表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/374

魔女研究所2

魔女教会の信者たちと騎士団員たちが倒れている姿が映像に写し出される。


ナハンジ

「この映像はルナ街にある魔女教会の拠点を撮影したものです」

「魔女研究所にペルー村の魔女たちの遺体を転送した約2時間後の映像となります」

「約2時間前までは先に到着していた騎士団員たちと連絡はとれていたものの、突然通信が途絶えてしまいました」

「通信が途絶えた1時間後に後発隊がこの教会に到着しました」


映像が切り替わり、教壇前の映像が写し出される。


ナハンジ

「後発隊は到着後、教会内を探索」

「正門近くには騎士団員たちと魔女教会のものたちが戦闘した痕跡が残されていました」

「そして双方ともに多くの遺体が発見されました」


次の映像に切り替わり、そこには地下施設へ通じる階段が写し出されていた。


ナハンジ

「探索して1時間、教会内に地下へ行く階段を発見しました」

「後発隊は地下へと降り、探索しましたが」


映像は次に地下施設を写し出す。


ナハンジ

「その地下で実験施設を発見しました」


オードリー

「実験施設?」


ナハンジ

「騎士団員たちが調査したところ多くの魔物がこの施設に捕らわれており、生物実験を行っていた痕跡が残されていたのです」


オードリー

「生物実験?具体的には?」


ナハンジ

「どうやら魔物同士を結合したり、または魔物を使って科学実験を行ったりしていたようです」

「この件についてはまだ調査中となります」


リリィ

「魔女研究所もこの実験について今解析を行っております」

「現在までの調査結果は人間と動物を合成させ人工的に魔物を造ろうとしていたようです」


オードリー

「人間!?」


ナハンジ

「はい………その施設の奥には魔物だけでなく、あらゆる動物と人間がカプセルの中に保管されておりました」


オードリー

「奴等は人をさらって人体実験をしていたということか」


ナハンジ

「その可能性が大です」

「現在平行してその人たちがどこの身元のものか調査しております」


映像には実験施設の様子が写し出されている。多くのカプセルが設置されており、その中に人や動物らしきものが入っている。


ナハンジ

「そして奥へと探索を進めたところ、大きな部屋に出ます」

「そこには何故か探索機が置かれておりました」


映像にでかい機械の塊が写し出される。


オードリー

「これは………アポロ博物館に展示されている月面探索機と似ているな………」


ナハンジ

「そうですね………こちらも今のところ調査中ですが、この探索機についてわかっていることは相当年式が古いもののようです」

「魔法が通じず、中の操縦席に入ることができません」


オードリー

(何故こんなものが教会の中に………奴等は何者なんだ)


ナハンジ

「続いてさらに奥にも広い部屋があり、そこには多くの魔物と騎士団員たちの遺体が発見されました」

「恐らく魔物と戦闘を行ったと思われます」


映像にはあちこち血まみれの惨状が写し出されていた。


オードリー

「これは………」


オードリーは眉を潜めて映像を見つめる。


ナハンジ

「そしてその先には壁に大きな穴が空いておりました」

「魔女たちは恐らくここから脱出し、どこかへ逃げたと思われます」


オードリー

「………」


ナハンジ

「またこの地下施設には信者たちの遺体は見つかるものの教祖や交信者たちの遺体は見つかりませんでした」

「恐らくこの教会の権力者たちも魔女と共に逃げたと思われます」


オードリー

「………もしや奴等は他の拠点へ逃げたということか?」


ナハンジ

「恐らく」

「魔女教会はあらゆる地域に拠点がありますが、本拠地はジョウガにあります」


オードリー

「ジョウガ………また魔女に因縁のあるところだな」


クエリ

(魔女や魔女教会の幹部だけでなく、イトも行方不明………)

(イト………貴方は今どこにいるの?)


