表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/374

アポロの図書館

オードリーは王宮から課かせられた課題を対応していたため遅い時間まで働いていた。


オードリー

(今日はもう限界だ………宿屋に行こう)


オードリーは雪が降り積もる中、歩いて宿屋へと向かう。

そんな中、対面からフードを被った怪しげな男が歩いてきた。


フードを被った男

「すいませーん」


男はオードリーに話しかける。


オードリー

(………なんだこの男……怪しすぎる)

(聞こえなかったふりをしてやり過ごそう……)


オードリーは素通りしようとしたが、男はオードリーの前に立ち、彼の進行を妨げる。


フードを被った男

「すいませんーあのお」


オードリー

「……なんでしょう」

(なんだこいつ……)


フードを被った男

「トランヴェルという名前を聞いたことありますか?」


オードリー

「……無いですね」


フードを被った男

「そうですかあ……」

「人じゃなくてもモノでも何でもいいんですトランヴェルという言葉を聞いたこと無いですか?」


オードリー

「無いですね」


フードを被った男

「そうですかあ」

「もしトランヴェルという言葉を聞いたらここに電話してもらえますか?」


男はポケットからボロボロの紙を取りだし、オードリーに手渡す。


オードリー

(………なんだこの汚い紙は)


その紙にはトランヴェルという単語と数字が13桁羅列していた。


オードリー

(何の数字だ?)


フードを被った男

(それでは)


男はいきなりがに股で走り出し、吹雪きの中へと消えていった。


オードリー

(今日は厄日だな)


オードリーはボロボロの紙を破り捨てて、宿へと向かう。


一夜が明け、現在は午前8時。

今日は建国記念日のため平日ではあるが、アイナたち国民は休みの日である。もちろん一部オードリーのように働いている人間もいる。

アイナは新しい本を借りるためソフラと共に図書館へ向かう。


アイナ

「あーあパパも休みだったらな」


ソフラ

「わがまま言わないの」

「来週帰ってくるから」


アポロ市の図書館は市内からやや外れたところにある。この図書館はツクヨミ国の中で一番規模がでかく、本も勢揃いだ。


アイナとソフラは図書館に入り、アイナはカウンターに昨日借りた本を返しに行った。

その時、アイナの目に帽子を深く被った女性とその女性の肩にとまっている一羽の鳥が映る。


アイナ

「フクロウだ!!」


アイナは指を差し珍しそうにフクロウを見つめる。


ソフラ

「こらアイナ………指をさすんじゃない」


アイナ

「ママ!フクロウ!フクロウ!」


ソフラ

「………図書館にフクロウを連れ込んでいいんだ」


図書館の決まりごとに特にペットの連れ込みについて禁止事項は無い。この図書館にはペットや子供の遊び場も設置されており、そこに預けることもできる。


アイナに指さされた女性はそそくさと本棚の奥へ逃げるように立ち去る。

アイナは本でフクロウを見たことがあるものの、実物を見るのは人生で初めてだ。

アイナは本を探すふりをして、徐々にフクロウと女性の方へと近づいて行く。


帽子を深く被った女性は本棚から何冊か本を取りだし、机へと向かっていく。

アイナも本を適当に何冊か取って、その女性の後を追っていく。


女性は空いている席に座り、本を広げる。

肩にとまっているフクロウもその本をマジマジと見ていた。

アイナはその女性の隣に座り、本を広げる。

女性とフクロウはビックリしたのか、アイナを二度見する。

アイナも本を読んでるふりをしてチラチラとフクロウの顔を見ている。


ソフラ

「こらアイナ」


ソフラはアイナが女性を困らせていることに気付き、アイナの手を取って無理やりその場から放す。


アイナ

「ママ!!何するの!!」


ソフラ

「あのお姉さんが困るでしょ!」


アイナはソフラに奥へと連れて行かれ、引き離されてしまった。


帽子を深く被った女性

「ふう………」

「これで落ち着いて本が読めるね」


女性の肩にとまっているフクロウは羽で本のページをめくる。


女性が何ページか本を読んでいると後ろからアイナがまた近づいて来る。


帽子を深く被った女性

(また来た………)


女性はアイナが近づいて来ていることに気づく。

アイナはもう一度女性の隣に座り本を広げる!

