国営騎士団 入団試験 3
最終試験は志願者同士の試合となる。
一対一で魔法のみで戦うことになる。
一人必ず二回試合することになり、勝敗がもちろん結果に左右されるが、試合内容についたも考慮される。試合時間は約3分。魔法以外で攻撃した場合は即失格となる。
イトとサラは魔女であるが、魔法を使ったことが無く、試験に受かるどうか怪しくなってきた。
イト
(今までの試験では魔法が試されることはなかった………)
(フンボルト軍の魔力が高いから、これからは騎士団も魔力が必要ってことか)
(不味いな………魔女になる前も魔法は避けて来たんだけどな………)
イトは今まで剣術のみで騎士団のトップに成り上がってきた。魔法は一切使ったことが無いのだ。
騎士団員
「それでは103番と239番前へ」
イト
「いきなり俺か………」
(魔女狩隊の俺がこんな試験に落ちる訳にはいかない………)
(しかも俺は魔女だぞ………魔法が使えないはずがない)
イトは舞台へとあがり、相手の志願者と向き合う。
イトの相手は杖を持っており、どう見ても魔法使いであった。
イト
(よりによって相手は魔法使いか………)
騎士団員
「両者前へ」
イトは魔法使いと対峙し、身構える。
騎士団員
「試合始め!」
魔法使いは試合始めの合図と共に雷魔法を生成し、イトへ放つ!
イト
「おっと!?」
イトは華麗に避けるが、魔法使いは次々と雷魔法をうち放つ!
イト
「くそ………どうやって魔法出すんだ!?」
イトは攻撃を避けに避けて、魔法を出せないかあれこれ試していた。
魔法使い
「ちょこまかと………ならば」
魔法使いは両手をイトへ向け、スピードダウンの魔法を唱える。
しかし、イトには魔法が通用しなかった。
イトは腐っても魔女のため、人間の魔法では全く通用しないのだ。
魔法使い
「効いてないのか………」
「ならば」
魔法使いは大きな雷魔法を生成する。
あまりの巨大さに周りが騒然する。
魔法使い
「これならば避けられまい!!」
魔法使いはイトへ巨大な雷魔法を放つ!
イト
「これはさすがにヤバイか」
イトは片手で巨大な雷魔法を掴む………!
魔法使い
「!?」
イト
「魔法は簡単に掴めるんだがな………」
「あ………いいこと思い付いた」
イトは雷魔法をそのまま魔法使いへ投げる!
魔法使い
「なんだとおおおおお!?」
魔法使いは雷魔法に飲み込まれ、大ダメージを負い倒れてしまった………。
イト
「魔法が使えないならば、相手の魔法を返しちまえばいいんだ」
騎士団員
「勝者239番」
(こいつ………あんな魔法を手づかみしやがった)
(化け物か………)
試験は引き続き行われ、遂にサラの出番が回ってきた。
イト
「サラ………俺みたいに掴んで相手に返せ」
「それだけで勝てる」
サラ
「ワカッタ」
騎士団員
「試合始め!」
サラ
「かかってこい」
サラの相手は剣士であり、サラと同様魔法を苦手としていたようだ。
なかなかお互いに魔法を出そうとしない。
サラ
「………」
剣士
「………」
お互いにジリジリ見つめ合い、なかなか試合が進まない。
騎士団員
「両者動かなければ評価は減点とする」
その言葉を聞いた剣士は焦って魔法を生成する。剣士が生成した魔法は火の魔法のようだ。
剣士は魔法をサラへ放ち、サラはその魔法を掴もうとする。
しかし、魔法が弱すぎるせいか、サラが掴んだ瞬間、魔法が消滅してしまったのだ………。
サラ
「………あれ?」
イト
(不味いな………相手も魔法が使えないと、掴んで投げる戦法が通じない………)
サラ
「コマッタ………何とか出せないかな?」
サラは両手で力を込めてみるが、やはり生成できそうに無い。
剣士
「もう一度!」
剣士は手から炎の魔法を3発放ち続けた!
サラは放たれた魔法を手づかみするが、やはり掴むと消滅してしまう。
サラ
「消えちゃう」
剣士
「こいつ………!」
剣士は右手に氷の魔法を、左手に炎の魔法を生成する!
剣士
「こなくそ!!」
剣士はサラに近づき、ゼロ距離で両手の魔法をぶつけようとする!
サラ
「うーんうーん………」
サラはもう一度両手に力を込めてみる………。
バチッ………
サラ
「………!」
サラの両手からわずかに何かが生成された!
サラ
「んんんんん!!」
サラは力を振り絞って両手の魔法を大きくしていく!
剣士
「打たせるか!」
剣士はそのまま突進して両手の魔法をサラにぶつける!
カッ!!
爆発が起こり、煙がたち込む!
イト
「サラ!」
煙がもくもくと広がり、徐々に晴れていく………。
そこには剣士が一人立っており、サラの姿が見えない。
剣士
「どこへ行った!?」
イト
「サラが消えた………いや」
ザアアア………
剣士の後ろにサラの姿が現れる!
サラ
「後ろ!取った!!」
サラは両手に込めた緑色の魔法を剣士へぶつける!
剣士
「何!?」
バチバチバチッ………!!
剣士の体が痺れ、さらに体中から草が生えていく!
剣士
「な………なんだこれは!?」
剣士は草に包まれ、やがて体が見えなくなる!
イト
「サラ!魔法を止めろ!死んでしまうぞ!!」
サラ
「!」
サラは魔法を解除し、剣士は草から解放されその場で倒れた。
騎士団員
「おい!生きてるか!?」
剣士
「う………うう」
倒れた剣士のもとにサラが近づく。
そして両手を剣士の体にかざし、魔法を唱えた。
剣士の体の傷が徐々に回復していく。
イト
「あいつ………回復魔法まで使えるようになったのか………」
騎士団員
(こいつも相当の手練れだ………回復魔法の力も尋常じゃない)
イトとサラはこの後もう一試合行い、二人とも勝利をおさめた。
全ての試験は終わり、結果発表に移った………。
見事イトとサラは合格し、騎士団の一員となることになった。
イト
「やったなサラ」
サラ
「うん!」
イト
「帰ったらトランヴェルたちに報告だ」
イトたちが帰ろうとしたところ、出口付近にサカが待ち伏せしていた。
イト
「よおサカ暇そうだな」
サカ
「バカ言え………今が一番忙しいわ」
イト
「祝いに来てくれたのか?」
サカ
「ああ……試験合格と配属祝いに来てやった」
イト
「配属祝い……?」
サカ
「そうだ……おめでとう明日から晴れて君たちは国営騎士団の一員だ」
「そして二人とも魔女狩隊の直下の部隊に配属となる……晴れて俺の部下となるのだ……おめでとう」
イト
「は?」
「お前の部下はお断りだ」
サカ
「上官には言葉に気を付けような!」
イト
「俺はお前に敬意を払うつもりはないぞ」
サラ
「ないぞ」
サカ
「………困った新人たちだ………」
イトとサラは明日からアポロの国営騎士団に配属となり、魔女狩隊の手足として働くことになった。




