月光
月が今宵も闇を照らしている………。
皆が寝静まる中で、ミランダは夜空を見上げていた。
ミランダ
(………外だ)
(やっと外へ出られたんだ………)
ミランダはずっと教会の牢屋に閉じ込められていたため、夜空を見るのは久しく、外へ出られたことに嬉し涙を流していた。
そんなミランダの隣にララが座り込む。
ミランダ
「わ!」
ミランダは突然隣にララが座ってきたため、驚いてしまい大きな声を出してしまった。
ミランダは皆が自分の声にびっくりして起きたのではないかと周りを見渡すが、皆すーすーと静かに眠っていた………。
ミランダは泣いているところを見られないように急いで涙を拭う。
そして彼女は小声でララに話しかける。
ミランダ
(びっくりさせないでよもー)
ララ
(ごめんごめん)
(ミランダは何してるのかなって思ってさ)
ミランダ
(久しぶりに外に出れたからさ………なんか嬉しくて………)
ララ
(そっか………ミランダはずっとあの牢屋で………)
ミランダ
(こうやって外へ出られたのもララちぃのお陰だよ!)
(あの時、ララちぃに出会わなければ私は多分あそこから出れなかったと思う)
ララ
(ううん………私もミランダがいてくれたお陰で助かった)
(私もミランダに出会わなければあの牢屋から出れなかったと思う)
(ありがとうミランダ)
ミランダ
(こちらこそ!)
ミランダとララは小声でくすくすと笑い、
遠くに輝く星空を共に見渡す。
ミランダ
(ねえ………ララちぃ)
ララ
(うん……?)
ミランダ
(やっぱり私もララたちと一緒にアポロに行こうと思う)
ララ
(え……でも)
ミランダ
(私一人だけ家に帰るだなんて……私も皆と一緒に行きたい)
ララ
(ミランダ………ミランダには待ってくれる人がいるでしょ?)
ミランダ
(それはララだって………)
ララ
(私はもう帰るところが無いの)
ミランダ
(………………!?)
(ごめん………)
ララ
(ううん………謝る必要は無いよ………)
(私はね………ミランダはコーネリアスさんのところへ帰ってあげるほうがいいと思っているの)
(コーネリアスさんはずっとミランダを待っていた)
(絶対に帰ってくるって信じて長い月日を待ち続けていたんだよ)
(雨の日も風の日も………どんな日だってミランダが帰ってくるって信じて待っていたんだよ)
(だからお願い………ミランダはコーネリアスさんのところへ行ってあげて)
ミランダ
(ララちぃ………)
ミランダは涙ぐみながらララに答える………。
ミランダ
(ありがとう………ララ)
(私ララに助けられてばかりで何もすることかできなかった………)
(私………)
泣き崩れるミランダをララは両手で暖かく抱きしめ、優しい声で語りかける。
ララ
(ううん………私だってミランダにもコーネリアスさんにも助けられたのに何も恩返しができてない)
ミランダ
(そんなはずがない………ララは私をたくさん救ってくれたよ)
(牢屋の時も………私一生出られないって諦めてた………でも…ララが最後まで諦めなかったから
私はもう一度立ち上がることができた………!)
(あの時………私は本当に救われた………)
(こうして夜空を見上げられることに感謝してるの………)
(ありがとう………ララ)
ミランダとララはお互い体を支え合い、語り合う………。
月は今宵も蒼く輝きを増していた………。




