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夜空の星の下で

ミランダ

「さて………これから本当にどうしよう」

「どうしょうトランヴェル?」


トランヴェル

「……」


ミランダ

「やっぱ喋れないか」


ララ

「この鳥……トランヴェルって言うんだね」


ミランダ

「知らなかったの?」


ララ

「うん……」


トランヴェル

(とりあえずここから出るしかないんじゃないか…ああ……精神離脱ができれば)


トランヴェルは一日に一回しか精神離脱ができない。

そのため、ミランダたちと会話することができないのだ。


イト

「………ここの教祖が死んだ以上取り敢えずここから離れるしかあるまい」

「騎士団たちがここに駆け付けてくる前にな」


ララ

「どこへ行ったらいいんでしょう………あの魔女が言うようにアポロへ行くべきなのでしょうか」


ルイ

「バカか……行くわけ無いじゃん」


イト

「取り敢えずお前たちは俺と来るといい」

「アポロに俺の家がある………ひとまずそこで今後のことを考えよう」


カリア

「ところであなたはどちら様?」


イト

「俺は先程までお前たちを追っていた魔女狩隊のものだ」


ララ

「魔女狩隊!?」


ララとカリアは身構える……。しかしイトはその場で剣を捨て、戦う意思の無いことを示した。


イト

「お前らの事情は知っている」

「あのフクロウからこれまでの経緯を見せてもらった」

「俺はお前らの敵だが、戦うつもりはない」


カリア

「その言葉は信用ならない……隙をついて私たちを殺すかもしれない」


側で聞いていたルイやサラも身構え、イトを睨み付ける。


イト

「そう思われても仕方がないと思っている」

「別に強制はしない……来たい奴だけ来るといい」


ララ

「……私は一緒に行きます……!」


カリア

「ララ!?嘘でしょ!?」


ララ

「確かに魔女狩隊の人だから信用できないけど」

「私たちは皆あのフクロウから魔女になった」

「以前は敵でも今は仲間だと信じてるよ」


カリア

「……そんな」


ルイ

「一緒についていったら殺されるかもしれないよ」


ララ

「それでも私はついていくよ」

「だって他に行き場しょが無いもの」


ミランダ

「……なら私も」


ララ

「ミランダはダメ」


ミランダ

「え………」


ララ

「ミランダは帰るところがあるでしょ?」


ミランダ

「それは………」


ララ

「コーネリアスさんが待ってるよ」


ミランダ

「それならララたちも私の家に行こう!」


ララ

「それはできない………国から追われている身だから迷惑をかけちゃう………」

「私のことは大丈夫だからミランダはお母さんのところへ帰ってあげて」


ミランダ

「………ララ」


ザザザ……


上の方から足音が響いてくる。


イト

「……誰か来る……!」


ガシャ……ガシャ……


イト

(この音……防具の金具の音……騎士団か!)

(今頃来たのか……遅いなあいつら)


(この姿で奴らに会うわけにはいかない……説明が面倒だ……取り敢えずここから出たほうがいいだろう)


「騎士団が来た!!一旦ここから出るぞ!!」


イトは剣で壁に穴を開け、外への通り道をつくった。


イトたちは外へ向かい走り出すが、

サラは立ち止まったままだった。


イト

「おい!ワンころ!!早く来い!」


サラはイトたちとは逆の方向へ歩いていき、キマリの遺体へと近づく。


トランヴェル

(そうか……父親を置いていくわけにはいかないか)


サラ

「おと………さん」


サラは涙を流し、キマリの前でうずくまる……。


ララは足を止め引き返し、サラのもとへ駆けつける。


ララ

「行こう!国の騎士団が来ちゃうよ!」


ララはサラを引っ張るもののサラはピクリとも動こうとしない……。


ララ

「皆!!」

「この人を運ぶのを手伝って!!」


ルイ

「バカ!!そんな奴に構っていたら捕まるぞ!!」


カリアとミランダはすぐララのもとへ駆けつけ、ララと共にキマリを持ち上げる。


イト

「正気か!?」


イトも立ち止まり、ララたちを手伝う!

