ジョウガの魔女教会1
午前12時頃サカは本日休暇を貰い、イトとまた居酒屋で食事をしていた。
イト
「午前中に来たのは初めてだな」
サカ
「ああ」
サカは中々食事が進まず思い悩んでいた。
サカ
「なあ…この件だが、いづれはナハンジさんに報告をしようと思ってる」
「ただ今は不明確なことが多すぎる」
「今日もいろいろこれまでの成り行きについて聞かせてくれ」
イト
「かまわん」
「俺もそのつもりで今日ここに来たんだ」
サカたちが会話している中、サカに着信が入ってくる。
サカ
「失礼」
サカは席を外して着信に応答し、魔方陣を展開する。
〈サカ……緊急事態だ………〉
サカ
「緊急事態?」
サカは着信を終えて、席に戻って来る。
サカ
「すまないイト………すぐにこの場を離れなければならない」
イト
「どうした?」
サカ
「ジョウガで魔女教会が攻撃を仕掛けてきた」
イト
「!?」
「魔女教会!?」
サカ
「話はまた後日だ」
サカは急いで店を出て、至急ジョウガへと出向く。
午後12時半ごろ。
アイナは学校の午前中の授業が終わり、友人たちとご飯を食べていた。
アイナの通う学校はアポロ市の中心にあり、市内でも有名なところである。学業やスポーツもレベルが高く、生徒の大半は富裕層の子供が多い。アイナもいわゆるお嬢様であり、エリート教育を受けている。
アイナは仲の良い友達が2人おり、いつも一緒に行動を共にしている。そして今もご飯を食べながら会話している。
ミンカ
「アイナその帽子どうしたの?」
アイナは昨日オードリーから貰った帽子を被り登校していた。
アイナ
「これパパから貰ったんだ!」
ナタリー
「いいなー………かわいいねその帽子」
「私もそろそろそういう服とか帽子とか欲しい!」
アイナたちは今年で10歳になる。彼女たちもお洒落の1つや2つしたい年頃なのだ。
ナタリー
「私も来週お母さんとルナ街に買い物に行くの!」
ミンカ
「ええ!?いいなー!私も行ってみたいルナに」
アイナ
「ルナってここから遠いんだっけ?」
ナタリー
「うん車で2時間くらいだってお母さんが言ってた」
ミンカ
「今度どんな店があるか教えてよー!」
ナタリー
「うん!いいよ!」
「ていうかさ…今度さ3人で行ってみない?」
「ルナ街とかさジョウガとかさ」
アイナ
「行きたい行きたい!!」
ミンカ
「ええ………3人で大丈夫かな………?」
ナタリー
「大丈夫だよ!行ける行ける」
アイナたちが和気あいあいと話しているところ、アイナは窓から騎士団が外で列を成して歩行しているところを見かける。
アイナ
「あれ何だろう」
ナタリー
「え?」
アイナ
「ほら外外!」
ナタリーとミンカもアイナの隣に寄って窓から外を見る。
ミンカ
「軍人さんだ………」
ナタリー
「なんかあったのかな?」
アポロの住民は普段外に騎士団たちが行進するところをあまり見たことがない。
アイナたちだけでなく、学校の先生や外に歩いている住民たちも騎士団を見て不思議に思っていた。
午後1時。オードリーは魔女研究所から国会へ移動をしていた。オードリーも移動中に騎士団が街中を歩いているところを見て疑問を抱いていた。
オードリー
(なんだ………あいつらこんな昼間に何をしている?何かあったのか?)
