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アポロの図書館3

ガゼルが書いた本は魔法に関するものばかりだ。特に魔法防御に関連するものが多い。


トランヴェル

(魔法障壁装置を造るぐらいだ………魔法障壁に関する研究資料が多いな)


トランヴェルは最後まで読みきるが、たまに意味のわからない専門用語や数式が記載されており、理解しきれずにいた。


トランヴェル

(難しくてわからないや………もっと簡易的なものから読まないとダメだ………)


トランヴェルは本を閉じようとしたところ、本の最後のページにガゼル自信の紹介が記載されていた。


『ガゼル・ブロンド

アポロ宇宙国際大学 探索科学研究学卒。後にアポロ研究所に配属し、様々な魔法研究を行う』


トランヴェル

(アポロ宇宙国際大学?宇宙?)


トランヴェルはこの世界で見慣れない単語が目に入った。


トランヴェル

(この大学では宇宙に関する研究も進んでいるのかな?)

(でもそんな本見当たらないしな………)


トランヴェルは図書館にこもって約一週間が経つが、この広い図書館に宇宙に関する本は何一つ見当たらなかった。


カリア

「トランヴェル」


帽子を深く被った金髪でロングヘアーの少女がトランヴェルを呼ぶ。


トランヴェル

(もうお昼か)


トランヴェルはパタパタと飛んで少女の肩にとまる。


一般人

「おーあれが噂の本を読むフクロウか」


突然わらわらと人がトランヴェルたちのもとに集まってくる。


カリア

「何?この人たち?」


一般人

「フクロウ初めて見たー」


一般人

「さっき本を広げて読んでたぞ」


トランヴェル

(あ………やばい)


カリアは出口へ向かおうとしたが、大勢の人に囲まれてしまう。

彼女は集まってきた人ごみの中を掻き分けて無理やり出口から外へ出る。


カリア

「すごい人数だったね………」


何日か前からフクロウが本を読んでいるところを目撃されており、その話が口コミで広まり話題となっていた。


トランヴェル

(困ったな………もうここに来れないじゃないか)

(やはりカリアにページをめくってもらえれば良かった………)

(とはいえ自分のペースで本が読めないし………どうしようもないな)

(これ以上注目されるとまずい………しばらくはここに来れないな)


トランヴェルたちはこの日を境に図書館に行くことを辞めた。


カリアたちはイトの家へ帰り、リビングの椅子に腰を下ろす。

そこにララが淹れたてのコーヒーを持ってきた。


ララ

「どう?何か収穫はあった?」


カリア

「どうだろう?私は何も得られなかったけど、トランヴェルは結構本読んでたから何かわかったんじゃない?」


トランヴェルは体から精神を離脱させ、精神状態になる。精神状態になることで30分だけカリアたちと会話することができるのだ。


トランヴェル

(まあ、ある程度この国のことはわかったが………正直進展は無い)


カリア

「えーそうなの?」


トランヴェル

(そもそも何を求めればいいのか目的さえ不明確だ………)


ララ

「そうだよね………ただ私たちは魔女マベルの言うとおりアポロに来ただけだし………何があるのかわからない状態だもんね」


カリア

「イトの方はどうなったんだろう?」


ララ

「イトさんはこないだ魔女狩隊の人と会って話をしたよ」


トランヴェル

(うわ……本当に魔女狩隊と接触したんだ)

(大丈夫か?)


ララ

「わかんない……わかんないけど、こないだこの家に来てもらって、イトさんがこれまでのことをその人に話してたよ」


トランヴェル

(家に来た?)


ララ

「うん……」


カリア

「えええ!?家に来たってことは私たちがここにいることがバレてるの!?」


ララ

「うん……でもね多分大丈夫だと思う」

「本当にイトさんと仲がいい人みたいだから……騎士団には内緒にしてくれると思う」


トランヴェル

(いやいやいや!?何でそうなる!?)

