ジョウガの魔女教会2
午後16時頃。
国会では魔女教会の攻撃に対して緊急会議が開催されていた。
オードリーは今の状況を説明し、今後の動向について話をしていた。
しかし、話している間にまた罵倒や野次が飛び交い、もはや会議とは言えない状況になっていた。
「静粛に静粛に!!」
議員たちはあわてふためき、それぞれ纏まりの無い意見を出し、混乱に陥っていた。
オードリー
(うるさい………これでは何も事が進まん!!)
ドン!!
国会のドアをかれる………!
ガラウ
「何をしている!!」
指導者ガラウの声が国会に響き渡る!
ガラウ
「貴様ら議員が学生のように纏まりの無い議論をしてどうする?」
「これでは貴様らの存在価値が無いではないか」
議員たち
「ガラウ様………」
ミドラス
「事は緊急を要する」
「オードリー君!手早く説明を終わらせたまえ!」
オードリー
「は………はい」
普段指導者が国会に訪れることは無い……。
彼らは王宮に在籍し、王宮から議員たちに対して指示や指導を行っているのだ。
基本的に国民の代表である国会議員が最終的に議決を行うが、その議決に対して指導を行い、責任を負うのが王宮や指導者の役割となっている。
そのため国会議員が王宮へ来ることがあっても指導者たちが自ら国会に足を踏み入れることはほぼ無いのだ………。
今回指導者たちがわざわざ来たということはそれだけ緊急を要するということを意味する。
先程までわめいたいた国会議員たちは沈黙し始め、オードリーの声だけが館内に響き渡っていた。
一方ジョウガでは、騎士団員たちが魔女教会に突入したものの、不穏な空気を醸し出していた。
騎士団員
「第二騎士団員たちと連絡が途切れました」
コッホ
「………何が起こってる?」
騎士団員
「第三部隊準備整いました」
コッホ
「いや待て」
「状況をナハンジ殿に伝えろ」
「これ以上の進行は危険だ」
騎士団員
「承知しました」
コッホ
(5階から急におかしくなった………やはり罠か………)
騎士団員
「騎士団長!魔女狩隊長と連絡が繋がりました!」
「魔女狩隊が到着するまで待機及び退却の準備とのことです」
コッホ
「うむ」
(それでいい………明らかに様子がおかしい………悔しいが我々だけで行動するのは危険すぎる)
「退却の体制を整えろ」
「3階まで後退する!」
騎士団員
「騎士団長!!」
「3階への扉が閉ざされました!!」
コッホ
「何………!?」
ドオオオオ!!
多くの魔物が上の階から降りて攻めてきた!
コッホ
「魔物!!」
「全員戦闘体制!!」
騎士団員たちは次々と剣を抜き、襲ってくる魔物と対峙する!!
魔物
「フオオオオオン!!」
魔物は不気味な鳴き声を発しながら四足歩行で駆けてくる!
コッホ
「迎え撃て!!」
コッホの合図と共に騎士団員たちが一斉に斬りかかる!
ガキイイイ!!
騎士団員たちは剣を降り下ろし魔物へ斬りかかるが、剣は魔物の皮膚を通すことなく、弾かれてしまった!
騎士団員
「剣がきかない!?うわあああ」
騎士団員たちは次々と魔物に喰いちぎられていく!
コッホ
「魔法部隊!弓部隊!応戦!!」
魔法部隊からは炎の魔法が放たれ、弓部隊からは雷の魔力を帯びた矢が放たれる!!
しかし魔物たちは魔法も弓もものともせず突進してくる!!
ガガガッ!!
むなしくも魔法部隊も弓部隊も魔物に噛みちぎられ、皆やられてしまう!
コッホ
「退却!!ドアを打ち破れ!!」
騎士団員は3階へのドアを魔法で打ち破る!
しかし、ドアを打ち破った矢先、ドアの向こう側から多くの魔物が襲いかかかってくる!!
騎士団員
「ぐあああああ!!」
3階へ逃げようとした騎士団員たちも次々とやられていく!
コッホ
「くそ!!挟み撃ちか!!」
四面楚歌に陥ったコッホたちはお互い背中を預け、迫り来る魔物たちを叩き斬る!
魔物
「フオオオオオン!!」
魔物に囲まれた騎士団員たちは敵の攻撃を捌ききれず、魔物に噛まれていく!
コッホ
「くそお!!ここまでか!?」
ドスッ!!
魔物
「ギャオアアアアアアア!!」
魔物たちが一斉にハンマーで蹴散らされていく!
ハンマーは次々に魔物たちを容赦無く潰していく!
ナハンジ
「大丈夫か!!」
コッホ
「ナハンジ殿!!」
ナハンジは再びハンマーを振り回し、周りにいる魔物たちへぶち当てていく!!
魔物
「フオオオオオン!!!」
魔物たちはナハンジへ襲いかかる!
しかし、横から紅色の矢が魔物たちを貫いていく!
