車に乗り込み、続いてイトが乗り込む。

馬車の中に入ってみると、そこにはサカの姿があった。


サカ

「おはようイト、サラ」


イト

「おう、おはよう」


サカ

「ぐんもーにんぐぅ」


サカ

「うん?その鳥はなんだ?」


イト

「ああこいつか」

「こいつがトランヴェルだ」


サカ

「………なんだと?」

「そいつがお前らを魔女にした張本人………?」


イト

「そうだ………こいつが黒幕だ」


トランヴェル

(なんか俺を敵に仕立てようとしてないか!?)


サカ

「まさか本当に鳥だとはな………」

「イトの話を聞けば悪い奴じゃないみたいだが」


イト

「悪い奴では無いな………多分」


トランヴェル

(多分じゃないだろうが………良心の塊だ)


イト

「ところで今日はどこへ行くんだ?」


サカ

「ペルー村だ」


イト

「ペルー村?」


トランヴェル

(………ペルー村)


ペルー村はララとカリアの故郷だ。

トランヴェルはそこで彼女たちと出会ったのだ。


トランヴェル

(まさかペルー村に行くことになるとは………)


イト

「何しに行くんだ?」


サカ

「魔法障壁装置について調査しに行くのさ」


サラ

「マホウショーヘキそうち………?」


サカ

「そう魔法障壁装置」

「あの村には魔法障壁装置を使って結界を張っていたんだ」

「魔女研究所ではあの装置を使って魔物から国民を守ろうと考えているんだ」


イト

「今更装置を使って結界とはね………」


サカ

「その装置なら結界師よりもっと強力な結界を貼れることが期待されてるんだ」


イト

「あれか………魔物対策か」


サカ

「そうだ」

「ここ最近の魔物は魔力が高すぎる………」

「かつて無いほどの魔力を何故魔物が持ち出したのかわからないが………かなり異常事態なんだ」


イト

「こないだのアサッドも簡単に結界が破れたんだよな」


サカ

「フンボルト軍が鎮圧できたから良かったものの、今後騎士団だけで対応ができない状態だから今回結界を強化しようという話が出てきたんだ」


イト

「なるほどな」

「国王もフンボルトばかり頼っていてはいい顔しないだろうし」

「そもそも自国の騎士団が魔物を退治できないってのも相当ヤバイ状態だよな」


サカ

「残念ながら今の騎士団では敵わないだろう」

「鍛えていくとしても現状の魔物対策が見込めない」

「だからこそ今回の対策は何としてでも成し遂げなければならない」

「魔法障壁装置を各地方に導入して魔物から国民を守らなければならないんだ」


イト

「各地方に導入か………それも時間がかかるな」


サカ

「ああ……だがしかしやらなければまた魔物が襲ってきた時、対処することができない」

「だから今回の任務は最も重要なんだ」


イト

「承知した」

「魔法障壁装置か………たしかその装置はペルー村に住んでいた住民が作ったものなんだろ?」


サカ

「そうだ」

「しかしその作者はこないだの魔女討伐のときに亡くなっている」

「他に技術者もいないから残された資料を元に造るしかないというわけだ………」


イト

「……それは難儀だな」


サカ

「他にもペルー村に継承していた技術者がいたようだが、皆魔物にやられちまった」

「その作者の娘ももしかしたら何か知っているかもしれないが、残念ながら魔女だったことが判明している」


イト

(ああ………カリアのことか)


トランヴェル

(魔法障壁装置はガゼルが造ったもの)

(カリアももしかしたら何か分かるかもしれないな………)


トランヴェルたちが馬車に乗ること2時間、ペルー村へやっととたどり着く。

いまだに建物は崩れていたり、焼け落ちたりしており、復興の目途がついていない。


イトたちはサカに連れられ、村の中心街へと進む。

人の気配は無く、店も閑散としている………。


トランヴェル

(状況は数ヵ月前と変わってないな………)


トランヴェルたちはペルー村の御神体へたどり着く。


サカ

「ここの中に魔法障壁装置がある」


サカたちは御神体の中へと入る。

そこにはペルー村の村長と結界師のサーべの姿があった。


村長

「ようこそおいでくださいました」


御神体の中には魔法障壁装置が設置されており、普段はこの装置から魔法障壁を展開していた。しかし魔物の襲撃以来、魔法障壁装置は使用しておらず、現在は結界師が結界を張って村を守っている。


イト

「これが魔法障壁装置………」


サカ

「今は使われていないが、これを基に強力な魔法障壁を貼る予定だ」

「これを魔法研究所へ持ち込む」


イト

「こんなでかいのを持ち運ぶのか」


サカ

「解体が割りと容易にできる」

「造りはシンプルだからな」


トランヴェル

(まさかこれを持ち込むことになるとは………)


村長

「村の者も手伝わせるので」


サカ

「いや、我々だけで十分です」

「イト………じゃなくてカラ、サラお前らの初任務だ」


イトは名前を偽りカラと名乗っている。


イト

「まさか3人でこんなの運ぶのか?」


サカ

「そうだ」


イト

「こんなの騎士団員にやらせればいいのに………」


サカ

「今は人手不足でな」

「これくらいの仕事は人を集めるより力のあるものがやった方が早い」


サカは大きな機材を軽々と持ち上げ、馬車へ運ぶ。


イト

「仕方ないな………よいしょ!」


イトも機材を持ち上げ、馬車へと運んでいく。


サラ

「えい!」


サラは機材を手に持たずに機材を浮かせて運んで行く。

彼女は魔法を使い、機材を持ち出したのだ。


イト

「最近お前………魔法使えるようになったんだな」


サラ

「うん!ちょーべんり」


サラはどんどん魔法を使えるようになっていくが、対してイトは全く使えずにいたのだ。

魔法を使えないのはイトだけだ。


イト

(何故彼女たちに使えて俺は自由自在に魔法を使えないんだろう)


イトはやるせない気持ちで体を動かして機材を運んでいく………。

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