トランヴェルも足でキマリの服を持ち上げ、頑張って羽ばたきながら彼を運ぶ。


ルイ

「バカどもが!!」


ルイは黒い蝶々を無数に出現させ、蝶たちをキマリの体の下に集める。

そして蝶たちが羽をばたつかせ、下からキマリを持ち上げて運ぶ。


ララ

「ありがとう!皆!!」


ララたちは壁の穴から外へ出て、そのまま真っ直ぐ走っていった。


ミランダ

「どこまで行くのー!?」


イト

「わからない!!このままもっと離れるしかない」


彼らは教会を抜けて、森の中へと入っていった。そして走り出してから数十分のところで足を止め、キマリを下ろして地べたに腰を下ろす。


カリア

「はあ………はあ………ここまでくれば………何とかなるかな………?」


ミランダ

「わからないけど………取り敢えず………休憩しよう」


イト

「今日は山奥へ一晩過ごすしかないだろう………」

「少し休憩したら上へのぼろう」


イトたちは休憩後、森の先にある山まで歩き、さらに奥へ奥へと進んで行った。


イト

「今日はここで一晩過ごすしかないだろう」


ルイ

「本気!?こんな山奥で!?」


イト

「町に向かうよりまだ安全だと思うぞ」


ララ

「そうですね………また明日どうするか皆で話し合いましょう」


カリア

「というか………お腹すいたよ………」


ミランダ

「お腹すいたねー………」


イト

「そう言えばあのワンころどこへ行った?」


ララ

「あの子………さっきまでいたのに………」

「探しに行きましょう!まだ近くにいるはず!?」


ルイ

「はあ!?知らないよもう………」

「何度もあいつのために働いてたまるか」


ガザガサ………


サラ

「あう!!」


カリア

「お、いたいた………うわ」


サラはウサギのような動物を口に加えながら草むらから姿を現した。


サラ

「あうあう」


サラはララのもとへ駆け寄り、捕まえてきた動物を口から離し、差し出す。


ララ

「食べ物を持ってきてくれたみたい」


ルイ

「マジ?」


ミランダ

「どこから捕まえてきたんだ!?」


ララ

「ありがとう!」


ララはサラの頭をナデナデする。

サラも嬉しそうに撫でられている。


ミランダ

「一匹で足りるかな」


イト

「俺たちも食料を探そう」


イトたちは各々野宿するために食料や薪を準備した。

そして就寝前にもう一度今後のことを話し合うことにした。


焚き火がゴウゴウと燃え盛る………。

辺りは静けさを増し、空には無数の星が見える。

サラはララになついたのか、ララの膝の上に頭を乗せてゴロゴロ音を鳴らす。


イト

「さて……今後のことだが」

「俺には隠れ家がある……アポロの街よりちょっと離れたところにある」

「アポロへ行くつもりなら一度俺の家に来たほうがいい」


ララ

「私はアポロに行きたいと思ってる……」

「だからイトさんと共に行動するつもりだよカリア」


カリア

「ララ………本当についていくの!?」


ララ

「うん」

「どこへ行っても騎士団に追われるし、それにあの魔女が言っていたことが気になるの」


カリア

「よく考えて!?アポロは国営騎士団の本拠地だよ!?」

「それにあの魔女の言葉なんて信用ならないよ!」


ララ

「私は行くと決めた」

「カリアも自分で決めればいいよ」


カリア

「………しょうがないな」

「ララは昔から自分の意見を曲げないからね」

「私もついていくよララ」

「ララは一人で突っ走るところがあるからさ………心配だし」


ララ

「ありがとう………カリア」

「カリアがいてくれると私も安心する」

「いつも暴走する私を止めてくれるのはカリアだからね」


ララとカリアは笑みを浮かび、くすくすとお互い笑う。

彼女たちは幼い頃からの付き合いだからこそ、お互いの良いところをよく知っている。そしてお互いの欠点を補ってくれる必要な存在であることを認識している。ララが前向きに行動し、カリアが冷静に判断する。二人合わせて一人前なのだ。


イト

「それでは明日アポロへ向かおう」


ルイ

「私はごめんだね」


ルイは強めの口調でイトの提案を断る。


ルイ

「私はお前らを信用しない」

「お前らと行くのは断る」


イト

「………そうか」

「じゃあ、お前はこれからどうするんだ?」

「教会ももう潰れたのと当然だ」

「行き先はあるのか?」


ルイ

「そんなものは無い」

「もう私は誰も信じないし、誰かのもとで生きるつもりはない」

「私は私だけで生きていくと決めた」


ミランダ

「本当に一人で大丈夫?」


ルイ

「大丈夫よ」

「あんたたちみたいな見ず知らずの他人といるよりは一人のほうがいい」


ララ

「ルイさん………」


ルイ

「もう誰かに利用されるのが嫌よ」

「私は自分の意思で仲間を探して生きたいだけ」


イト

「俺たちは仲間にはなれないのか?」


ルイ

「ハハッ………お前は私に一緒に来てほしいのか?」


イト

「もちろんだ」

「少しでも仲間が多いほうがいい」


ルイ

「さっきまで敵だったのにまさか同行してほしいとか笑えるね………だけど断るよ」

「確かに魔女になった以上、お前らと行動を共にしたほうがいいとは思うけど、今私は自分の意思で行動したいんだ」


イト

「わかった………もし何かあればここに訪ねて来るがいい」


イトは紙に自分の住みかの住所を書き、ルイへ手渡す。


ルイ

「………ふん」

「まあ、気が変わったら訪ねてやってもいい」


ルイは紙を手に取り、懐にしまう。


すーすー………


ララの膝の上でサラが寝息をたてて寝ていた。


ララ

「寝ちゃったね」


カリア

「私ももう………寝ちゃいそう」


カリアも目が半分閉じており、今にも寝てしまいそうだ。


ミランダ

「何がともあれ………生き残れた」

「寝よう!」


イト

「………そうだな」

「お前らは寝ておけ………俺が用心しとくから」


ルイ

「お前が信用できないから私は寝ない」


イト

「………」


トランヴェル

(今後どうなるのか不安だが………本当に………疲れた)

(今日は寝るとしよう………)


多くの星が輝く夜空の下で、トランヴェルたちはそれぞれ想いを抱き眠りにつく。

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