すると後ろから鳴き声が聞こえてきた!


「ガウッ!!」


アイナ

「わあ!!」


アイナは後ろを振り返ると、そこにはうなり声をあげる少女が四つん這いになって彼女を睨み付けていた!


帽子を深く被った女性

「ちょっとサラ!!」


女性は椅子から離れ、四つん這いの少女の前に身を屈ませて少女の顔を両手で触れる。


帽子を深く被った女性

「大人しくしててって行ったでしょ!?」


四つん這いの少女

「グルルルル………」


四つん這いの少女はアイナを威嚇し、睨み付ける。


アイナ

「ううう!?」


アイナはビクビクし体を震わす。


「ガア!!!」


四つん這いの少女はアイナに飛びかかり彼女を押し倒す!


アイナ

「ひゃあ!!」


帽子を被った女性

「おいサラ!!やめろ!!」


四つん這いの少女はアイナを噛みつくかと思えば、舌を出してペロペロとアイナの顔をなめていた。


アイナ

「ひあ!?くすぐったい!!」


アイナはされるがまま少女にペロペロされる。


アイナ

「キャハハ!!このお姉ちゃん犬みたい」


アイナは嬉しそうだ。


ソフラ

「こらアイナ!!何してるの!!」


アイナ

「ママ!犬みたいなお姉ちゃんがいるよ!」

「ほら耳がついてる!!」


四つん這いの少女は帽子を被っていたが、取れてしまい、頭をさらしていた。その頭には獣のような耳が付いていたのだ。


帽子を深く被った女性

「ごごごごめんなさい!!」


女性は四つん這いの少女をアイナから無理やり引き離し、帽子を被せる!


ソフラ

「こちらこそごめんなさい………うちの子が邪魔をするから」


ソフラもアイナを両手でつかみ、引き上げる。


司書

「あのお………すいません」

「静かにお願い致します………」


ソフラと帽子を深く被った女性

「ごめんなさい………!」


ソフラ

「ほらアイナ行くよ!もう本を借りたでしょ」


アイナ

「やだやだ!!フクロウ触りたい!!」


ソフラ

「ほおら行くよー!」


アイナは帰りたくないとじたばたしソフラに抵抗をする。


帽子を被った女性は肩にとまっていたフクロウを両手でつかみ、アイナのもとへ差し出す。


帽子を被った女性

「ほらフクロウ……触らせてあげる」


アイナ

「本当!!やった!!」


ソフラ

「ああ……すいません」


アイナは女性からフクロウを受け取り、両手でぎゅっと抱き締める。


フクロウは上の空だ………。そして若干苦しそうにも見える。


アイナ

「ふさふさしてる………」


アイナはフクロウの羽を撫で回し、さらにフクロウの腹を手で撫でる。


アイナ

「あったかーい!」


フクロウは満更でも無さそうな顔をしている。


ソフラ

「ありがとうございます……」

「ほらアイナもお礼を言って」


アイナ

「ありがとう!お姉ちゃん!!」


帽子を深く被った女性

「どういたしまして」


アイナは手を振り、ソフラと共にその場を去っていく。


帽子を深く被った女性

「はあ……何だかドッと疲れた」


女性はおっさんのように一息着き、椅子に座り本を広げる。


帽子を深く被った女性

「良かったねトランヴェル女の子に抱かれて」


フクロウは怒ったのか女性の頭を嘴でつつく。


帽子を深く被った女性

「痛い痛い!何すんの!?」


四つん這いの女性

「あう……あリア!ごはん!イコ!!」


帽子を深く被った女性

「ああもうそんな時間か……」


二人の女性と一羽のフクロウは図書館から出ていき、外食店を探しに行く。

暫くしてから彼女たちはまたこの図書館へ戻って来た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツイッター:@hukurai_eichi
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