オードリーの魔法陣に電話がかかってきた。
オードリー
(ナハンジか)
「どうしたナハンジ」
ナハンジ
「オードリー殿………緊急事態です」
「先程午後1時にジョウガで魔女教会が国営騎士団に魔法による攻撃を仕掛けてきたと情報が入りました」
オードリー
「なんだって!?」
ナハンジ
「現在早急に騎士団をジョウガへ向かわせる予定です」
オードリー
「奴等が戦線布告してきたというわけか!?」
ナハンジ
「はい………私もこれからジョウガへ向かい戦闘の準備へ移ります」
「そして、各拠点に在中している騎士団たちには住民の防衛指示が出ており、それぞれ待機させております」
オードリー
「ああ………アポロ市内にやけに騎士団員がいると思えばそういうことか」
ナハンジ
「以後連絡が途絶えるかもしれませんが、また後程状況についてご一報させて頂きます」
オードリー
「わかった…気をつけて行けよ」
オードリーは電話を切る。
オードリー
「嫌な予感がする……」
オードリーは至急国会に向かい、緊急会議を開くことにした。
午後14時頃。ジョウガの市内では大混乱が起きていた。
魔女教会の本拠地はジョウガ市内にあり、現在騎士団員と魔女教会が戦闘を行っていた。
サカはアポロから至急駆けつけ、ジョウガの騎士団基地へとたどり着く。
ミハエル
「遅かったなサカ」
サカ
「すまない………状況は?」
ミハエル
「まだ交戦中だ」
「まあ時間の問題だと思うがな」
ミハエルは魔女狩隊の一人であり、弓の使い手である。
サカ
「奴ら………いきなり攻撃を仕掛けてきたのか?」
ミハエル
「ああ……午後13時頃に突如ジョウガ在中の騎士団員が襲われたんだ」
「その場で敵は殲滅。それから敵の本拠地へ突入している」
サカ
「ナハンジさんは?」
ミハエル
「ナハンジさんはまだ来ていない……カグヤから来るそうだから恐らく15時頃には着くと思う」
サカ
「そうか……お前も現場に出ずにここにいるということは一応騎士団だけで応戦できてるのか?」
ミハエル
「ああ問題無いだろう」
「今のところ本拠地も占領できそうだ」
「私はここで指揮を取るように命じられている」
「ナハンジさんから指示があるまではここで待機だ」
サカ
「待機していて大丈夫なのか?」
「魔女や得たいのしれない魔物が出てくるだろうに………」
ミハエル
「恐らくナハンジさんは先発隊で様子を見ているんだ」
「前回のように殲滅される恐れがあるからな」
「それに奴らも何も考えなしに戦いを仕掛けてきた訳じゃないだろう」
「きっと何か裏がある………」
サカ
「………なるほど」
ミハエル
「何が起こるかわからない………戦闘準備だけはしといて」
サカ
「了解」
「ところで先発隊の指揮は誰が行ってる?」
ミハエル
「あの口うるさい親父だよ」
サカ
「コッホさんか………」
午後15時頃。騎士団が魔女教会に突入してから2時間が経っていた。
コッホ
「ふんッ!」
ザシュ!!
魔女教会
「があ!?」
コッホ
「たわいもない………」
騎士団員
「コッホ団長!このフロアも制圧しました!」
コッホ
「よし!剣士部隊は5階へ突入!!魔法部隊も後援で続け!!」
コッホが率いる騎士団は順調に進行していた。
負傷者はいるものの、死者はおらず、連携も体制にも問題ない。
コッホ
「今回は楽勝だな!!っと言いたいところだが………」
「あまりにも上手く行きすぎている………」
「全軍に通達!!何か罠の可能性がある!!用心して進行しろ!!」
先行している騎士団員たちは4階から5階へと階段を登り、用心深く5階フロアに入る。
騎士団員
「敵の気配が無い………」
4階までは魔女教会と激しい戦闘を繰り広げていたが、5階に入ったとたんいきなり静けさを増し、妙な感じを漂わせていた。
騎士団隊長
「気を付けろ………何かおかしい………」
バタン………
騎士団員
「!!」
「……隊長!!後ろのドアが……閉じ込められました!?」
騎士団隊長
「なんだと!?全員身を寄せろ!!全方位確認!!」
騎士団員たちは一ヶ所に集い、背中をお互いに合わせて四方八方確認する。
騎士団隊長
「くそ………魔法通信が途切れた………」
(これでは連絡が取れない………一旦退却だ)
騎士団員
「………」
「どこだ?敵はどこにいる?」
先行騎士団員隊長
「このまま入り口のドアへ向かう!警戒を怠るな!!」
騎士団員たちはそのままの陣形で入り口へと向かう。
騎士団隊長
「よしドアを破壊しろ!!下の階へ退却」
騎士団員が剣でドアを叩き壊そうとした瞬間、強い光が騎士団員たちを包み込む!
騎士団員隊長
「うお!?」
騎士団員
〈おい!?どうした!?〉
突然、4階にいる騎士団員と5階にいる騎士団との通信が切れた。
騎士団員
「リア隊!!応答願う!!」
コッホ
「何だ!?」
騎士団員
「先行部隊との通信が切れました………」
コッホ
「第三部隊戦闘準備!!第二部隊5階へ偵察!!」
第二部隊は階段で5階へ向かい、フロアへ侵入する。
騎士団員
「こちら第二部隊」
「入り口付近には何も痕跡なし……このまま前進する」
第二部隊はどんどんフロアの奥へ進行する……。




