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大都市アポロ

ここは大都市アポロ。この国の最大の首都である。毎日国会で会議が開かれている。

今日もまた多くの官僚が集う。

本日の国会では昨日のルナで起きた魔女教会の事件に対して議論が進められていた。今回の事件についてはオードリー・オカナティブが担当しており、事件の詳細について述べていた。


オードリー

「先日ルナ街でペルー村で現れた魔女を魔女教会が匿っていたことが判明」

「魔女教会の本部へ騎士団が強制侵入し、魔女教会と交戦」

「魔女教会側は魔女を殺害し、その遺体を差出し、休戦を申し入れる」

「魔女の遺体を魔女研究所に転送し、ペルー村の魔女であることが判明」

「騎士団は休戦を受け入れ、魔女教会内で調査を実施」

「しかし午後16時ごろ調査団から連絡が通じなくなり後発隊が魔女教会へ向かう」

「後発隊到着時には調査団と魔女教会の者の遺体が発見され、交戦していたことが判明」

「現在、騎士団にて教会内を調査中」


オードリーは次々と詳細について述べるが、

話が進むにつれて周りがざわつき始めた。

オードリーの説明を聞いた官僚たちは慌てふためき、声を荒げた。


官僚

「教会が魔女の遺体を差し出したということは教会が魔女を殺したということかね?」

「長年我々が倒せなかった魔女を奴等が倒したということか!?」


オードリー

「魔女教会が魔女を倒したかどうか真偽については今のところ不明であります」

「魔女教会が差し出した遺体はペルー村で現れた魔女と同じ魔女因子であると研究所では結論が出ましたが、騎士団の見解としましては魔女は自らの遺体を作り上げ、まだ生きているのではないかと判断しております」

「その件につきましては別途報告させて頂きます」


官僚1

「何一つわかっていないのか………」


官僚2

「騎士団の言うように魔女は死んだように見せかけたのかもしれない………魔女が教会に簡単に倒されるはずがない………我々ですら長年倒せていないのだから」


官僚3

「もしかして魔女はまだこの近くにうろうろしているということなのか!?早く魔女と魔女教会を潰せ」


官僚4

「長年貴様らが魔女教会を放っておいたからこうなる!!何故放置していたんだ!!」


官僚5

「魔女を捕まえるのがお前らの仕事だろうが………何してんだ!!」


罵倒や野次が飛び交い、オードリーは執拗に責められ身も心も参っていた。


オードリー

(こいつら言いたいように言いやがって……)


周りから飛んでくる野次に耐えながらオードリーはひたすら説明を続ける。


オードリー

(貴様らはただ机上で騒いでいるだけのゴミ以下の存在だ)

(魔女対策本部もたかが知れていることも理解しているだろうに………罵倒だけではなく、今後の意見の一つや二つ言ってみたらどうだ?)

(何も考えもなく叩いているだけだろ?全く議論に意味を成さない)

(本当に不毛な時間だ………早く終われ)


罵倒を浴びきったオードリーは会議の終了時間と共に国会を出ていった。


オードリー

「………」


オードリーは自室に戻り、椅子に座った。

そして魔法転送装置にリリィ所長からの報告書が届いていることを確認した。

オードリーは報告書を手に取り、じっくり読み上げていく………。


オードリー

(………なんだこれは)


リリィ所長から送られてきた報告書には想定していない事が書かれていた。

魔女を匿っていた魔女教会の信者たちの死体が大勢発見されたという。そして教会には地下室があり、大量の魔物と騎士団員の死体が発見され、中には魔物を実験している施設があったという。


オードリー

(………まさか魔女教会は魔物を飼っていたのか?)

(地下施設………?奴等はそこで何をしていたんだ?)


オードリーは状況が判断しきれないため、リリィ所長へ明日詳細を伺いに行くと回答をする。


オードリー

(………事件の詳細は現時点では不明だが、明日調査団から詳細をもらい、今後のスケジュールを組み立てればよい………)

(今日は早く帰るとするか………これから帰れなくなるからな)


オードリーは馬車に乗り込み、自宅へと向かっていった。


オードリー

(おっと………そうだ)


「今から街の方へ向かってくれないか?」


駐屯兵士

「街の方ですか………何用で」


オードリー

「娘にプレゼントを買いたいんだ」


オードリーを乗せた馬車は中心街へと向かって行った。


本日アポロの天候は雪であり、深々と冷え込んでいた。街中はイルミネーションが多く飾られており、色とりどりの光に包まれていた。

オードリーが住まう家はこの街中から少し外れた山の麓付近にある。そこに妻ソラフと娘アイナと3人暮らしをしていた。


アイナ

「パパまだかな」


アイナはベランダの窓から顔を覗かせ、夜空から降り注がれる雪を見上げる。


ソラフ

「アイナ。寒いから窓閉めて!」


アイナは渋々窓を閉めて、さらにカーテンを閉める。


キイイイイイ………


玄関の方からドアが開かれる音が聞こえてくる。


アイナ

「パパだ!!」


アイナは玄関に向かって走りだす。


アイナ

「パパ!!おかえり!!」


オードリー

「ただいまアイナ」


オードリーはアイナを抱き上げてリビングへと向かう。


オードリー

「アイナ………今日はアイナにプレゼントがあるんだ」


アイナ

「プレゼント!!やった!なになに!?」


オードリーは袋からプレゼント箱を取りだし、アイナへ渡す。

アイナはビリビリと包装紙を破り、箱の中を開ける!

そこにはレース付きの帽子が入っていた。


アイナ

「帽子!!」


アイナは帽子をその場でかぶり、鏡の前に走り込む。


アイナ

「ねえ似合う!?」


ソラフ

「かわいい!」

「パパからいいの貰ったね」


アイナ

「パパありがとう!!」


オードリー

「よかった………喜んでくれてパパも嬉しいよ」


ソラフ

「ご飯できてるよ」

「食べようよ」


オードリー

「そうだな………着替えたらすぐ行く」


オードリーは2階へあがって、自室へと入っていった。

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