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後始末の序章

白衣を着た男女が二人、空白の世界に立っている。

二人以外誰もいない。辺りは真っ白で、曇り一つ無い。


(…?)


そして聞こえてくる…彼らの会話が…。


「どうだ?進捗の方は…」

男性が女性に話しかける。


「人間の魔法使いレベルなら再現することは可能ですが…魔女の魔力はどうしても実現できません」

「…魔力が強すぎて器の方が壊れてしまうんです」


女性の周りには多くの人形がボロボロになって横たわっていた。


「やはり…人形では限度があるか…だがもう期日は近い…なんとしても間に合わせなくてはならない」


「ええ…わかってる…わかってるけどこれでは…」


「大丈夫だ」


男は女を抱き締めた…そして女の耳元で呟く。


「俺たちの夢は絶対に叶う」


()()()()()()()()()()()()()()()()()()



(はッ…)

トランヴェルは目を覚ます。


トランヴェル

(なんだ今の夢は…?)

(あの男女…どこかで…)


トランヴェルは夢から覚め、自分が精神状態から身体に戻っていることに気付く。


トランヴェル

(もう30分経ったのか…早すぎる)


私にとってはほんの一瞬の出来事だった…。

瀕死状態だった一人の少女を魔女化し、村を襲う魔物を一掃させた。

結果、少しでも多くの人を救うことができた。

ただ一点心残りがあるとすれば、魔女化した彼女が冷酷になってしまったということだ…。

最悪の状況から脱したものの、

まだまだ不安要素が多く残されていた……。


マベル

「トランヴェル起きた?」

「トランヴェルが寝てる間に終わっちゃったよー。面白いところで寝ちゃうんだもん。残念。あーあ、トランヴェルにも見せてあげたかったなー。


トランヴェル

(あの出来事が面白かったのか……私にとっては悪夢のような時間だったのに…)


マベル

「でもねぇ…まだまだこのイベントは楽しめそうなんだよね」


トランヴェル

(……まだ楽しめる?)


マベル

「一山さったらまた一山来る!これぞ人間観察の醍醐味」


私はマベルが言っていることはよくわからなかった……。

彼女が言うにはまだ騒動は収まらないという……。


トランヴェル

(一体…なにが起きるんだ……?)


マベル

「さあ……一緒に見ましょうトランヴェル……」

マベルは杖の先端に水晶を設置する。

水晶には村の結界を解いた張本人のガゼルとその娘カリアが写し出されていた……。

そしてそこには多くの人間が二人を囲っていた……。


ガゼルたちを囲う集団は武装をしていた。さらに王国の旗を掲げていた。


ガゼル

(こいつらは………王国の騎士団か)


ガゼルは昔王国にいたこともあり、この集団を知っていた。

騎士団のうち一人がガゼルに話しかける。


「貴方たちはペルー村のものか?」


ガゼルは娘との再開に喜びを感じていたが、それもつかの間だった。村の障壁を解除した以上、村から早く離れなければならないのに、

ここで王国の騎士団に出会うのは非常にまずい。

旅人であると嘘を申し出てこの場をやり過ごそうとしたが……それも無駄であることがすぐわかった……。


「おや~貴方は……ガゼルさん?」

騎士団の中から毛布をかぶった男が現れる。


ガゼル

「お前は……」

ガゼルはその男に見覚えがあった……。


毛布をかぶった男

「あーそういえば今ペルー村にお住まいでしたね……お久しぶりです……覚えてます?私のこと??」

男は毛布を取り外し素顔を見せる。


ガゼル

「ドラフ……」


ドラフ

「おぉ~よく覚えてましたねぇ…!そうですドラフです!」

ドラフは馬から飛び降り、ガゼルに握手を要求する……が

ガゼルは手を差し出そうとしなかった。

ドラフは残念そうに握手しようとした手を取り下げ、ガゼルの娘カリアに目を向ける。


ドラフ

「おやあ……もしかしてそこのお嬢さんは娘さんですかぁ?」


ガゼル

「……そうだ」


ドラフ

「わはああ!大きくなりましたねぇ!いやあ見違えましたなあ」


ドラフはカリアの顔にすれすれまで近づき彼女をじろじろ見上げていた。カリアはあまりにもドラフが顔を近づけてくるため反射的に体を仰け反(の ぞ)ってしまった。


カリア

(なんなの……この人)

カリアはドラフの言動に気持ち悪がり、距離を遠ざけた。


ドラフ

「あー…ガゼルさん…こんな可愛らしい娘さんをお持ちで羨ましいですなあ…」


ガゼル

「……」

ガゼルは重苦しい表情で頑なに口を閉じていた。


ドラフ

「ところで先程ペルー村に火災があったという連絡を頂きましてね~それで早急に我々調査団と騎士団が出向いていたところなんですよ」

「ガゼルさんペルー村は大丈夫です?」


ガゼル

「……いや」

ガゼルが重い口を開く……。


「今ペルー村は魔物に襲われている…!」


ドラフ

「なんと!」


ガゼル

「我々も今魔物に追われて逃げてきたところだ……今村は魔物に襲われて大変なことになっている」


ドラフ

「魔物……それは想定外ですねぇ…村の火災か何かだろうと踏んでいたのに…まさか魔物の仕業とは……騎士団長!」


ドラフの隣にいた大柄の男がドラフに頷き、旗を高く掲げた!


「皆の者!ペルー村へ前進せよ!」


騎士団長の合図とともに騎士団の進行が始まった…。


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