クエリはあの日イトと共に行動をしていた。

ララたちが魔女教会へ逃げていた時、クエリは援護の要請をするためにその場に残り、イトは魔女教会へ向かって行ったのだ。

クエリが後発隊と共に魔女教会にたどり着いた時には、もう既に先行していた騎士団員たちがやられていた。イトを探すものの、彼の遺体はなく、彼の所持していた短剣と長剣が現場に落ちていただけだった。


クエリ

(きっと彼はまだ生きている………きっとどこかにいるはず)


ナハンジ

「今後も引き続き教会の調査、並びに魔女や魔女教会幹部たちの追跡を行ってまいります」

「以上となります」


オードリー

「………不明点は多いが、大方は理解した」

「これから魔女との戦いに備えて作戦を練らなければならないな」


ナハンジ

「そうですね………現在軍部の方からもいつでも出撃できるように準備をしておけとご指示を頂いております」


サカ

「ナハンジさん………すいません軍部から連絡が来ておりましたので席を外します」


ナハンジ

「軍部………?誰だ?」


サカ

「コッホ殿からです………」


ナハンジ

「………わかった」


ナハンジの横にいたサカは立ち上がり席を外す。


オードリー

「なんだろうか」


ナハンジ

「………もしかしたら今回の件の指令かもしれません」


サカは会議室の外に出て魔方陣を展開し、騎士団のコッホと通信を繋げる。


コッホ

「コッホです」


サカ

「コッホ殿先程は出れずにすまない」


コッホ

「おお………サカ殿折り返しありがとう」


コッホは騎士団長の一人である。

ペルー村事件ではララ討伐に参加したりしていた。

その後、ペルー村の調査を担当している。


コッホ

「実は今騎士団長の会議でな。ジョウガの魔女教会の対策について話をしててな」

「是非、魔女狩隊も今回の作戦に参加してほしいと正式にお願いすることになったのだ」

「後程正式なお願いはナハンジ殿を交えて騎士団長会議でお願いする予定だ」

「まずは事前に私から連絡させてもらった」


サカ

「なるほど」

「それは魔女教会を弾圧するという意味なのですか?」


コッホ

「もちろん事前に魔女教会に忠告するが、恐らく問答無用で戦闘になるだろう」


サカ

「承知しました」

「こちらもナハンジさんにお伝えします」


コッホ

「よろしく頼む」


サカ

「それでは失礼します」


サカはコッホとの通信を切り、通信魔方を解除する。


サカ

(果たして魔女教会に魔女はいるのだろうか)


サカは一度会議室へ戻ろうとした矢先、

通路の向こうから女剣士がこちらに近づいてきていることに気づく。


サカ

(………見慣れない顔だな)

(騎士団員か?)


女剣士はサカの目の前に立ち止まり彼に話しかける。


女剣士

「久しぶりだなサカ」


サカ

「な!?」

(誰だ!?)

(しかも俺に対してタメ口だと!?)


女剣士

「俺が誰かわからないだろうが落ち着いて聞いてほしい」


「イトだイト・マイアールだ」


サカ

「は………?」


女剣士はサカの同僚であるイトの名を名乗ってきた。サカは女剣士から発せられた言葉に理解が追い付いておらず、混乱する。


女剣士

「俺だサカ」

「この剣や服装を見てわかるはずだ」


女剣士は腰につけていた剣をサカに見せる。


サカ

「………その鞘と剣は確かにイトが持っていたものとそっくりだ」

「しかし俺が知っているイトはそんな華奢な体型ではない………貴様何者だ!?」


サカは剣を抜き、剣先を女剣士へ向ける!


女剣士

「事情があってな………話せば長くなる」

「今日18時にいつもの酒屋で待っている………」


女剣士は背を向けてその場を立ち去る。


サカ

「………あの身震い」

(本当にイトなのか?)


サカとイトは同僚であり、ライバルであり、良き友であった。

彼らは稽古の終わりに必ず行く居酒屋があり、いつもそこで呑み明かしていた。


サカ

(もしかしてあの店のことか………)

(このことはナハンジさんに伝えるべきか?)

(いや……俺一人で確かめよう)

(念のためだ………クエリには伝えておこう)


サカは女剣士と会うことに決めた………先程の女剣士が本当にイトなのか確かめに。

ナハンジに報告することも考えたが、魔女狩隊に報告すると色々と話が拗れて面倒になると彼は考えていた。

まずは自分の目で確かめ、後に状況がわかり次第ナハンジに報告するつもりでいたのだ。

万が一のことを考え、同僚のクエリにはこのことを内緒で伝えるつもりだ。

サカは会議室へ戻り、再び話し合いに参加する。

すでにナハンジの説明は終わっており、今後のことについて話をしていた。さらにこの後1時間に渡り話し合いをし、状況の整理と今後の対応について取り決め、会議をクローズした。


オードリー

「何か他にわかることがあったら連絡してほしい」

「軍部からの指令についても念のため情報をよこして」


ナハンジ

「承知しました」


オードリーたちの会議は終わり、それぞれ職場へ戻ることになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツイッター:@hukurai_eichi
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