ミハエル
「ほらほら!早く逃げな!!」
ミハエルは紅色の矢を3本同時に放つ!
紅の矢は魔物たちの皮膚を貫き、そして貫かれた魔物たちは爆発四散していく!
5階から次々と魔物が降りてくるが、そこにサカが入り込み、降りてくる魔物たちを切り刻んでいく!
サカ
「コッホ殿!早く撤退を!!」
コッホ
「魔女狩隊が来てくれたぞ!」
「全員退却!!」
コッホたちは階段を降りて3階へ向かう!
ナハンジ、ミハエル、サカは5階から降りてくる魔物たちを蹴散らしながら後退する!
サカ
「なんて数だ………これではやられてしまう」
ナハンジ
「一旦引き上げて体制を立て直す!」
「早くずらかるぞ!」
ナハンジたちは下の階へと降りていき退散を試みるが、上からどんどん魔物たちが襲いかかってくる!
ミハエル
「どんだけいるんだよ!!」
サカ
「キリがない………」
ドオオオオ!!
魔物たちの群れの中から形の違う魔物がものすごい勢いで襲いかかってくる!!
その魔物は針ネズミのような顔をしていた!
針ネズミのような魔物
「餌が来なくなったからおかしいと思ったら逃げてるじゃねーか!!」
ナハンジ
「なんだあの化け物は!!」
針ネズミのような魔物
「お前らの魔力は俺が頂く!!」
針ネズミのような魔物は他の魔物たちを除け沿い、猛スピードでナハンジたちへ襲い掛かる!
ナハンジ
「化け物!!」
ナハンジは魔力を込めたハンマーを針ネズミの魔物にぶつける!!
しかし、魔物はびくともせず突進してくる!
ナハンジは突進をもろに喰らい吹き飛ばされる!!
サカ
「ナハンジさん!!」
針ネズミの魔物がナハンジを食そうと口を大きくあけ、噛みつこうとしたところ、サカが剣で魔物の噛みつきを防いだ!
サカ
「ナハンジさん!!しっかりしてください!!」
ナハンジ
「う………」
ナハンジは意識が朦朧としている。
遠方からミハエルが紅の矢を針ネズミの魔物にぶち当てる!!
針ネズミのような魔物
「チクチクいてえな!!」
針ネズミの魔物は体から針をミハエルに向かって飛ばす!!
ミハエルは避けきれず、足や手に針が突き抜ける!!
ミハエル
「あがあああ!?」
サカ
「ミハエル!!」
ミハエルはあまりの痛さに弓矢を手放し、その場で倒れてしまう!
針ネズミのような魔物
「あとはお前だけだ!!」
針ネズミの魔物はサカに向かって針を飛ばす!
サカは剣で針を防ぐが、次に針ネズミの魔物の突進を喰らってしまう!!
サカ
「ガッ!?」
吹き飛ばされたサカは壁に叩きつけられ、さらに針ネズミの魔物は針を飛ばし、サカの手足を串刺しにする!!
サカ
「があああああああああ」
針ネズミのような魔物
「手こずらせやがって………」
「まずはお前から喰ってやる」
針ネズミの魔物はサカに近づき、大きく口をあける!
サカ
「うぐ………ここで………死ぬのか?」
ザシュ!!
針ネズミのような魔物
「痛ッ!?」
針ネズミの魔物の腹に一本の剣が突き刺さる!!
イト
「大分苦戦してるな………サカ」
針ネズミのような魔物
「……イト!?」
イトは針ネズミの魔物を切り刻み、足で蹴飛ばす!
針ネズミのような魔物
「こいつ!?」
サカ
「イ………ト」
イト
「おいおい重症だな」
「そこで大人しくしてろ」
イトは針ネズミの魔物に斬りかかる!
針ネズミのような魔物
「調子に乗るなよ!!」
針ネズミの魔物は身体中から針を無数に放つ!
イトは飛んできた針を全て剣で弾く!!
針ネズミのような魔物
「嘘だろ!?」
イト
「もらった!!」
ザシュ!!
イトは針ネズミの魔物の首をはねる!!
イト
「ふん………この程度か」
「おいサカ!大丈夫か!!」
サカ
「イト………お前……本当に人間じゃないようだな」
イト
「ああ……今の俺はトランヴェルの魔女だ」
サカ
「トランヴェル……の魔女………」
イト
「ナハンジさんもミハエルも重症だな………早くここから出よう」
?
「待てよ」
イト
「!?」
イトたちの目の前にたくさんの魔物が立ち並んでいる。
魔物
「お前たちは生きて返さない」
魔物
「上質な肉だな………逃がすわけにはいかない」
魔物
「ハリーを殺ったところで調子に乗るなよ?ガハハハハハ」
魔物たちはイトの周りを囲む………!
イト
「ルナの魔女教会もそうだったが、どうやらこの教会も動物園らしいな」
魔物
「餌が吠えるなよ?大人しく食われろ」
イト
「かかって来いよ化け物」
「俺が一匹残らず蹴散らしてやる!」