(いくら仲がいいといっても相手は魔女狩隊だぞ!?言わないわけがない………)

(最悪だ………もうここにもいられないぞ)


トランヴェルは緊迫した表情となり頭を抱える。

ララはそんなトランヴェルの様子を見てうろたえていた。


トランヴェル

(取り敢えず………今日はもうここからすぐ出たほうがいい)


ガチャ………


ドアが開く音がする。そして同時にドアの奥から声が聞こえてくる。


イト

「その必要はない」


トランヴェル

(イト!?)


イト

「サカは賢い男だ」

「奴はわざわざ話したことを魔女狩隊に言わない」


トランヴェル

(その根拠はどこにある?)

(お前がどこまで話したか知らないが、絶対に騎士団に広まってるぞ)


イト

「大丈夫だ……問題ない」

「それよりこれを見てほしい」


イトは青く輝く短剣を取りだす。


トランヴェル

(なんだこれは?)


イト

「これは誓約の剣」

「もしサカが他のものに話すことがあればこの剣は赤く光る」

「俺はサカに魔法をかけたのだ」

「あいつが誰かに話をすればこの剣を赤く光るように魔法をかけた」


トランヴェル

(そんなことができるのか………)


トランヴェルはイトたちを魔女にした張本人だが、彼らがどんな魔法を使えるのかは把握していない。


イト

「ゆえにまだあいつは何も話をしていない」

「話すようなことがあれば別荘に向かえばいいし」


トランヴェル

(別荘なんてあるのか)


イト

「ああ、ついさっき購入してきた」


トランヴェル

(マジか………)

(しかし、魔女狩隊と接触して今後どうするつもりなんだ?)


イト

「俺たちには味方が少ない」

「少しでも理解者を増やしたいんだ」

「時間がかかってもいいから協力者が欲しい」


トランヴェル

(だからと言って魔女狩隊は………)


イト

「大丈夫だ」

「心配するなトランヴェル」

「いざとなれば別荘やら海外やら逃亡すればいい」


トランヴェル

(………)


カリア

「取り敢えずいいんじゃない?結局私たちも収穫が無いし」


ララ

「明日からどうする?」


トランヴェル

(うーん………王宮でも行く?)


イト

「バカ言え王宮なんて入れるわけがない」


トランヴェル

(この国について知るためにはやはり王宮に行くべきだと思うがな………)

(何とかして入れないかな)


イト

「俺たち魔女狩隊ですら入れないところだ」

「諦めろ」


トランヴェル

(じゃあせめて国会や魔女研究所に行けないかな………)


イト

「国会はわからんが、魔女研究所なら騎士団であれば入れる」

「しかし今の俺は魔女だしな」


トランヴェル

(そのサカって奴に頼んで何とかならないか?)


イト

「普通に考えて無理だ」


トランヴェル

(うん……何とか行ける方法はないかな……)


イト

「一つ可能性があるとすれば……」

「騎士団に入団することかな?」


トランヴェル

(騎士団に………入団!?)


イト

「国営騎士団に入れば魔女研究所に行ける可能性が出てくる」


トランヴェル

(それだ)

(それで行こう)


カリア

「え?マジ?」


トランヴェル

(カリアとララは入団するのは無理だろう)

(サラも言葉が喋れないし多分難しい)

(だからイト!君がもう一度入団すればいいんだ!)


イト

「簡単に言ってくれるな」

「そもそも俺は今国籍が無い状態だ」

「身分が不明な奴に試験なんて受けさせてくれないぞ」


トランヴェル

(魔法で何とかなる!)


イト

「ならない!!」


トランヴェル

(うぐぐ………)


しばらく沈黙が続く……。


ララ

「うん……まずはご飯食べようか?」

「私昼に皆の分作ったし」


カリア

「賛成!!」


イト

「取り敢えず俺はもう一度サカと会う予定だ」

「それからもう一度今後のことを考えよう」


トランヴェル

(そうだな……)


トランヴェルたちは一先ずララが作ったパスタを食べることにした。

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